介護予防運動指導員の資格とは?内容や利点をチェック!

資格・スキル

チェックリスト
「年をとっても人に頼ることなく、元気に過ごしたい」。そんな願いを持つ高齢者に向け、効果的なプログラムを立案・指導できるようになる資格が「介護予防運動指導員」です。

カリキュラムでは、高齢者の心と体の健康を維持するための運動法や理論について、体系的に学びます。修了するとデイサービスなどの介護施設で高齢者に対し、効果的に運動指導を行うことができたり、介護予防教室でインストラクターとして活躍することもできます。

国家資格や公的資格ではありませんが、介護現場ではニーズが高く、必要とされている資格です。それではさっそく、その内容や取得方法、メリットについて見ていきましょう。

介護予防運動指導員とは

介護予防運動指導員とは、高齢者に向け筋力向上トレーニングなどを指導する、介護予防運動のスペシャリストです。講義と実習を通じて介護予防プログラムの理論やトレーニング方法などを学び、高齢者の方が運動を通じて健康な生活を送れるように支援します。

カリキュラムでは、筋力向上だけでなく転倒予防や尿失禁予防、口腔機能向上、認知症予防、うつや閉じこもり予防など、高齢者の健康に関する重要分野について幅広く学んでいきます。

活躍の場はデイサービスや老人ホームなどの介護現場をはじめ、スポーツセンターに所属して高齢者向けのクラスを担当したり、自治体や介護施設などが主催する講習会に出張してインストラクターを行うなど、多岐にわたります。

「平均寿命」が年々延び続けている日本では、あわせて「健康的に暮らせる期間=健康寿命」も延ばしていくことが差し迫った課題となっています。介護予防に関する専門的な知識とスキルを身につけられる介護予防運動指導員は、まさにそんな時代にぴったりの将来性の高い資格だといえるでしょう。

介護予防運動指導員の取得方法

セミナーを受講している女性
地方独立行政法人・東京都健康長寿医療センターが指定するスクールで、31.5時間のカリキュラムを修了し、最後に試験を受けて合格すれば資格を取得できます。

修了試験は1時間のマークシート方式で、講義の内容をしっかり理解していれば回答できるものとなっています。スクールを開催している事業者については、下記ホームページの指定事業者一覧をご確認ください。

地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所ホームページ

【受講資格】
介護予防運動指導員の講座を受講するには、以下の条件を満たしている必要があります。

・介護職員初任者研修・ホームヘルパー2級を修了しており、実務経験を2年以上積んでいる
・介護職員実務者研修・介護職員基礎研修課程を修了している
・介護福祉士資格を持っている
・ケアマネジャー資格を持っている
・健康運動指導士などの資格を持っている
・その他医療系国家資格を持っている、または養成校等の卒業見込みかつ資格取得見込みがある
(※医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士、歯科医師、歯科衛生士、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師、栄養士)

【期間】
多くは31.5時間のカリキュラムを1ヵ月程度かけて学んでいきますが、3~4日程度の短期間で集中的に学ぶ場合もあるなど、スクールによってさまざまです。

【費用】
スクールによって違いがありますが、講座受講には7~9万円程度の費用がかかります。資格は3年ごとに更新する仕組みになっており、更新料として3,100円が必要となります。

介護予防運動指導員のメリットとやりがい

介護施設でレクリエーションをしている様子
多くのデイサービスや老人ホームなどの高齢者施設では、レクリエーションとしてリズム体操やストレッチ等の軽い運動を取り入れています。しかし、担当者が専門知識を持っていない場合も多く、ルーティンでなんとなく行ってしまっていることも多くあります。

この資格を取得する一番のメリットは、利用者様の状態に合わせた適切なトレーニングプログラムを提案することができるようになること。知識の裏付けがあるので、利用者様に対して、ただ「体力が落ちないようにがんばりましょうね」というのではなく、具体的に「この運動ではここの筋肉が鍛えられるので、転びにくくなりますよ」と適切に伝えられるようになります。

具体的なメリットを示すことで、利用者様にも興味とやる気を持ってもらいやすくなり、効果的にトレーニングを行えるようになります。曲がらなかった関節が少しずつ曲がるようになったり、筋力がついて介護度が改善したりすると、指導する側としても大きなやりがいを感じることができるでしょう。

運動系のレクは多くの介護施設で欠かせないプログラムとなっていますので、日々の実務で役立つ資格といえます。レクリーダーとして活躍するなど、周囲から頼られることも増えそうです。

スポーツクラブや運動教室でインストラクターとして活動する場合も、地域のお年寄りとの触れ合いを楽しみながら、健康増進に寄与できるのがやりがいです。「ここで運動を教わるようになってから、前より早く歩けるようになった!」「階段が上れるようになったよ!」など、お年寄りから笑顔で変化の報告がもらえたら、なにより嬉しいですよね。

介護職としてスキルアップしたいなら

介護予防運動指導員を受講するには、まず受講資格をクリアしなくてはなりません。もしも今無資格で介護職をしているなら、受講資格である「初任者研修を修了+実務経験を2年積んでいる」状態を目指すのがおすすめです。

「介護職員初任者研修」は130時間のカリキュラムで、介護の基本が学べる入門資格。給与などの待遇も無資格よりアップするなど、職場で確実に評価してもらえます。また、これを修了したあとは「実務者研修」へ、そのあとは国家資格である「介護福祉士」へと順にステップアップしていくことができ、学んだことがムダになりません。

たとえばデイサービス等でパートタイム勤務をしていて、体操レクのスキルを上げたいということなら、「初任者研修」を取得して2年働いた後「介護予防運動指導員」を取得してもよいですし、老人ホーム等でフルタイム勤務している場合なら、「介護福祉士」を取得することを優先し、その後で取得するのもよいですね。

「介護予防運動指導員」は介護現場において高いニーズがあります。介護職がこの資格を持っていれば、介護予防運動のスペシャリストという大きな強みとなり、就職や転職などで有利に働くことが予想できます。また施設によっては資格手当が出ることもあり、持っていて損はない資格といえるでしょう。

時代にマッチしたニーズの高い資格

外で体操をしている高齢者
「最期まで人の世話にならず、自立して生きていきたい」という思いは、人類共通といっても過言ではありません。「介護予防運動指導員」は、その思いに応える知識とスキルが身につけられ、多くの人に喜ばれる資格です。

受講資格がひとつのハードルとなっていますが、介護の仕事を経験している方ならクリアはそれほど難しくないはず。介護職としてのスキルアップにつながる資格ですので、興味のある方はぜひ取得を目指してみてくださいね。

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