高齢者のレクリエーションお勧めネタ&アイデア「8月」

使えるハウツー


青空に白く輝く入道雲、うるさいほどの蝉の声・・・。もうすぐ1年で1番暑い季節、8月がやってきます。

このコラムでは、8月に高齢者と話したい季節の話題ネタや、高齢者の自尊感情を引き出すレクリエーションアイデアを、厳選してお届けしていきます。とくに老人ホームなどの高齢者施設では、季節感が薄れがちなので、8月らしさを味わってもらうことにもこだわってみました。

8月といえば連日猛暑が続く頃。高齢者は疲労がたまって食欲がなくなったり、精神的に不安定になったりと、体調を崩すことも多くなるので注意が必要です。

8月のレクリエーションのポイントは、施設の中で涼しく快適に行えて、体力を消耗しすぎないこと。体調に不安があるときは無理をせず、レクリエーション中も高齢者の様子に気を配りながら行いましょう。

8月ってどんな月?

8月といえば夏休みやお盆ですが、意外なところで高校野球を楽しみにしている人も多いのでは?

夏の全国高等学校野球選手権大会は、毎年8月、兵庫県西宮の甲子園球場で開催されています。今年は記念すべき第100回。全国各地から勝ち抜いた代表校が、約半月にわたり頂点を目指して熱戦を繰り広げます。

普段それほど野球好きではなくても、ひたむきに頑張る高校球児たちを見ていたら、ついつい応援したくなりますよね。お年寄りのなかには高校野球を見るのを楽しみにしている人も多いため、注目の試合や選手などはチェックしておくと良いかもしれません。

「◯◯高校だと注目選手は誰ですか?」「◯◯高校の◯◯選手はね・・・」などなど、お気に入りの選手や、スーパープレーの話などで盛り上がれたらいいですね!

その他に8月らしさを感じるものといえば、青空にモクモクと湧いた入道雲、海や海水浴、花火大会などが上位に挙がります。花なら朝顔やヒマワリが代表的ですし、虫ではカブトムシやクワガタ、麦わら帽子や虫捕り網といった小物も、夏気分を盛り上げてくれます。施設内の装飾や、制作物の題材にいかがでしょうか?

8月に旬を迎える食べ物は梨やスイカ、ぶどうなど。特に梨は食べられる時期が限られ、多く出回るのは8月から秋にかけての一時期だけ。それだけに、夏の訪れを強く感じさせてくれる果物です。

豊水や幸水といった赤梨系と、20世紀梨などの青梨系に大別され、それぞれ味や食感に違いがあります。これも好みがあるので、「私は甘くてジューシーなのが好き」「シャリシャリっとしてないと梨じゃない」など、聞いてみれば誰にでもこだわりがあるもの。利用者の方とのちょっとした会話の糸口に、機会があれば伺ってみてくださいね。

レクリエーションのネタになる8月の記念日

8月3日:ハサミの日


8月3日は語呂合わせからハサミの日。私たちの生活になくてはならない便利な道具ですね。荷物の荷解きやヘアカットなど、ハサミがないと困る場面は日常生活のなかにたくさんあります。

そこでハサミという偉大な発明品にちなんだレクリエーション、「便利グッズの使い方当てクイズ」はいかがでしょう?

100円ショップに行くと、「これは一体何なの?」「どうやって使うんだろう?」と不思議になってしまう便利グッズがたくさんあります。これらをいくつか購入して利用者の方々の前にならべ、見てもらいます。利用者の方が見て触れて考え、何に使うか当てるというクイズです。

高齢者にとっては、新しいものに触れ「何だろう?」と考えたり、「こっち向きで使うのかな?あっち向きで使うのかな?」と正解を探したりすることが良い頭の体操になり、脳の活性化につながります。

ペットボトルを持ちやすくするハンドルや、軽い力で蓋を開けられるグッズなど、高齢者向けの商品も組み込めば、「こんなものがあるのか」という発見になり、家で使おうという方もおられるかも。

「正解は・・・こうしてこうするんです!」「お~、これは便利だ!」と、種明かしタイムも盛り上がること必至のクイズレク。ぜひ皆さんで楽しんでみてください。

8月15日:終戦記念日

8月といえば忘れてはならないのが、8月6日の広島原爆、9日の長崎原爆、そして15日の終戦記念日。戦争の愚かさや悲惨さは、風化させることなく語り継いでいかなくてはなりません。高齢者施設ではこれに関連して、回想レクリエーションを行なってみるのはいかがでしょうか?

