ケアラーとは一体どんな人?介護の課題と支援策を紹介

使えるハウツー

「ケアラー」イメージ

「ケアラー」という言葉を耳にしたことはありますか?

ケアラーとは介護や看病、療育が必要な家族や近親者を無償でサポートする人のこと。日本では増加傾向にあり、高齢化社会が進むなか、今後はさらに増えていくことが予想されます。心身ともに負担がかかる彼らをめぐる問題点は少なくありません。今回はケアラーが抱える課題と支援策について紹介していきます。

ケアラーとはどのような人を指すのか?

ケアラーのケア対象は、高齢者だけではありません。障がい者や難病患者、病児・障がい児、さらにはアルコールなどの依存症や引きこもりの方までと広範囲にわたります。何らかの事情があって日常生活を送ることが困難な方のケアを担う人を総括してケアラーと呼んでいます。サポート内容は身の回りの家事や力仕事、外出時の介助・付き添い、感情面のサポートなど多岐にわたります。

ケアラーが抱える課題はさまざま

頭を抱え悩んでいる人の様子

介護される側だけではなく、介護をする立場のケアラーもさまざまな問題を抱えています。近年は若年層のケアラーが増えてきたことで新しい問題も発生しているようです。では、どのようなトラブルがあるのか見ていきましょう。

長時間の介護で溜まるストレス

平成23年にNPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジンが行った調査によると、ケアラーのケア対象の多くは、父母(義父母)や祖父母、配偶者などの家族であることがわかっています。同居の場合、1日中要介護者につきっきりになり自由な時間が取れず、ストレスを感じているケアラーも少なくありません。こうしたストレスが蓄積されると、心身のバランスを崩してしまうおそれがあるのです。

家族(世帯)を中心とした多様な介護者の実態と必要な支援に関する調査研究事業

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001fv80-att/2r9852000001fvd8.pdf

社会的孤立を感じているケアラーも多数

身近に要介護者がいるために定職につけないというケアラーも珍しくありません。満足な収入が得られずに、経済的負担が重くのしかかってしまう人もいます。また金銭面も大きな問題ですが、社会的なつながりが断絶されることでコミュニケーションが満足に取れず、社会からの疎外感を覚える人も。最近よく聞かれる「介護うつ」は、ケアラーが感じる孤独からくることが多いと言われています。

増加するヤングケアラーと問題点

ケアラーが最も多い年代は親の介護が必要になってくる50~60代ですが、その一方で「ヤングケアラー」と呼ばれる18歳未満の学生の増加も指摘されています。

ヤングケアラー増加の要因には以下のような例が挙げられます。一つ目は晩婚・高齢出産が進むなかで、子どもが成人する前に親の介護が必要な状態になってしまうケース。そしてもうひとつは仕事で忙しい両親に代わって、子どもが祖父母のケアを行うケースです。

若いときから介護に関わると介護の大切さを学べるので、これは決して悪いことではありません。しかしながら、介護に時間を取られて本分である学業に支障をきたしたり、友達との交流が減ってしまったりする問題は無視できません。実際にヤングケアラーが不登校になってしまった事例もあります。このような問題の改善にむけての取り組みが社会全体で必要なのです。

介護疲れが原因の事件は増加傾向

介護疲れが原因で引き起こした事件は年々増加傾向にあり、日本各地で要介護の配偶者や親とケアラーの間で発生しています。これらの事件の特徴は、被害者だけではなく加害者側にも何らかの健康問題があり、一人で介護をしていたというケースが多いということ。最悪の事態を避けるためには、自治体などのサポートが非常に重要です。

日本でも進みつつあるケアラーのサポート体制

日本ではまだケアラーという言葉が浸透しているとは言えませんが、海外でのケアラー支援は進んでいます。イギリスではケアラー法が施行され、ケアラーの権利を保障していますし、オーストラリアでもケアラー貢献認識法が成立しています。他にもアメリカやドイツ、アジアでは台湾でも同じような法律があり、国が自治体や企業などと連携してケアラーのもとへホームヘルパーを派遣したり、手当てを支払ったりするなど細やかな施策をおこなっています。

近年、日本でもようやく介護先進国をお手本に、ケアラーが抱える問題を社会的に解決しようとする動きが見られるようになりました。2010年には介護の専門家や市民によって一般社団法人日本ケアラー連盟が発足しています。

同団体は、ケアラーの調査研究や広報・啓発活動、また議員との勉強会を開催するなどして、ケアラーへの有益な情報の提供と精神面のサポートをおこなっています。また、ケアラー支援を目指して「ケアラー手帳」を作成し、ケアラーへの情報提供や健康管理を提案しています。最近では、新型コロナウイルスの感染拡大で負担が増しているケアラーへのサポート対策を講じるなど、世の中の情勢に合わせていち早く行動をとっている組織です。

地域包括ケアシステムで求められるケアラー支援

高齢者に笑顔で寄り添う女性たち

高齢化社会が進むなかで、2020年4月に埼玉県で日本初となるケアラー支援条例が施行されました。この条例ではケアラーを定義し、自治体や関係機関と協力しあってケアラーを支援していく方針をまとめています。ケアラーの従業員を雇用している事業主は、勤務体制に配慮したり、必要な情報を提供したりしなければならないなど、具体的な支援策が盛り込まれているのが特徴です。さらに、埼玉県では今後はケアラーを支援する人材の育成をすすめていく予定です。

日本には「自分の家族は自分が面倒を見て当然」という考え方が根強くありますが、家族だけで介護を継続するには限界があります。ケアラーが社会的にも精神的にも孤立してしまうことは大きな社会的損失です。人生で介護する側、される側に回るのは誰にでも起こりうること。自分自身がそうなったときのことを考えて、今から社会全体でケアラーをサポートしていく姿勢が求められているのです。

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