
職員がチームになってケアを提供する介護職では、「上司との相性が合わない」「同僚との付き合いがうまくいかない」といった人間関係に悩む声をよく耳にします。
特に少人数体制で運営している小規模な事業所では、職員同士の距離が近くアットホームな良さがある反面、人間関係のトラブルがあると逃げ場がなくなり、ストレスを感じてしまうケースも少なくありません。
今回は、介護職でよくある人間関係の悩みと問題別の対処法、介護職で働くときの心得について解説します。
介護職員によくある人間関係の悩み
介護現場は、チームプレーが基本となるからこそ、職員同士の人間関係が働きやすさや仕事のモチベーションに影響します。ここでは、多くの介護職員が直面しやすい人間関係の悩みについて解説します。
ケアに対する姿勢や価値観に違いがある
介護施設によってケアの方針や具体的な業務マニュアルなどが異なります。
自分がとった行動や判断に対して、同僚や先輩職員から「こうするべきだ」と指示されたり、「それは違う」と頭ごなしに否定されたりすることで、人間関係の対立や衝突を招いてしまうことがあります。
また、介護職に就いて経験が浅い職員の場合は、「このやり方は良くない」と思っていてもベテラン職員に対して意見を言いにくく、ストレスが溜まってしまう人もいます。
職場の雰囲気が殺伐としている
介護現場では、日常生活の介助や事務作業、施設の清掃などのさまざまな業務に対応する必要があり、体力的・精神的な負担も大きくなります。
特に職員が不足している施設では、忙しさのあまり心に余裕がなくなり、職場が殺伐としてしまうことも少なくありません。このような職場では、些細な出来事で言い争いが起きたり、雑談や笑顔がないことで居心地の悪さを感じたりする場合があります。
職場のルールを守らない人がいる
一緒に働いている介護職員のなかに職場のルールを守らない人がいると、その人に対する不信感や不公平感が生じてしまい、人間関係の悪化を招いてしまうことがあります。
例えば、「業務マニュアルを徹底しない」「報連相をしてくれない」「急な欠勤や遅刻が多い」などが挙げられます。ルールを守らない職員がいると、関係のない職員にまで迷惑がかかるため、不満が溜まっていきます。
自分だけに嫌がらせをしてくる
職員同士のチームワークを乱すような職員がいることは、大きな悩みの種となります。
「仕事だから」と割り切っていても、自分だけに嫌がらせをしてきたり、会話に入れてくれなかったりする行為をされると、精神的なストレスにつながります。
特に相手に意見や文句を言いづらい控えめな性格の人は、嫌がらせをされても言い返すことができず、一人で悩みを抱えてしまうことも少なくありません。
こんな時はどう接する?問題別の対処法を紹介
意見の対立が起きそうになったときや、理不尽な言動をされたときには、感情に任せて動くのではなく、相手の気持ちになって冷静に対応することがベターです。
ここでは、よくある問題別の対処法を紹介します。
ケアや仕事のやり方で意見が合わないとき
介護の仕事に対して意見が合わないときは、無理に自分の意見を通そうとせずに、相手の気持ちや意図を理解しようと試みることが大切です。
相手の主張や経験を尊重する姿勢を見せたうえで、「こんな方法もある」「こうしてはどうか」といった提案ベースで自分の意見を伝えるようにすると、角を立てずに建設的な議論をしやすくなります。
▼具体例
| 「経験豊富な○○さんの指示は、本当に勉強になります。私の介助のやり方とは違う点があるので、今後のためにどのような問題点があるのか教えていただきたいです。」 「現在の記録方法でも問題ないかと思うのですが、毎日5分の時間を短縮できればもっと皆の負担が減ると思います。一度試してみるのはどうでしょうか。」 |
派閥を作ろうとする人がいるとき
派閥を作りたがる人は、介護施設という職場環境において「孤立したくない」「自分の存在価値を示したい」「自分の思い通りに物事を進めたい」という深層心理があります。
その人にとって「敵」とみなされると、攻撃の対象となってしまうため、味方でも敵でもない「中立の立場」を守ることが重要です。また、愛想よく接しつつ、仕事以外の交流は避けたほうがよいといえます。
