特養入所の優先順位はどうすれば上がる?判定基準を詳しく知りたい!

使えるハウツー

入居の相談をする家族「特養」と略して呼ばれることが多い「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」。公的な施設なので民間の有料老人ホームと比べ入居費用が安いことから人気があります。

ただしそれゆえに空きが少ないのが欠点で、地域によっては入居待ちが数百人ということも・・・。特養に入所するにはまず、一定の条件を満たしたうえで申し込みを行い、空きが出て自分の順番が回ってくるのを待たなくてはなりません。

自分が何番目に入所できるのかという入所の優先順位は、所定の判定基準にしたがって各施設の会議で決められます。今回はその判定基準について、深く掘り下げてお伝えしていきます。特養の順番待ちをしている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

特養入所の条件は

特養の入居申込書

特別養護老人ホームに入所できるのは、原則として65歳以上で要介護3以上の認定を受けた人です。ただし特定疾病で要介護3以上であれば、40~64歳の方も入所することが可能。

特定疾病とは下記の16の疾病で、これらが原因で要介護状態になっている場合は、65歳未満でも介護保険サービスを利用することができます。

(1)末期ガン、(2)関節リウマチ、(3)筋萎縮性側索硬化症(ALS)、(4)後縦靭帯骨化症、(5)骨折をともなう骨粗しょう症、(6)初老期における認知症、(7)パーキンソン病関連疾患、(8)脊髄小脳変性症、(9)脊柱管狭窄症、(10)早老症、(11)多系統萎縮症、(12)糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症(13)脳血管疾患、(14)閉塞性動脈硬化症、(15)慢性閉塞性肺疾患、(16)両側の膝関節または股関節に著しい変形をともなう変形性関節症

また、以下に挙げるようなやむを得ない事情がある場合、要介護1や2の方でも入居が認められることがあります

  • 認知症により、日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態である。
  • 知的障害・精神障害等をともない、日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態である。
  • 家族等による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態である。
  • 家族等による支援が期待できず、また地域での介護サービスや生活支援の供給も十分でないために在宅生活が困難な状態である。

※参考:「特別養護老人ホームの「特例入所」に係る国の指針(骨子案)について」

65歳未満だったり、要介護1や2と判定されている方でも、上記のケースに当てはまれば特養入所が認められる場合があります。詳しくはお住まいの市町村で相談してみてください。

必要性の高い人から入所できる

入居の相談をする家族

特養に入所する順番は先着順ではなく、それぞれの施設で毎月行われる「入所判定委員会」で話し合って決められます。要介護度や認知症の影響、介護者の状況などを点数化し、合計点数の高い人から「入所の必要性が高い人」として、順に入所することができます。

参考までに、埼玉県の特別養護老人ホーム優先順位の評価基準を一部ご紹介しましょう。

埼玉県の特別養護老人ホーム優先順位の評価基準

  • 要介護度5で、認知症等による不適応行動が非常に多い場合は34点の加点。やや多い場合30点、少しあり24点、なしが18点。
  • 要介護度4で、認知症等による不適応行動が非常に多い場合は30点の加点で、やや多い26点、少しあり20点、なしが14点。
  • 要介護度3で、認知症等による不適応行動が非常に多い場合は26点の加点で、やや多い22点、少しあり16点、なしが10点。
  • 要介護度2で、認知症等による不適応行動が非常に多い場合は22点の加点となります。やや多い場合18点、少しあり12点、なしが6点。
  • 要介護度1で、認知症等による不適応行動が非常に多い場合は18点の加点となります。やや多い場合14点、少しあり8点、なしが2点。

次に介護者の状況ですが、介護者の年齢が高い、障害や疾病がある、育児や他の家族の看病をしなくてはならない、フルタイムで働いている、介護を助けてくれる人がいないといった場合に、最高42点まで加点されます。

