介護職の転職。成功のポイントと失敗の理由

介護の仕事

履歴書
新型コロナウイルスの流行をきっかけに、私たちの日常は大きく変化しました。「今の仕事のまま、ずっと働き続けていいのかな」「将来に不安を感じる・・」などと、仕事についてもモヤモヤした気持ちを抱えている人は多いのではないでしょうか。

「何年も働いたのに専門性が身についていない」と感じるなら、転職の考えどきかもしれません。専門性が自然に身につく介護職は、不安定な時代に検討したい職種のひとつ。

今回は「異業種から介護職への転職」「介護職から介護職への転職」を考えている人に、参考にしてほしい内容を集めました。転職を成功させ、より充実した職場環境を手に入れるために、ぜひじっくりチェックしてみてくださいね。

介護職の転職事情

転職のしやすさ

介護業界は慢性的な人手不足で、常にどこかの施設で求人がある状態。スキルと経験を積んで順調に資格を取得していけば、基本的にはどこの施設でも通用するため、不満があれば転職へのハードルは低く、実際に転職は多い業界です。

介護職から介護職への転職の場合、給与などの待遇アップや自分が活躍できる場、人間関係が良好な職場など、より良い職場環境を求めて転職することが多くなります。転職回数が多いことは、それだけ多くの施設で経験を積んできた証明にもなるので、それほど気にすることはありません。

しかし短い期間で次々に転職を繰り返している場合は、「人間関係づくりが苦手なのでは?」「またすぐに辞めてしまうのでは?」と相手を不安にさせてしまうことも。面接では不安を払拭するアピールができるよう準備しておきましょう。

異業種から介護職への転職の場合、それまでの職歴はあまり重視されません。年齢についても、介護業界には高齢のスタッフも多いため、ほかの業界のように「40代以上になると急に転職しづらくなる」ということはなさそう。女性スタッフが多いイメージがありますが、男性スタッフもニーズがあるため、性別関係なく広く門戸が開かれています。

介護職の平均年収

令和2年の調査では、勤続年数1年の介護職の月給は283,480円。全体平均では月給315,850円(平均勤続年数8.1年)でした。介護職の待遇改善は政策としても進められており、給与額は上昇傾向にあります。社会情勢に関わらず常に必要とされる仕事であり、今後も成長が期待できる業界です。

令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(厚生労働省)より
介護職員の平均給与額の状況(月給・常勤の者、勤続年数別)

仕事内容

介護の仕事で要求されるものは広範囲にわたるため、今までまったく違う業界で働いてきた人もそれまで培ったスキルが無駄になることはありません。ただし相手の立場に立って考えられるなど、コミュニケーション能力は必須。営業職、販売職、接客業など人と接することを仕事にしていた人なら、そこで養った経験は大いに役立つはずです。

また体を使った立ち仕事になるので、体力も必要になります。楽な仕事ではありませんが、お年寄りとの触れ合いのなかでのさまざまな気付きや、スタッフ同士協力し合ってやり遂げる達成感、「ありがとう」と直接言ってもらえることのやりがいなど、多くの感動があります。

よい転職先の見極めポイント

虫眼鏡を覗いている女性のイラスト
介護の仕事では「どんな職場で働いてきたか」がその人のスキルを形作ります。そのため「職場選び」は最重要ポイント。よくない職場で働き続けると、ストレスや疲労が溜まる一方で「資格が取れない」「ほかで通用するスキルが身につかない」「給料が上がらない」といった泥沼に陥ることもありえます。

「これさえあれば良い職場」という絶対的な基準はありませんが、良い職場は下記のような特徴を備えていることが多いものです。

  • スタッフ教育に力を入れている
  • 資格取得支援制度が充実している
  • 職場が整理整頓されている
  • ICTや介護ロボットなど、新しい技術の導入に前向き

良い介護事業所では人材を大切にしています。個人の成長をバックアップするため、新人教育プログラムや、キャリアアップ研修プログラムがきちんと整備され活用されているはず。教育プログラムや資格取得支援制度は重要なポイントです。

また職場の整理整頓には、働く人の心の余裕が表れます。休憩室が散らかっている、汚れている、カレンダーが前の月のまま、などは良くない傾向です。

ICTや介護ロボットなどの新しいテクノロジーは、導入の際に手間やコストはかかりますが、スタッフの負担軽減に大いに役立ちます。またこれからの介護において欠かせないものになっていくはず。前向きに取り組んでいることはひとつの安心材料です。

異業種からの転職のポイントは

資格について

資格がなくても介護の仕事はできますが、無資格のままではなかなか評価されず、給料も上がりません。効率的にステップアップしていくには資格取得が基本です。その代わり資格さえあれば年齢や学歴があまり関係ない世界なので、その点は分かりやすいといえそうです。

介護職として働くにあたって基本となる資格は、下記の3つ。

「介護職員初任者研修」→「介護職員実務者研修」→「介護福祉士」

「初任者研修」は130時間の講義や演習を受けて介護の基本を学びます。「実務者研修」ではより深い理解を得るため450時間(初任者研修を終えていれば130時間が免除されるため320時間)の講義・演習となっています。それらの修了に加え3年の実務経験を積むと、国家資格である「介護福祉士」を受験できます。

介護職への転職を考えているなら、この流れを頭に入れておきましょう。転職前に初任者研修を修了しておいても良いですし、無資格から働く場合は転職先として、最短で介護福祉士になれるようなステップアップ・プログラムを設けている施設を選ぶのも賢い方法です。

志望動機について

年齢・性別・学歴などは重視されない介護の業界ですが、誰でも採用されるわけではありません。当然、「他にないから仕方なく介護職」という人より「介護の仕事がしたい」という人が採用されます。志望理由はとても大切なので、ぜひじっくり自分の心と相談して、納得できるものを見つけ出してください。詳しくは、こちらのコラムも参考にしてみてくださいね。

≫「未経験から介護職の志望動機の書き方。例文も参考に

介護の転職が失敗する3つの理由

頭を抱える女性
介護の仕事を真剣に志しているにもかかわらず、転職で失敗してしまう場合は理由があります。特に重要な3つをチェックしておきましょう。

  1. 事前に下調べをしていなかった
  2. 面接時に見学していなかった
  3. 複数の事業所を比べて選んでいなかった

当たり前ではありますが、事前の下調べは大切。施設の方針や待遇面、教育体制などは特にしっかり調べておき、分からなかった点は面接で聞けるように準備しておきましょう。

2の見学も欠かせません。パンフレットやホームページでは分からない、実際の雰囲気を確認できます。スタッフの表情が暗い、服装が乱れている、乱雑な印象があるなど、少しでも気になる点があれば要注意です。

そして最も大切なのが、3つめの「複数の候補を比べて選ぶ」こと。比べることによってその事業所の特徴が見えてきます。「ここしか知らない、ここでいいや」と決めるのと、「いくつか見たけれど、このなかで一番自分に合っているのはどこか」と選ぶのとでは、歴然たる差が生まれます。

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知識と経験が介護職の武器

介護施設での集会
一度就職したら定年まで安泰、というのは昔の話。今や2人に1人が転職を経験する時代になりました。何かと不安が多い世の中ですが、介護の世界では身につけた専門性こそが未来を切り開く武器になります。転職市場で勝負できる強い介護職を目指し、知識と経験を積み重ねていってくださいね。

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