介護のシチュエーション別、言葉遣いをマスターしよう

使えるハウツー

「今日から、なれなれしい言葉遣いは禁止です。正しい敬語を使いましょう」と言われても、慣れたコミュニケーション方法を変えるのはなかなか大変なもの。とはいえ最近は、介護の現場でもサービス業のような対応が求められているのも事実です。

しっかりとした接遇マナーを身につけておくことは、利用者に対してだけでなく、そのご家族や職場の先輩とのコミュニケーションにおいても大いに役立ち、きっとあなたを助けてくれるはず。まずは、すぐに使えそうな内容からマスターしていきましょう。

目上の人に使ってはいけない言葉遣い

ほとんどの場合、介護施設の利用者はあなたよりも年上の場合が多いはず。まずは、目上の人に、使ってはいけない言葉遣いを確認しましょう。

赤ちゃん言葉や、子ども扱いした表現

「〇〇ちゃん、よくできたね~」「お利口さんね」「(簡単な質問なのに)分かるかなぁ?」など、小さな子どもをあやすような口調は、心地よく受け取られない表現です。年配の方は、身体機能が弱ってきていても、私たちより経験豊かな人生の先輩。うんと年下の人たちから子ども扱いされることは、決して気分の良いことではありません。

日々、お世話をしている側としては、相手のことをつい「できないことが多い人」という視点で捉えてしまいがち。そのため、上手くできたらほめてあげたい、勇気づけたいという気持ちから、そのような口調になるのかもしれません。
せっかく伝えるのなら、「お上手ですね」「努力家の〇〇さんには、いつも頭が下がります」と、相手に敬意を表しつつほめるように心がけてください。

タメ口や命令口調

「ほら、できたじゃん」「もぉー、知らんよ」「早く、早く!」「なんで出来ないの?」。忙しい日々のなかで、つい出てしまうひと言。悪気があるわけでなく、親しい関係だから許される、と軽い気持ちで口にしていることが多いのではないでしょうか。

けれども、同じ立場同士なら気にならなくても、介護を受けている(=お世話になっている、弱い立場と感じてしまう)側にとっては、その言葉が胸に刺さってしまうことも少なくありません。ご本人は、他人に言われなくても、失敗することやできないことが増えていることは分かっていて、そのことに大変心を痛めています。

逆に、「ごめんなさいね。先に片づけますが、ゆっくりしてくださいね」「(出来ないことを指摘するのでなく)〇〇がお得意ですね」などと、視点を変えることでコミュニケーションが取りやすくなります。

流行り言葉(若者言葉)や略語

「チョーすごい」「まじヤバい!(ほめているつもり)」「それ、アリですね」。聞きなれない表現に、ほとんどの利用者は「??」となってしまうでしょう。
せっかく相手のことをほめたい、元気になってほしいと思って発した言葉でも、伝わらなければ意味がありません。

人に何か「伝える」ということは、相手に「伝わる」ために努力するということ。相手の立場になって、その方が分かる言葉遣いを選ぶようにしてください。

介護の現場で今日から使える、シチュエーション別言葉遣い


日々の介助でよく出てくる会話シーン、正しい敬語表現をご紹介します。

1.朝のあいさつ

「〇〇さん、おはようございます!朝ご飯ができましたよ」
「そろそろお目覚めですか?今日はいいお天気ですね」
「おはようございます。よく眠れましたか?」

誰でも一日の始まりは、気分よく迎えたいもの。明るい声のトーンであいさつしましょう。
まだ眠っていたい方には、「さあ、起きなくては」と思ってもらうことも大切。楽しい一日を予感させるように、朝ごはんやレクリエーションなどの話題をつけ加えるなど工夫が必要です。

2.食事のとき

「今日は〇〇(メニュー)ですよ。この煮物、味がしみていて美味しそうですね」
(食事を勧めたいとき)「もう少し召し上がってみてください。作った人が喜びますから」
(しっかりと食べ終えたとき)「よく召し上がってくださって、嬉しいです」

食事の時間が和やかで楽しく過ごせることは、一日の流れにメリハリを与えてくれます。食事時の話題としては、食べ物の話やスポーツのニュース、季節の話題など、楽しい気分になれる会話を心がけましょう。

