地域ケア会議とは?住み慣れた地域で最期まで暮らすために

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地域コミュニティ
皆さんは「地域ケア会議」という言葉を聞いたことがありますか?一般の人はもちろん介護に関わる仕事をしている人でも、職種によってはあまり耳馴染みのない言葉。なんとなく聞いたことはあるけれど、正確には説明できないという人も多いかもしれません。

地域ケア会議とは、地域の人が生活するうえで抱える問題を、当事者やケアマネジャー、介護サービス事業者やリハビリ・医療などの専門家、地域の民生委員などが集まって話し合い、解決策を探っていく会議のこと。参加者は話し合う内容に応じて、その都度選定されます。

高齢になっても住み慣れた場所で生活を続けられる社会を作るうえで、欠かせない取り組みである「地域ケア会議」。あやふやな理解だったという方も、以下でご紹介する具体的な事例を通じて全体像を掴んでくださいね。

地域ケア会議で取り上げるケースの事例

地域ケア会議の説明文は難しくなりがちなので、具体的な事例からみていく方がイメージを掴みやすいかもしれません。わかりやすい事例を2つほどご紹介しましょう。

【1】神奈川県大磯町の事例
自力ではゴミ出しができないAさんは、ヘルパーに頼んで前日のうちにゴミを出してもらっていました。しかしその地区で不審火による火災が発生し、夜間にゴミを出しておくことが認められなくなると、Aさんはゴミが出せなくなってしまいました。

この件を担当ケアマネジャーが地域包括支援センターに相談し、地域ケア会議で話し合うことに。検討した結果、地域住民の協力でインフォーマルチームが作られ、ゴミ出し支援が行われることになりました。

会議のなかで、Aさんと同じような困りごとを抱えた人が地区内に多くいることも分かりました。これを受け、大磯町ではゴミ出し困難世帯のゴミを個別に収集するモデル事業がスタート。2年後には制度化され、Aさんだけでなく多くの人の困りごとを解決できました。

【2】石川県金沢市の事例
地区担当民生員から「一人暮らしで物忘れが心配なBさんという人がいる」という相談が入ったため、地域包括支援センターとケアマネジャーが本人を訪問するも、Bさんからは「ヘルパーに掃除はしてもらっているが、あとのことは自分でできるし心配はない」との返答でした。そこでまずは周囲の人たちで、地域ケア会議を開催することになりました。

当日は家族、民生委員、担当ケアマネジャー、ヘルパーが参加。急ぐべき課題として、「消費者被害のリスク」「なじみの電気店から年金額以上の買い物」「認知症の診断」の3つが挙げられました。この結果を受け、「地域の見守り体制作り」、「商店への理解のうながし」、「かかりつけ医に協力してもらい認知症の専門医受診につなげる」という対策がとられました。

受診の結果、この方は認知症と診断されましたが、地域ぐるみで消費者被害のリスクなどを見守りつつ、地域での一人暮らしを続けています。この事例をきっかけに、認知症の一人暮らしの人をどう支えるかという地域課題の共通認識ができつつあるということです。

出典:地域ケア会議運営マニュアル 第3章 地域ケア会議の実践例(一般財団法人 長寿社会開発センターホームページ)

地域ケア会議で取り上げるケースは、【1】の事例のように、ケアマネジャーから地域包括支援センターに相談があった「支援困難例」のなかから選ぶ場合と、【2】のように民生委員や近隣住民からの相談・苦情から問題が発覚し、会議の開催につながる場合があります。

