不足する介護人材、どう確保?国の対策もチェックしよう

介護の仕事

介護スタッフが微笑んでいる様子

「また一人スタッフが辞めてしまう」「募集をかけても応募がこない」・・・介護現場の人手不足は深刻です。施設の人事担当者は、「どうしたら新人が辞めずに定着してくれるだろうか」「どうしたら良い人材を確保できるだろうか」と、日々頭を悩ませているのではないでしょうか。

そこで今回は、介護人材を確保するために各地の施設で導入され、成果を上げている対策をご紹介します。また、介護業界の裾野を広げ専門性の高い人材を育てるために、国や自治体が行っている取り組みについてもお伝えします。

介護の人手不足という難問は、ただ給料をアップすれば解決するというような、単純なものではありません。「ここで働き続けたい」と感じてもらうためには、さまざまなアプローチが必要です。職場に取り入れられそうなものがあれば、ぜひ活用してみてくださいね。

人材定着には、職場の人間関係対策が欠かせない

せっかく入った新人がすぐに辞めてしまう・・・介護施設管理者の頭を悩ませる「あるある」です。平成30年の調査報告によると、介護職を辞めた理由でもっとも多かったのは、「職場の人間関係に問題があったから」でした。介護の仕事はチームワークが欠かせないため、快適に働くためにはスムーズな人間関係が何より大切。そこでつまずいてしまうと、仕事を続けるうえで大きなネックになることが分かります。

そこで注目されている方法のひとつが「新人介護職員に対するエルダー・メンター(新人指導担当者)制度」。ひとりの新人に対して特定の先輩がつき、アドバイスやサポートを行う制度で、先輩との人間関係を深めることで組織にもなじみやすくなり、分からないことや不安なことがあったとき、一人で悩みを抱え込まずにすむというメリットがあります。また先輩にとっても、後輩の成長を見守ることで自分自身の成長につながるメリットがあり、導入する介護事業所が増えています。

このほかにも、職員のメンタルヘルス対策やキャリアパス導入など、円滑な人間関係作りにはさまざまな方法があります。自施設への導入については「公益財団法人 介護労働安定センター」で無料で相談することができます。またセンターでは随時、各種セミナーも開催しています。無料で受講できるものも多いので、ぜひチェックしてみてください。

>雇用管理についての相談援助・情報提供(公益財団法人 介護労働安定センター)

成果をあげている介護事業所が取り入れている方法を、もうひとつご紹介しましょう。それは、国が力を入れている認証評価制度を利用すること。たとえば京都で行われている「きょうと福祉人材育成認証制度」は、(1)新人育成の充実、(2)未来を描ける職場、(3)社員を大切にする職場、(4)外部交流の4分野に分け、それぞれについて取組みを行うことで認証を受けられる制度です。この認証を受けた事業所は、離職率が全国平均よりも低くおさえられています。

ほかにも「かながわベスト介護セレクト20」、「静岡県優良介護事業所表彰」、「おおさか介護かがやき表彰」など各自治体で、職場環境を良くしたり、人材育成で成果をあげた事業所を表彰する制度が創設され、運用されています。

介護事業所は、こうした認証や表彰にチャレンジすることで職員の満足度や定着率アップが期待できますし、また受賞歴など目に見える実績は働きやすい職場の証明になり、結果的によい人材を集めることにも役立ちます。人材の呼び込みと定着の両方に効果が期待できる方法なので、余裕があればぜひチャレンジしてみてください。

介護人材の掘り起こしのために

お金を手に持つ女性
実は「介護福祉士」資格を持っている人のうち、高齢者介護の分野で働いている人は約6割程度。残りの4割の方は、別の福祉分野や違う職業に就いているか、家事に専念しているなどで、せっかくの資格が生かされていない状態になっています。

この状況を打開するため、国が打ち出しているのが「再就職準備金」貸付事業。これは介護の仕事に復帰するための費用として、まとまったお金が貸してもらえる制度です。令和2年度の補正予算案で、従来20万円までだった限度額を40万円までに倍増する方針が盛り込まれ、さらに手厚くなりました。

借りたお金の使い道は自分で決めることができ、たとえば子どもを預けるための費用や、通勤用の自転車・バイクの購入費用、引っ越しを伴う場合は敷金礼金などにも使えます。借りたお金は2年間介護職員として働くことで全額が返還免除。一時的にお金がかかるなどの理由で復職をためらっている方に、ぜひ活用していただきたい制度です。

このほかに、介護福祉士の資格取得をサポートする貸付制度もあり、こちらも介護現場で一定期間働くことで返還が免除になります。お住まいの都道府県の社会福祉協議会などが窓口となっていますので、興味があればぜひ問い合わせてみてください。

>都道府県・指定都市社会福祉協議会のホームページ(社会福祉法人全国社会福祉協議会)

最近、介護業界でも「リファラル採用(働いている職員の紹介から採用すること)」が注目されています。こうした貸付金制度の情報とあわせ、職員の知り合いを紹介してもらうようアプローチしてみると、良い人材を発掘しやすいもしれません。そのためにも、まずは今働いている職員が「友人を紹介したい」という気持ちになるよう、働きやすい職場環境づくりを進めていくことが大切です。

介護のしごと魅力発信等事業とは

厚生労働省が推進する「介護のしごと魅力発信等事業」というものがあります。これは、(1)若年層、(2)子育てを終えた 層、(3)アクティブシニア層と、ターゲットを3つに分け、それぞれに合ったアプローチ方法で介護職の魅力を発信していくというもの。体験型イベントやウェブサイトなどを活用し、多くの方に介護の仕事の魅力を伝える一方、介護事業主に対しても、採用についての意識改革をうながす試みが進められています。

たとえばこの事業の一環として、2019年に実施された「採用実践力向上プログラム【chant】」には、採用に悩みをかかえた介護事業者が多数参加。ここで学んだことを現場で実践した法人では、求人数の大幅な増加や、従来難しかった層の採用など、うれしい効果があったということです。この事業は今後も継続されていきますので、これからの展開と成果に期待したいですね!

地道な対策が少しずつ結果に結びつく

介護スタッフと高齢者

平成30年度の調査報告によると、介護職の方の離職率は 15.4%でした。平成25年の16.6%と比べてみると、少しずつですが減少していることが分かります。職場環境改善のためのさまざまな取り組みが、功を奏しているといえるのではないでしょうか。

介護の仕事は苦労も多いですが、それ以上に、他の仕事では味わえない魅力にあふれています。その魅力を多くの人に知ってもらうため、各分野でさまざまなアプローチがとられています。みんなが自分の立場でできることをひとつずつ実践していき、明るい結果に結びつくといいですね。

資料出典:介護労働の現状について 平成30年度 介護労働実態調査の結果と特徴(公益財団法人 介護労働安定センター)

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