高齢者のレクリエーションお勧めネタ&アイデア「12月」

使えるハウツー


12月に入ると街路樹の葉もすっかり散り終え、いよいよ本格的な寒さがやってきます。

高齢者にとっては、寒いと体を動かすのがおっくうになり、活動量が落ちて食欲が減ったり、夜眠りにつきにくくなったりすることも。栄養不足や睡眠不足では感染症にもかかりやすくなるので、レクリエーションでしっかり頭と体を使って、活動量アップを目指しましょう。

いろいろなことがあった1年も、あと1ヵ月で終わりです。街はイルミネーションで華やかに彩られ、あちこちからクリスマスソングが聞こえてきます。介護施設のレクリエーションにも、年末らしいスペシャル感を取り入れたいですね。

レクで心と体を動かし、楽しく笑って、新しい年にもたくさんの福を呼び込めますように。

12月ってどんな月?

12月の異名といえば「師走(しわす)」ですね。由来は諸説ありますが、ふだんはどっしり構えている先生さえも、年末は忙しくて走り回ることから「師走」という説が有力です。

師走に楽しみたい旬の食べ物といえば、魚介ならぶりや牡蠣、野菜なら白菜や大根など。食卓の定番は旬の食材をたっぷり取り合わせたお鍋です。
果物ならりんごやみかん、柚子などがおいしい季節。とくにりんごは、皮の部分にポリフェノールを多く含んでいるので、よく洗って皮ごといただきたいところです。薄くスライスすれば、噛む力に不安のある高齢者にも食べやすくなります。

ちなみに、旬を迎えたりんごがツヤツヤと光ったり、少しベトついたりするのは、完熟したりんごから出る分泌物が、皮に含まれる自然のロウ物質を溶かすからなのだそうです。ワックスなどの人工的なものではなく、おいしいりんごの証でもあるので、安心していただきましょう。

12月の風物詩といえば、なんといってもクリスマス。施設を彩る壁画のモチーフなどでも多く採用されていますが、クリスマスにあまり馴染みや思い出がない高齢者は意外と多いかもしれません。そこで提案したいのが、「12月の装飾はクリスマス」という固定観念を捨ててみること。

たとえば兼六園の雪吊りの風景や、雪の合掌造り、りんご畑など、お年寄りが美しさや懐かしさを感じる冬の風景を切り取ってみるのはいかがでしょう。いくつか案を用意して、「私はコレが好き」「昔はこんな風景よく見たなあ」など、みんなでワイワイ意見を出しあえば、それ自体も立派なレクリエーションになりますよ。

レクや会話のネタに!12月の記念日

12月1日:映画の日

12月1日は映画の日。これにちなんで、「懐かしの銀幕スター、名前あてクイズ大会」はいかがでしょう。

準備として、石原裕次郎や三船敏郎、原節子や京マチ子など、利用者の方々になじみの深い昭和の銀幕スターの顔写真を、やや大きめに出力しておきます。当日はそれを見せて、名前を当ててもらうだけ。なかなか名前が出ない場合には、スタッフがヒントを出します。

「ああ~、ここまで出ているんだけど」と記憶をたどったり、名前が分かって「そうそう、そうだった!」とスッキリすることが、とても良い脳の刺激になります。「この映画、好きで何度も見たわ」「あら私も」などと利用者同士で盛りあがれば、それもまたよいコミュニケーションに。

上手にヒントを出せるよう、それぞれの代表作や有名なエピソードも調べておくといいですよ。

12月7日頃:大雪(二十四節気)


大雪とは、いよいよ寒さが本格的になり、雪が降り始める季節のこと。とくに免疫が下がりがちな高齢者は、体温が下がらないようキープすることが、大切な感染症対策のひとつになります。

温めるべきポイントでよく挙げられるのが、「首もと」「手首」「足首」の「3つの首」。気温が低いときには、ネックゲーターや手袋などの小物を上手に活用しましょう。

首ではありませんが、意外と大切なのが「頭」。ここを温めると体温が奪われずにすみ、効率よく体全体を保温することができます。

寒い季節に外出しなければならない場合は、ニット帽やベレー帽、ハンチング帽など、温かい素材の帽子をかぶるのがおすすめです。帽子をかぶるとグッとおしゃれをした気分にもなり、気持ちも明るくなります。利用者が帽子をかぶったら、スタッフはたくさん褒めるようにしましょう。