回想レクリエーションとは、自分の幼いころや若いころを思い出し、その思い出を語るレクリエーション。思い出を湧き上がるままに話し、それを周囲が受け入れてくれることにより、自分の想いを整理できたり、自分自身を大切に思う気持ちを育んだりする効果があると言われます。

戦争の話にテーマを絞ってしまうと、「戦争のことは思い出したくない」という人もいるかもしれません。ですから最初から話題を絞りこまず、古い写真や絵などを用意して、それをきっかけにどんなことでも思い出したら話してもらうというやり方が良いでしょう。もちろん戦争の話もOKです。

つらい話や残酷な話があるかもしれません。それらも含めて、お年寄りそれぞれの人生の深さに思いを馳せてみることは、職員の日々のモチベーションアップにも役立ちます。

注意点としては、本人や家族に事前に回想法について説明し、同意・了承をもらっておくこと。プライベートな話が出ることもありますが、話す本人や、話に出てきた家族や友人などの尊厳は守られなくてはなりません。個人情報を口外しないことや、職員同士で話の内容を共有することについて許可をとっておくことなどに注意しましょう。

>介護レク特集 vol.5 回想レクリエーションのやり方を教えて!

8月24日:地蔵盆


8月24日は地蔵盆。街角や路傍のお地蔵様を清めてお供えをし、子供の幸せを願う行事です。京都が発祥と言われており、おもに関西地方を中心に行われています。

高齢者施設では、近所のお地蔵様を飾り付けるよだれかけや頭巾を手作りして、奉納してみるのはどうでしょうか?ただ制作物を作るより、子供の安全や幸せを願うといった目的があったほうが、お年寄りのやる気を引き出しやすいでしょう。

また地域の町内会や子供会などが主体となり、お地蔵様にお参りに来た子供にお菓子を配ったりすることもあります。高齢者施設にも手作りのお地蔵様をつくるなどして、子供たちにお参りに来てもらうのも良いアイデア。

お参りに来てくれた子供にはお菓子をプレゼントしたり、簡単なゲームや福引などを用意したりして楽しんでもらいます。そうした役割も、スタッフが補助しつつ高齢者自身が担うことによって、社会参加につながるだけでなく、自尊感情を持ってもらうことができます。

事前にそうしたイベントの有無や、高齢者施設で担える役割などがないか問い合わせてみると良いかもしれません。

涼を楽しむ苔玉作り

ムシムシと暑い日が続く夏の盛りには、涼を楽しむレクリエーションとして「苔玉作り」はいかがでしょうか?

苔玉は小さなシダ植物などを苔で巻き、ボール状にまるめて楽しむ人気の苔園芸。作る途中、スプレーで苔を湿らせたり、苔を水に浸したりしながら行なうため、触感と視覚の両方から涼が味わえるレクリエーションです。

小さな苔玉なら作り方はそれほど難しくなく、費用もそれほどかかりません。作る工程では、スプレーや苔玉をぎゅっと握ったり、苔を糸で巻きつけたりと、握力や手先の細かい動きが必要に。手指をよく動かすことで、身体機能の維持・向上にも効果が期待できます。

作ること自体も楽しいのですが、作ったあとは飾って楽しむ、育てて楽しむことができるのも苔玉の魅力。ミクロの植物が作り出す小さな世界は、きっとお年寄りの心を癒やしてくれますよ。

8月の高齢者向けレクリエーション企画のポイント


8月30日はハッピー(8)サンシャイン(30)デーといって、「太陽のような明るい笑顔で過ごせば、ハッピーになれる日」なのだそう。

確かに、暗い顔をしていたら、気持ちも沈んでしまいます。逆にムリにでも明るい笑顔を作ると、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が増えたり、免疫力もアップしたりすることが科学的にも証明されています。

レクリエーションはそれ自体が運動や体操になって、体の機能を維持したり回復させたりする目的もありますが、それ以上に大きいのが、心を明るくする効果。うまくできる、できないではなく、参加者が笑顔になれているかどうかを大切にしたいですね。

蒸し暑い夏もあと一息。夏は高齢者にとっても負担の大きい季節ですが、それはサポートする職員にとっても同じこと。秋以降に疲れが出て体調を崩してしまわないように、明るい笑顔で幸せホルモンを分泌し、免疫力を高めていきましょう!

【高齢者のレクリエーションお勧めネタ&アイデア】

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