地域ケア会議の目的

用紙とボールペン
地域ケア会議の目的は大きく分けて5つあります。先に挙げた事例でも、このうちのいくつかが達成されています。

  • 個別課題の解決
    支援者単体では解決が困難なケースや、地域の課題だと考えられるようなケース、本人や家族がサービスを拒否しているケースなどをピックアップして、会議を通じて多機関・多職種の実務者の視点から検討し、解決策を探ります。
    会議のなかでさまざまな専門家からのアドバイスや、地域のネットワークによる協力を得て、行き詰まっていた課題を解決につなげていきます。こうした事例を積み重ねることによって、担当ケアマネジャーの実践力を高めることも、地域ケア会議の目的のひとつです。
  • 地域ネットワークの強化
    個別課題の解決に向けた話し合いのなかで、地域の関係機関同士で新たにつながりが生まれたり、連携を強めることが期待できます。
  • 地域の課題に気付く
    個別ケースをみていくことで、同じような困りごとを抱えた高齢者やその予備群の存在に気付くこともあります。このように、埋もれている地域の課題を発見することも重要な目的のひとつです。
  • 地域づくり
    地域ケア会議を通じて関係者に働きかけることで、地域の見守りネットワークのようなインフォーマルな取り組みを作っていくことも狙いのひとつ。地域に根付いたさまざまな支援が充実すれば、問題を抱えた人もサポートを受けながら生活を続けやすい地域になっていきます。
  • 政策への働きかけ
    その地域レベルだけでなく、市町村や都道府県などもっと広い範囲で取り組むべき課題が明らかになった場合は、市町村・都道府県・国に対し、必要な施策や事業の提言を行う役割も期待されています。

このように、地域ケア会議の目的は個別ケースの検討を基本に、そこから生まれるさまざまな機能も大切な役割として期待されています。この取り組みを進めていくことによって、政府が今構築を進めている「地域包括ケアシステム」を実現し、地域の人たちが安心して快適に生活し続けられるようにしていくことが最終的なゴールです。

「サービス担当者会議」との違い

同じようにケアについて話し合う会議に「サービス担当者会議」がありますが、地域ケア会議とはどこが異なるのでしょうか。大きな違いは、主催者が担当ケアマネではなく、市町村または地域包括支援センターであること。

参加メンバーはケアマネが持つネットワークよりも広く、ケースに応じて臨機応変に近隣住民や商店の人など、地域からさまざまな視点を持った人が集められます。そのため、介護や看護のサービスだけでは解決できないような、地域を巻き込んだ問題についても話し合えるというメリットがあります。

検討するケースも要介護、要支援の高齢者だけでなく、必要に応じていろいろ。サービス担当者会議ではその介護サービス利用者だけに焦点を当てて話し合いますが、地域ケア会議では背景にある地域のニーズなども視野に入れつつ、より幅広い視点で話し合いがなされます。話し合った結果が、地域全体によい影響を及ぼしていくことが理想です。

提案やアドバイスで前向きな会議に

会議をしている様子
会議の際に忘れてはならないことは、「支援を受ける本人の思いを尊重する」ということです。周囲がよいと思う方法であっても、本人が望まないものを押しつけることはできません。本人や家族が参加していない場合では、担当ケアマネジャーなど本人の意向を伝えられる人から話をよく聞き、本人の自己決定にもとづいて支援を行うことが大切です。

また参加者が発言する際は、ケースを担当しているケアマネジャーに対し、単なる批判になってしまわないよう注意が必要です。たとえケアマネジャー本人の経験不足や知識不足が原因で問題が起こっているとしても、一方的な批判で事態は好転しません。

ケアマネジャーに会議の内容を今後の糧にしてもらえるよう、意見は言いっぱなしで終わらせない意識を持ちたいもの。自分の立場でできることの提案や、自分の持つ専門知識を活用した建設的なアドバイスを心がけ、前向きな話し合いにしていきましょう。

住み続けたくなる街にしていこう

街並み
地域ケア会議がどんなものか、だいたい掴むことができたでしょうか?介護や看護、リハビリなどの専門家でなくても、多くの人に地域の代表として、地域ケア会議に出席を求められる可能性があります。

会議を実り多いものにするには、参加者みんなが「自分たちでよりよい地域を作っていこう」という気持ちを持って参加することが欠かせません。困っている誰かのために何かをすることは、巡り巡っていつか自分にも返ってきます。

みんなが少しずつの思いやりを持ち寄って、高齢になっても障がいがあっても、誰もが自分らしく住み続けることができる、包容力のある街にしていきたいですね。

参考:地域ケア会議運営マニュアル(一般財団法人 長寿社会開発センター)

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