▼具体例➀ランチや飲み会に誘われたとき
| 「お誘いはとてもうれしいのですが、スケジュールが合わなくて・・・。」 「試験勉強がぜんぜん進んでいなくて、なんとか終わらせたいので、すみません。」 「ぜひ行きたいのですが、家族が体調を崩していて、今日は早く帰らないといけないのです。」 |
▼具体例②ほかの職員の悪口を言われたとき
| 「そんなことがあったんですね」 「それは大変でしたね」 |
プライベートに干渉してくるとき
仕事以外の家族や趣味、恋人などのプライベートなことを根掘り葉掘り聞いてきたり、自分に意見を押し付けてきたりする人がいます。
このような職員は「あなたのためを思って」という気持ちがあるため、「もう大丈夫です」「結構です」と拒否すると怒りを買ってしまう可能性があります。
プライベートに干渉してくるときには、相手の気持ちを受け止めつつも、あまり深堀りせずに受け流す意識を持つことがポイントです。
▼具体例
| 「○○さんはすごいですね。私も○○さんみたいにできたらいいんですけど・・・」 「教えてくださってありがとうございます。自分なりにやってみますね」 |
嫌味を言われたとき
仕事のやり方や性格などについて嫌味を言う人は、あなたに対して何か嫉妬心を持っていたり、「自分の不満や悩みを聞いてもらいたい」という気持ちが隠れていることがあります。
腹立たしいことを言われた際に感情的になってしまうと、喧嘩やいじめにつながってしまうこともあるため、相手のペースに巻き込まれないように注意が必要です。
嫌味を言われたときは、反論やネガティブな反応を避けて相手を立てたり、同意をしたりして受け流すようにすることがポイントです。
▼具体例➀「こんなこともできないの(知らないの)」と言われたとき
| 「勉強になります!」 「もっと頑張らないといけないですね。」 |
▼具体例②「いつも仕事が遅いね」と言われたとき
| 「そうなんですよね。○○さんはいつも早くてすごいと思います。」 「私も悩んでいるんですよ。何かいいアイデアあれば教えてください。」 |
無視をされる・口を聞いてくれないとき
無視される・口を聞いてくれないといった行為は、介護の仕事にも影響があります。
同僚や上司に伝えたことを「聞いていなかった」「知らない」と言われると、自分の責任になってしまう可能性があるため、周囲の人がいるときや、記録として残る形でもコミュニケーションをとることが重要です。
また、相手の名前を呼ぶことで周囲が「○○さんに話しかけている」と認識できるため、無視をしにくい環境になると考えられます。
▼具体例➀業務の連絡・報告をしたいとき
| 「〇〇さん。先ほど〇〇の件で口頭でお声がけしましたが、急ぎの連絡ですので改めてメールします。〇〇の利用者様の介助に必要な情報なので、必ず確認をお願いします。」 |
▼具体例②聞きたいことがあるとき
| (ほかの職員がいる場所やミーティングで)「〇〇さんにお聞きしたいのですが、△△について進捗状況を教えていただけますか?」 |
▼具体例③業務に支障が出ているとき
| 「〇〇さん、お忙しいところ失礼します。ここ数日、業務で私がお声がけしてもお返事がいただけない状況が続いています。業務に支障が出るため、今後の業務のやり取りについて、どのようにすれば良いか教えていただけますか。」 |
介護職員同士の人間関係に悩まないための心得
介護施設での人間関係に悩んだとき、真摯に向き合おうとすると心が疲弊してしまうこともあります。自分自身の心を守るためのマインドを意識的に持つことが大切です。
➀相手の土俵で戦わない
同僚や先輩職員に理不尽なことや嫌味を言われたとき、ついイライラして感情的になってしまうことがあります。しかし、感情的になることは「相手と同じ土俵に立つ」ことになり、口論や人間関係の悪化を招く要因になります。
相手の言葉を真正面から受け止めるのではなく、軽く受け流して戦いを避けることで、相手の攻撃意欲をなくすことができます。
▼接し方のコツ
|
コツ |
具体例 |
| 1.相手に同意する | 「そうなんですよ。」 「なるほど、そういう考え方もありますね。」 |
