認知症という言葉が一般的になってきて、一方誰もがかかりうる身近な病気ともいわれています。
認知症とは一体どのような症状なのでしょう?ケアをする前に「認知症」についてしっかりと知って考えてみましょう。
認知症の人はどのくらいいるの?
厚生労働省の2015年1月の発表によると、日本の認知症患者数は2012年時点では462万人で、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。
「軽度認知障害」(日常生活に支障はないが、機能障害のうち1つに問題が生じている)と推計される約400万人を加えると、約4人に1人が認知症および予備軍となります。
2025年には700万人まで増加するといわれます。
団塊の世代が75歳以上になる、2025年には日本の総人口1億2,066万人のうち、認知症患者数は700万人に達し、65歳以上の高齢者のうち5人に1人になる見込みです。
つまり100人のうち、30人は65歳以上で、そのうち6人が認知症患者ということに。
誰もが知っている「癌」という病気と比較してみると、2020年には推定約87.8万人が罹患(※国立がんセンター調べ)から考えても、いかに認知症患者数が多いのか理解できます。
認知症の症状
認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」をいいます。つまり病名ではなく、症状や状態を指しています。
その原因として日本では、60%が「アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)」(記憶を司る「海馬」の脳神経細胞が減り、初期はもの忘れ(記憶障害)「空間的見当識障害(道に迷う)」や「多動(徘徊を繰り返す)」が現れることも)
20%程度が「レビー小体病(レビー小体型認知症)」(脳の大脳皮質や脳幹にレビー小体という特殊なたんぱく質がたくさん集まることで神経細胞が壊れて認知症の症状があらわれる)
「血管性認知症」(脳梗塞や脳出血など脳の血管障害によって引きおこる)
「前頭側頭型認知症」(前頭葉や側頭葉が委縮して引きおこる。)などがあります。
いずれも根本的な治療法はありませんが、アルツハイマー病とレビー小体認知症は、進行を遅らせる薬があります。
認知症の早期診断を
認知症の早期診断や治療のためにも、早めに認知症専門医のいる医療機関を受診してください。
持病があり、通院している場合はかかりつけ医にまずは相談してみるといいでしょう。
認知症専門医がいる医療機関は以下のホームページからも検索することができます。
- 公益社団法人日本老年精神医学会
http://www.rounen.org/ - 日本認知症学会
http://dementia.umin.jp/ - 全国の認知症疾患医療センター
http://www.ninchi-k.com/?page_id=34
認知症になった人の気持ち
認知症の人に対して「何も分からなくなる」「何度も同じ話をする」「性格が変わってしまった」と、感じることが多いと思います。
しかし一番不安に感じているのは、認知症になってしまった本人なのです。アルツハイマー病などの初期は、物忘れが多くなり、鍋を焦がす、同じものを何度も買ってくる、約束を忘れる、などの失敗が多くなります。思い出せないことが多くなり、ただでさえ不安なのに、失敗を責められ、ストレスも増え、出来なことを自分で責めて自信を失ってしまうのです。
「わたし、おかしくなったのかしら?」
認知症になった知り合いがふとつぶやいた一言です。
その言葉から、言い知れぬ不安な気持ちを理解しました。
わがままは自分を守るための防御反応
認知症になると、介護を拒否したり、介護サービスを受けたがらない、自宅にきたホームヘルパーにきつくあたる、という話をよく聞きませんか?
「わがままだ!」と思うかもしれませんが、認知症の人は当たり前にできていたことができなくなったり、家族や周囲の人から聞かれた簡単なことに答えられなかったりするため、常に不安を抱えています。そのため、好ましくないと感じると、自分を守るために拒否反応を示します。
これは1つの防衛反応でもあります。何気ない一言が、防衛反応に結びつくこともあるため、周囲の人はこうした防衛反応があることを理解し、認知症の人を安心させるように努めることが必要です。
やさしい言葉、短い言葉でゆっくりと声をかける。
何をするかわからないと不安になるので、まず何をするのか?
事前に説明するように心がけてみましょう。
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