12月13日:正月事始め

正月の事始めとは、新年を迎える準備を始める日のこと。まずは「すす払い」、現代では大掃除から始めます。

一年のけがれをすっきりと清めたら、次は松飾りにする松の枝を山へ切りに行く「松迎え」。本来は新年の干支にあたる年男が、新年の恵方にある山からとってくるのが習わしなのだそうです。

冬でも葉を落とさず青々と茂らせる松は長寿のシンボル。他にもまっすぐに伸びる竹や、「難転(なんてん:災いを転じる)」に通じる南天(なんてん)など、縁起の良い植物はたくさんあります。これらを花材にして、お正月用の生け花をするレクリエーションも考えられそうですね。

「生け花なんて習ったこともないし、できない」と敬遠されそうですが、難しく考えなくてもOK。だれでも自由に簡単に、生け花を楽しめる方法をご紹介します。

用意するものはいろいろな形の花器(花瓶)、いろいろな花材、そしてはさみの3種類だけ。まずは一人1枝、自分が一番好きな花、心を動かされる花を選んでもらいます。そして一人ひとつ、好きな花瓶を選んでもらいます。

自分が気に入ったポイントが一番良く見えるように、花材を切り、花瓶に挿してもらって完成。できあがったら、なぜこの花を選んだか、いいと思ったポイントをひとりずつ説明してもらいましょう。

花材は花屋さんに予算を伝え、「お正月らしいものを」と頼んでおけばOK。花器には花瓶だけでなく、茶碗や急須、マグカップやじょうろなど、いろいろな形のものを用意しておくとイマジネーションが刺激されます。

「かんたんワンステップ!超シンプル生け花」などとタイトルをつければ、利用者の方に参加してもらいやすくなります。時間が飛ぶように過ぎていく師走、じっくりと花と対話するひとときは、とてもぜいたくな癒しの時間になりますよ。

12月21日:クロスワードパズルの日

1913年の12月21日、クロスワードパズルが「ニューヨーク・ワールド紙」の日曜版に掲載されたことから、この日はクロスワードパズルの日なのだそう。

鉛筆さえあれば誰でも手軽に挑戦でき、当てはまる言葉を探して脳も活性化するので、高齢者のレクリエーションにはうってつけです。記憶を刺激する懐かしいワードを散りばめたクロスワードパズルなら、回想法のメリットも取り入れることができます。

みんなでワイワイするゲームではありませんが、少し時間が余ったときなど、自分のペースで楽しめるレクリエーションも用意しておくと役立ちます。

>脳と心が若返る昭和なつかしクロスワード 福永良子 編・著 草思社

年越し蕎麦をおいしくいただく本格そばつゆ作り

年越しといえば「そば」ですね。そばを打つのは大変ですが、オリジナルそばつゆなら挑戦できるのではないでしょうか?

手作りのそばつゆは、市販のそばつゆとは一線を画す、豊かな風味が魅力です。たくさんのレシピが手軽に検索できますから、ぜひ利用者のみなさんと一緒に手作りに挑戦してみてください。

紅白歌合戦で盛りあがろう!

日本人にとって外せない大晦日のお楽しみといえば、やはり「紅白歌合戦」ではないでしょうか。そこで、あなたの施設でもぜひ「第1回◯◯ホーム紅白歌合戦」を企画してみませんか?

男性と女性で分けても良いですし、バランスが悪ければ白チームと紅チームに振り分けてもOK。年忘れのお祭りですから、それぞれの得意曲をおもいきり披露してもらいましょう。

最後にはやはり勝敗を決めたいところです。スタッフが審査員になって投票してもいいですし、カラオケの先生に来てもらって勝敗を決めてもらうのも盛りあがりそうです。毎年みんなが楽しみに待つような、施設の名物イベントになるといいですね。

12月のレクリエーション企画のポイント


12月は1年の締めくくり。何かひとつでもスペシャル感のあるイベントがあれば、ぐっと年末の特別感が高まります。

それにはもちろんクリスマス会もバッチリなのですが、お年寄りのなかにはクリスマスに馴染みがない、実はあまり興味がないという方もいます。

相手の立場に立って、やりたいことや興味を探ることは、レクリエーション企画の大切なポイント。利用者の方の反応を見つつ、クリスマス会以外にも、紅白歌合戦や年越しそばなど、昔から親しまれている日本の風習を取り入れてみるのも一案です。

ご紹介したアイデアに自施設ならではの味付けを加えて、ぜひ多くの方が興味を持って楽しめるようなイベントに育ててくださいね。

【高齢者のレクリエーションお勧めネタ&アイデア】

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