3.トイレの介助

(排泄介助をこばまれたとき)「ごめんなさいね。お嫌でしょうが、ちょっとお手伝いさせてくださいね」
(失禁したとき)「(周囲に気づかれないように)ちょっとあちらに行きましょうか」
        「気がつかなくてごめんなさい。もっと早く声をかければ良かったですね」
(トイレを促すとき)「これからお散歩ですが、トイレは済まされましたか?」

排泄の介助を受けることは、誰でも気が進まないし、失敗したとなるとさらに複雑な感情のはず。かける言葉がむずかしい状況ですが、そんな時こそできるだけ相手の気持ちに寄り添いながら言葉かけをしたいですね。

4.入浴のとき

「お風呂の準備ができましたので、どうぞお入りください」
(お風呂が嫌いな人に)「体を拭かせていただきましょうか。もしくは、足だけでも洗いにいきましょうか」「お風呂上がりに、おいしいジュースを召し上がってくださいね」

お風呂が嫌いな人、介助をこばむ人など、入浴に関する問題はさまざま。無理に強制してしまうと、その後のコミュニケーションにも影響するため、相手が納得のいくような説明をしつつ、丁寧に誘導してあげましょう。

5.レクリエーション

(参加を促すとき)「〇〇さん、腹ごなしに軽く運動されませんか?」
(参加してくれたとき)「よく来てくださいました。ありがとうございます」「〇〇さん、お待ちしていました!」
(負けて不機嫌になったとき)「惜しかったですね。次は頑張ってくださいね」

レクリエーションの雰囲気を盛り上げるには、いつもより大きな声で、明るく笑顔で話すことも大切。丁寧すぎる言葉遣いは場にそぐわないこともあるので、楽しい雰囲気を大切にしながらかける言葉をえらびましょう。

言葉以外のコミュニケーションも大切


介護の接遇マナーにおいて、正しい敬語を身につけると同時に、表情や声のトーン、話し方も大切です。

笑顔で話す

たとえば「おはようございます」と挨拶するとき、目を見てニッコリしながら言われる場合と、不機嫌そうに言われるのでは、受け取る側の印象はかなり異なりますよね。
人が笑顔を感じるポイントは、口角があがっていること、目が笑っていること。会話するとき以外でも、その状態をキープできるようになると、穏やかで話しかけやすい雰囲気の人という印象をつくることができます。

声のトーンは少し上げて

低いトーンの声は、怖そう、取っつきにくい、だるそう、といったマイナスの印象を与えてしまいがち。無理をする必要はありませんが、自分の声のトーンよりもう一段階あげるつもりで話してみましょう。

ていねいに、分かりやすく話す

高齢の方は、耳がとおくなると同時に、話の内容をすぐに把握する理解力や判断力はおとろえていきます。うまくコミュニケーションを取るためには、ゆっくりと話すこと。何か行動を起こしてほしいときは、内容をシンプルに、短い文章で話すこと。結論は、できるだけ前にもってくるようにすると伝わりやすくなります。

話し方は、相手の体調にあわせながら

明るく元気よく話すことが基本ではあるものの、相手の体調がすぐれないときには、その状況にあった声かけをしましょう。語りかけるタイミングや話のスピード、やさしい雰囲気など、相手の気持ちになって想像すると、温かみある表現ができるのではないでしょうか。

言葉遣い=心の姿勢のよさ。ほどよい緊張感が心地よさにつながる


敬語ばかりになると、他人行儀で冷たく感じられないだろうか?そんな不安をお持ちの方もおられるかもしれません。たしかに、状況や相手にふさわしくない敬語を使うと、いんぎん無礼な印象をあたえてしまいますが、それは使い方を間違っているから。

相手のおかれている立場と気持ちを考えながら、適切な言葉をえらぶことができれば、決して冷たい印象を与えることはありません。逆に、利用者には「自分のことを大切に思ってくれている」「自分のことを人生の先輩として、認めてくれている」と受け取ってもらえるはずです。

敬語や言葉遣いというのは、心の姿勢のよさを表します。たとえ家族や恋人の関係であっても、相手を尊重する気持ちやほどよい緊張感があるからこそ、良い信頼関係を築いていけるのです。言葉というのは、固く閉ざした心を照らしてくれる灯りにもなれば、人の心をグサリと刺す鋭利な刃物にもなります。そんな言葉の力を信じて、今後の介護の仕事にぜひ役立ててみてください。

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