さらに在宅介護の状況として、在宅介護期間が1年以上で、80%以上在宅サービスを利用している場合プラス14点といったかたちで、在宅介護の期間の長さや利用状況でも加点されます。

最後に埼玉県の場合、施設所在地と同一の市町村内だとプラス10点といった具合に、施設から近くに住んでいると加点があります。

参考:埼玉県特別養護老人ホーム優先順位の評価基準

入所の優先順位の判定は、このように介護の必要性に応じた点数制となっており、基本的にはこれを指針として選考されます。ただし施設側の受け入れ体制にともなう調整もあるため、完全に点数だけで決まるわけではありません。

たとえば相部屋であれば空いているのが男性部屋なのか女性部屋なのか、医療行為が必要な場合はその受け入れ体制が整っているか、ユニット型であれば、ユニットのほかの利用者と認知症の程度が同じくらいの人が望ましいなど、現場ならではの事情も。それに応じて多少順位が前後することがあることも知っておきましょう。

※「ユニットケア」についてはこちらも参考に≫「これからの介護のスタンダード、ユニットケアのメリット&デメリット」

優先順位を上げるためにすべきこと

特養の外観写真

できるだけ早く特養に入所したいと考えているなら、まず入所申し込みは数カ所の特養に併願しておきましょう。広域型特養であれば、住んでいる市町村でなくても申し込みできるため、第一希望にこだわらず許容範囲内の特養をピックアップし、複数申し込んでおくのがおススメです。

そして大事なことは、「申込書を出したらただ待つのではなく、状況に変化があればアップデートする」ということ。介護度が変わったり、家族のライフステージに変化があれば、必ず施設側にそれを知らせましょう。やり方は申込書に追記して再提出したり、変更届を出すなど、指定の方法に従ってください。

介護度が上がって介護がより大変になっている、家族が単身赴任になった、介護者が体を壊した、就職した、妊娠・出産した・・・介護期間中には様々なことが起こります。こうした事情によって入所の優先順位がグンと上がることもよくあります。

多くの入居希望者が待つ地域では、ただ待っているだけではなかなか順番は回ってきません。特養への入所がどうしても必要なんだという事情を、自分からアピールしていくことで道が大きく開けていくということを、ぜひ知っておいてくださいね。

積極的に必要性のアピールを

施設入居が決まった家族

【特養への入所優先順位選考に関係する事柄まとめ】

  • 要介護度の高さ
  • 認知症等による行動障害の度合い
  • 在宅介護生活の長さ
  • 介護者の状況(高齢or未成年である、病気になった、仕事を始めた、育児や看病で介護ができなくなったなど)

「果報は寝て待て」ということわざがありますが、こと特養への入所に限っては通用しません。はじめに入所を申し込んだときから介護度が上がっていたり、家族の状況が変化したり、認知症の症状が悪化するなどで介護が大変になっているようなら、すぐに申込書の再提出・変更届を出してアピールを。

備考欄なども空欄で出すのではなく、入所の必要性の判定に役立つ情報であれば、細かいことでも書き込んで提出するようにしましょう。

ほかにも入りたい人がたくさんいるなかで優先順位を上げてもらうには、どのくらい切羽つまっているのかをしっかり伝えていく必要があります。ぜひこちらから行動を起こして、良い施設とのご縁につなげてくださいね。

ご家族の介護をきっかけに介護のお仕事に興味が出た方、介護スキルの向上を目指したい方。かいごGardenでは、あなたのキャリアに併せて、働きやすい施設形態をご案内いたします。お気軽にご相談ください。
特別養護老人ホームでの介護職求人をお探しの方はこちら

この記事をシェア

  • Twitter
  • facebook
  • LINE

週間人気ランキング

かいごGarden noteとは?

かいごGarden noteは、介護の求人サービス「かいごGarden」が運営する介護の情報サイトです。
介護のお役立ち情報や、介護の仕事のお悩み情報などを掲載しています。