生活援助従事者研修はどんな資格?超初心者向け徹底解説!

資格・スキル

介護士と高齢者の夫婦
生活援助従事者研修資格は、2018年度に改定された介護保険制度に加わった新しい介護の資格です。名称から「生活援助に携わる人のための研修」ということはわかりますが、どんな内容で、どんなメリットがあるのでしょうか?

このコラムでは、生活援助従事者研修で身に付くスキルや、活かせるお仕事、取得するにはどうすればよいか、取得にはどのくらいの時間がかかるのかまで徹底解説!

ホームヘルパーのお仕事に興味はあるけれど、無資格未経験で飛び込んでいくのは心細いし、この歳から新しいことにチャレンジするなんて、きっと私にはムリ・・・。そう思って諦めていた人にピッタリの新資格になっていますので、ぜひチェックを。

「生活援助従事者研修」はどんなお仕事に活かせるの?

洗濯物を運ぶ介護士
2018年4月から新たに創設された新資格・生活援助従事者研修。

これは、老人ホームなどの施設で働く職員とは違い、掃除や洗濯、調理など、家事面での生活援助を中心に、お年寄りの自宅を訪問してお手伝いする訪問介護員(ホームヘルパー)の資格です。

歳をとって体のあちこちの機能が衰え、家事ができなくなってきたけれど、できるだけ住み慣れた我が家で過ごしたい・・・これはお年寄りの方々の、ささやかだけれど切実な願い。

ホームヘルパーは家事の援助をすることで、お年寄りの自宅での生活を支えるのがお仕事です。具体的には衣服の整理、調理、掃除、洗濯、生活必需品の買い物、薬の受け取りなど日常生活の援助。

ふだんから家事に慣れている主婦の方にとってはハードルが低めで、むしろ得意分野という人も多いかも!得意なことや慣れたことで人に喜ばれ、報酬をもらえるのはうれしいですね。

お年寄りの食事の介助や入浴、排泄介助といった、直接高齢者の身体に触れて行う身体介助は、介護福祉士、介護職員実務者研修や初任者研修といった介護の資格が必要なのですが、家事面でのお手伝いに限っては、生活援助従事者研修を修了していればOKです。

この研修を修了している人は、訪問介護事業所の人員基準(常勤換算2.5人以上)の対象としてカウントできるため、事業所側からすると無資格の人を雇うよりもメリットが。それが仕事探しの際に有利に働くこともありそうです。

もちろん、当たり前ですがホームヘルパーはただの家政婦さんとは違います。

サービスを提供する相手が要介護高齢者なので、それに応じた環境づくりや、状態を観察して正確に伝えるスキル、認知症の方との適切なコミュニケーションスキルなど、求められるサービスは家事以外にもたくさん。

実際に働きだせば、研修で習っただけでは足りないこともあり、それなりに自分で努力して勉強する必要は出てくるでしょう。けれどその分、自分も目的を持って成長でき、大きなやりがいや達成感が得られます。

家事スキルだけでなく、人との関わり方も試されるホームヘルパーは、およそ9割が女性で平均年齢は47歳※。40代〜60代の主婦層が、それまでの経験を生かして活躍している業界です。

もし年齢を理由に迷っているなら、重ねた歳はむしろ武器だと思って、検討してみてくださいね。

※平成21年度介護労働実態調査結果((財)介護労働安定センター)より

身に付くスキルは?かかる時間は?

生活援助従事者研修の資格取得に向けて
生活援助従事者研修は、設定されたカリキュラムについて講義と演習を行い、最後に30分程度の筆記試験をクリアすれば取得できる資格となっています。

カリキュラムは全体で59時間、内容は下記の通りです。

職務の理解 2時間
介護における尊厳の保持・自立支援 6時間
介護の基本 4時間
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 3時間
介護におけるコミュニケーション技術 6時間
老化と認知症の理解 9時間
障害の理解 3時間
こころとからだのしくみと生活支援技術 24時間
振り返り 2時間
合計 59時間

介護におけるリスクや安全確保の方法、コミュニケーションの取り方、認知症の知識や高齢者の心と体に関する知識など、介護が必要な高齢者と接するときに知っておきたい知識と技術について、講義と演習で身に付くようになっています。

キャリアアップもできる?

働いているうちに、生活援助だけでは物足りなくなって、もう少し仕事の幅が広がる介護資格を目指したくなるかもしれませんね。

もちろん、生活援助だけよりも、身体介助もできたほうが給与もアップします。そんなキャリアアップを考えたときにも、一度取得した生活援助従事者研修はムダになりません。

ひとつ上の資格である介護職員初任者研修を受ける場合、通常なら修了まで130時間のカリキュラムをこなす必要があるのですが、生活援助初任者研修を持っていれば、重複する内容を省略できるため、残りの71時間の研修過程を修了すればOKに。

なので、もし最初から130時間もかかるのはハードルが高いと感じるなら、まずは生活援助従事者研修を修了し、実務を積んでから介護職員初任者研修を受けて残りのカリキュラムを受講する・・・そんなふうに2段階に負担を分散させて資格を取得するのもオススメの方法です。

取得にはどうすればいい?

生活援助従事者研修は2018年の4月に新設されたばかりの資格。

研修を実施する主体は都道府県が指定するのですが、現在(2018年4月26日時点)要項の準備が追いついておらず、まだ詳細が決まっていないのが実情です。決まり次第ホームページなどで発表していくということですから、随時お住まいの都道府県のホームページをチェックしてみてください。

費用についても同様にまだ決まっていないのですが、ボリュームから考えて介護職員初任者研修よりは安くなることが予想されます。

さらに地域医療介護総合確保基金という、厚労省が各都道府県に設置した財政支援制度から受講費用の支援なども行われる予定になっていますので、受講を考えている人にとっては追い風となりそうですね。

また生活援助従事者研修は、全カリキュラム59時間のうち、半分近い29時間を上限として通信学習とすることも可能です。全カリキュラムのうち最大半分近くが自宅で受講できるとなれば、働いている人や子育てなどで時間がとりにくい人にとっては魅力的ですね。

介護人材の裾野を広げるねらい「生活援助従事者研修」

高齢者夫婦に食事をサーブする介護士
団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年を見据えれば、介護の担い手はまだまだ足りていません。生活援助従事者研修の創設も、介護の人材を少しでも増やすための方策の一環。

身体介護は介護の専門知識を持つプロフェッショナルに任せ、生活援助はもう少しハードルを下げた資格を設けて、人材の裾野を広げようというのがねらいです。

無資格でお仕事を始めるのは不安だし、かといって資格を取ろうと思うとハードルが高い・・・そんなジレンマに悩んでいた人にとっては、最初の足掛かりとしてチャレンジしやすい手頃な資格といえる生活援助従事者研修。
空いた時間や家事のスキルを活かして、困っている人の役に立ち、感謝されるお仕事を目指してみませんか?

【未経験でも介護職に:参考になる記事】

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