難聴は最大の認知症リスク要因!気付いたら早めの対処を

使えるハウツー

耳で聴くポーズ

年齢を重ねると誰でも少しずつ、あちこちに不具合が出てくるもの。耳が聞こえにくいと気付いても、「年だから仕方がない」と諦めてしまっている方も多いかもしれません。

じつは最近の研究から、難聴の人は認知症になるリスクが高いことが分かってきました。くわしいメカニズムはまだ分かっていませんが、周囲とのコミュニケーションが減ってしまうことが影響していると考えられています。

聞こえづらい方を介護するときには、なるべくストレスを感じさせないように接し、会話を減らさないことが大切。後半では、伝わりやすい話し方のコツについてもお伝えします。聞こえづらさに寄り添い、適切に対処して認知症予防につなげていきましょう。

聴力の低下は、認知症最大のリスク

発症するとまだ有効な治療法がない認知症。だからこそ、どんな人が認知症になりやすいかは気になります。2017年、医学雑誌「ランセット」※で、「自分の意思で修正可能な、9つの危険因子」が報告されました。

それによると、「11~12歳までに教育が終了」「高血圧」「肥満」「中年期(45歳~65歳)の聴力低下」「喫煙」「抑うつ」「運動不足」「社会的孤立」「糖尿病」のいずれかにあてはまる場合、そうでない人に比べて認知症になるリスクが高いことが分かったということです。

そのなかでも最も大きな危険因子とされていたのが「中年期の聴力の低下」でした。報告によると、これに当てはまる場合、当てはまらない人より1.9倍も認知症になりやすいとのこと。他の危険因子の倍率は1.4~1.6倍なので、聴力低下が抜きん出てリスクが高いことがわかります。

難聴を放置すると認知症になりやすい理由は、まだはっきりとは分かっていません。しかし、人の話が聞き取りづらくなると、人と会話することがおっくうになってしまい、社会から孤立してしまったり、疎外感を感じて抑うつ状態になってしまうことがあります。また、耳から入ってくる情報が少なくなるため、脳への刺激も減少。これらの要素が影響しているのではないかと考えられています。

聞こえにくいことに気付いたら、放置せずきちんと医療機関にかかり、補聴器を適切に使用するなどの対策をとって、認知症リスクを減らしていきましょう。

※世界中に多くの読者を持つ世界五大医学雑誌のひとつで、ロンドンとニューヨーク市に編集室を持つ

加齢性(老人性)難聴とは

耳が遠く聞こえづらい様子のシニア女性

聴力低下の原因で多いのは、「加齢性(老人性)難聴」です。これは加齢によって起こる難聴で、年を重ねたら誰にでも起こる可能性があります。早い人では50歳代から始まるといわれ、65歳から急に増加。前述の報告では、中年期(45歳~65歳)の聴力低下が高リスクとされているため、そのころに聴力が低下してきた場合はとくに注意が必要です。

加齢性難聴は老化現象の一種なので、根本的な治療法はありません。しかし、ふだんの生活に少し注意を払うことで、進行を遅らせることができるといわれています。たとえば、工事現場や高速道路の騒音など大きな音を避けたり、耳の血流を良くするためにビタミン類を摂ったり、過度なストレスを避けるなど。また、補聴器によって聞こえの状態を改善することもできます。

難聴には加齢性以外にも、遺伝性のものや急性のものもあります。難聴かもしれないと思ったら、まずは耳鼻咽喉科を受診し、検査を行うのがおすすめ。できるだけ早く適切なケアを始めることが、認知症のリスクを下げることにつながります。

聞こえづらい方の介護のコツ

75歳以上の7割以上が該当するというほど、高齢者に多い加齢性難聴。介護現場でも聞こえづらい利用者の方と接する機会は多いことでしょう。こちらの言葉が聞き取りにくいと、高齢者の「人とコミュニケーションをとろう」という意欲をそいでしまいます。コツをおさえて、聞き取りやすい話し方を心がけましょう。

【聞こえづらい方と話すときのコツ】

  • 大声ではなく、少し大きめ&低めの声でハッキリ話す
  • 相手の視界に入り、正面から表情を見せて話す
  • ゆっくりと、わかりやすい言葉で、簡潔に話す
  • ジェスチャーや筆談も交える

聞こえづらい方と話すとき、少しでもよく聞こえるようにと、耳元で大声で話すことがあります。しかし、高齢者は視界が狭くなっていることが多いので、いきなり耳元で話すとびっくりさせてしまうことも。それよりも、しっかりと相手の視界に入り、アイコンタクトをとりながら「ゆっくり・ハッキリ」話すのがコツです。

また加齢性難聴では、とくに高音域が聞き取りにくくなるため、声の高い人は少し意識して、低めの声で話すようにするのも効果的です。

聞こえの悪さを軽視するのは禁物!

話しかけるシニア女性と声が聞き取れないシニア男性

中年期に聴力が低下すると、認知症になるリスクが高まってしまいます。「年だからしかたない」「少し聞こえが悪いだけ」などと軽く考えず、きちんと対処していくことが必要です。

加齢性難聴の場合は補聴器の利用も有効ですので、検討してみるのも良いでしょう。

補聴器の購入には健康保険や介護保険は適用されませんが、医師の診断書、領収書があれば医療費控除の対象になります。また、自治体によっては補助金が出ることもありますので、費用がネックになって二の足を踏んでいるという方は、ぜひお住まいの自治体に確認してみてください。

「ちょっと我慢すればいい」と思っているうちに、認知症を発症するリスクは高まっていきます。補聴器などのケアで聞こえが改善すれば、認知症リスクを低下させられるだけでなく、毎日がグンと快適になります。聞こえにくさに気付いたら、ぜひ早めにケアを始めていきましょう。

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