| 2.逆質問をする | 「至らぬ点を直したいので、具体的にどうすればよいか教えていただけますか?」 「○○さんはいつもどのようにされてますか?」 「私のどんな所を改善したほうがよいですか?」 |
| 3.ネガティブな言葉をポジティブに捉えて返す | 「細かく指導いただき、ありがとうございます。」 「フォローしてくださり、助かります。」 |
②相手を変えようとしない
価値観が合わない人や嫌がらせをしてくる人がいるときに、「自分の気持ちを分かってほしい」「言動を直してほしい」と思う職員もいるかもしれません。
しかし、物事の捉え方や性格は人によってさまざまです。「相手が変わってくれる」と期待すると、かえって現実とのギャップにストレスが溜まってしまいます。
問題を根本的に解決しようと思わずに「この人はこういう人なんだ」と割り切り、心の距離を置いて「自分を守ること」を優先する意識を持つことが大切です。
③相手の気持ちを想像して受け止め方を変える
職員のなかには、悪意のあるいじめや嫌がらせを行っている意識はなく、仕事の効率性やケアの質を大切にするあまり、攻撃的や威圧的な態度をしてしまう人もいます。
そんなときに「きっと嫌がらせをしているんだ」と相手を否定するのではなく、「なぜそうなっているのか」を想像してみることで、言葉の受け止め方が変わることがあります。
▼何かと干渉してくる先輩がいるとき
| 「プライベートに踏み込んできて失礼」
↓ 「自分と仲良くしようとしてくれている」 |
▼厳しい言葉をかけてくる職員がいるとき
| 「自分を否定している」
↓ 「利用者の安全に対して人一倍責任感が強いのかもしれない」 |
このように柔軟な視点を持つことで、相手に対する苦手意識が減ったり、気持ちが楽になったりすることもあります。
介護現場での人間関係にストレスを感じたら
介護現場で起きる人間関係のトラブルは、自分ひとりの努力だけで解決できないこともあります。ストレスが限界に達する前に、解決に向けた具体的な行動を検討しましょう。
本人や上司に気持ちを伝えてみる
相手の言動を受け流すことができても、「精神的に大きなストレスになっている」「業務に支障をきたしている」といった場合には、本人や上司に率直な気持ちを伝えてみることも一つの方法です。
自分が思っていることや悩みを正直に伝えることで、お互いの先入観や誤解が解消されることもあります。ただし、攻撃的や感情的になるのではなく、相手の気持ちを尊重して建設的に伝えることが大切です。
仕事以外の自分の場所を作る
人間関係のトラブルや悩みが生じた際に、気持ちを切り替えてリフレッシュできるように、仕事以外で自分の場所を作ることも大切です。
仕事終わりや休日に没頭できる趣味を見つけたり、信頼できる友人と会ったりすることで、心にゆとりが生まれて、「こんなことで悩んでいたんだ」と人間関係の悩みや不安が軽くなることもあります。
転職を視野に入れる
職員との人間関係が理由で「精神的に疲れてしまう」「仕事に行きたくない」と感じる場合には、転職して今いる環境を変えることも一つの方法です。
介護業界の仕事にはさまざまな職種があり、施設によって職員の構成や職場の雰囲気も異なります。現在の職場が合わなくても、風通しがよく働きやすい職場は必ず存在するため、「自分は介護職が向かない」と諦めずに転職にチャレンジしてはいかがでしょうか。
介護職に強い転職エージェントを活用することで、事前に職場の雰囲気や社風などについてリアルな情報を収集でき、「自分の理想とマッチしているか」を見極めることが可能です。
日々の心がけで良好な人間関係を目指そう

介護職員同士の人間関係を良好に保つには、日々のコミュニケーションにおいて相手を尊重する言葉を選んだり、自ら歩み寄る姿勢を示したりすることが大切です。また、状況に応じて相手の言葉をうまく受け流すことも必要といえます。
「今の職場では改善が難しい」と感じる場合は、転職して新たな環境で再スタートすることも一つの方法です。転職を検討している方は、介護専門の転職エージェント『かいごGarden』へご相談ください。
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