科学的介護とは?データベース「LIFE」活用でできること

使えるハウツー

「科学の力と介護」イメージ

「科学的介護」という言葉を聞いたことがありますか?「介護」という言葉と、「科学的」というワードとの間に、ギャップを感じる人もいるかもしれませんね。科学的介護というのは、客観的な情報に基づいた分析結果を活用し、実践していく介護のこと。

介護スタッフの働き方改革と、サービスの質向上の両方に役立つとして、厚生労働省によって推進されている新たな介護のあり方です。上手に活用していけば、業務の効率を高めながら、よりよいサービスを提供できると期待されています。

今回はその内容や得られるメリット、具体的な利用方法などについてご紹介していきます。科学的介護推進のため、今後はデータベースの活用等がスタンダードになっていくと考えられますので、よく知らないという方はぜひチェックしてくださいね。

科学的介護とは

科学的介護とは「科学的裏付けに基づく介護」のこと。本人の意向や現場の感覚も大切ですが、それだけに頼るのではなく客観的な証拠に基づいた介護を行うことで、自立支援や重度化防止における成果や効率を、より高めていくことを目指しています。

ただ高齢者の心身状態や背景は一人ひとり異なるうえ、さまざまなニーズや価値判断基準を持った人がいます。「これを用いれば客観的に正しく効果が計測できる」という指標が確立していないことも多く、科学的介護推進の妨げとなっていました。

そこで厚生労働省では、科学的アプローチに必要なデータを集めることから始めました。まず2009年度から収集していた要介護認定情報に加え、2012年度から介護保険レセプト情報も市町村から収集し、介護保険総合データベース(介護DB)を作成。

また2017年度からは、通所・訪問リハビリテーション事業所からリハビリ計画書等の情報を収集し、通称「VISIT(monitoring & eValuation for rehabIritation ServIces for long-Term care)」と呼ばれるデータベースを作成し、運用を開始。VISITを通じてデータ提出を行うことで得られる加算も創られ、リハビリに関するデータ収集が始まりました。

さらに、上記で集めたデータだけでは分からない高齢者の状態や、ケアの内容などのデータについても検討を行い、信頼性と科学的妥当性がある265の収集項目を選定。2020年度からは通称「CHASE(Care,Helth Status & Events)」というデータベースで、これらの項目についてデータ収集を始めています。

そして2021年度からは、CHASEとVISITが統合されてLIFE(Long-term care Information system For Evidence)と名称を変え、本格稼働していくことに。その役割と詳しい内容について、以下でお伝えしていきましょう。

データベースは統合され「LIFE」へ

データ分析のイメージ

LIFEには、各介護事業所で利用者の基本情報や、実施したケアの内容、利用者の状態に関するデータなどを登録します。こうして集められたデータは、匿名化されて厚労省のデータベースに蓄積。各介護事業者がLIFEのサイト上で請求すれば、そのデータから導き出されたフィードバック情報を得られるようになります。

フィードバックされる情報は、利用者単位と事業所単位になる予定。たとえば利用者単位なら、利用者の年齢・性別・要介護度といった背景をふまえ、状況が似ている人のADL(日常生活動作)や栄養状態の全国平均と比較することによって、その人に推奨されるケアの内容を示してくれる、といった具合です。

事業所単位では、全国平均と比較した自施設の傾向などをフィードバック。施設としてどんなことに注力していくと効果が期待できるかが分かる、といったイメージになります。現場ではこれらを参考に、計画書の見直しや日々のケアの改善に役立てることが可能です。

また2021年度の介護報酬改定においては、LIFEを活用することを前提とした加算や加算上位区分も設けられるため、介護報酬上でのメリットも見逃せません。

>LIFEの活用等が要件として含まれる加算一覧(施設・サービス別)(公益社団法人全国老人福祉施設協議会ホームページ)

LIFEは利用申請やユーザー登録を行えば、すべての介護事業所で無料で利用することができます。以下で活用の具体的な方法についてご紹介します。

「LIFE」の利用方法について

初めて利用する場合は、LIFEサイトの「新規登録ボタン」から利用申請を行います。申請は毎月25日で締め切られ、その翌月上旬に厚労省から簡易書留で圧着ハガキが送られてきます。そこに記載されたIDとパスワードを使ってサイトからログインすれば、利用を開始することができます。

もしくは2020年度中に「CHASEに関するお知らせ」ハガキが届いている場合、そこに記載された情報でLIFEを利用可能。またすでにCHASEやVISITを利用していた場合は、そのID・パスワードがそのままLIFEで使用できます。CHASEとVISITの両方を利用していた場合は、VISITのID・パスワードはCHASEのID・パスワードに統一され、LIFEで引き続き使用できます。

LIFEを始めるにあたっては、利用者の情報登録などの入力作業を行う必要があります。小規模な施設であれば手入力してもよいのですが、人数が増えるほど手間がかかるのが難点。すでに介護記録ソフトを導入している場合は、そのデータをCSV形式にして一括で取り込むことが可能です(ただし使用している介護ソフトがLIFEのフォーマットでのCSVファイル出力に対応していることが必要)。

LIFEサイトに導入手順書や操作マニュアルが用意されていますので、わからない場合は参照しながら進めていきましょう。また、下記サイトにはQ&Aや活用方法解説動画、LIFEに対応する介護記録ソフトの一覧などもアップされています。ぜひ参考にしてくださいね。

>LIFE活用ポータルページ(公益社団法人全国老人福祉施設協議会ホームページ)

科学的アプローチで未来に希望が持てる介護へ

デスクワーク中の介護職員の様子

2021年度からはLIFEを使って、全国の介護事業所からデータを収集する取り組みが本格的にスタート。介護の実践に科学的な手法を取り入れていく流れが大きく加速しています。

もちろん、介護の場は高齢者の大切な生活の場でもあるため、効率や結果を求めるあまり本人の幸福感や人生の満足感が損なわれないよう注意することも大切。とはいえ、信頼できるデータの蓄積によって明らかになる新しい発見には、大きな期待がかかります。

たとえば今までよかれと思われていたケアが実はそれほど重要ではなかったり、逆に重要視されていなかったケアが大きな影響力を持っていたり・・・そういった有益な情報が現場にフィードバックされることで、「ただ身の回りの世話をしてくれる」だけの介護ではなく、「未来に希望が持てる」介護へと、少しずつ変わっていくのではないでしょうか。

新しいシステムに慣れるのは大変ですが、地道なデータ集めは日本の未来の介護にとっても大きな財産になるはず。ぜひ新制度に前向きに取り組み、日々のサービスに役立ててくださいね。

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