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派遣ばかりの介護施設、その理由は?派遣が多いとどんな影響がある?

介護の仕事

杖で立ちあがる高齢女性と支える女性介護士

人手不足の介護業界では、正社員が足りず派遣社員の力を借りる介護事業所は少なくありません。しかし「実際に働いているのは派遣社員ばかり」と聞くと、「職場に何か問題があるのかな」「サービスの質が悪そう」と不安に思う人もいるのではないでしょうか。

派遣社員が多いことによる影響は、悪い面ばかりが取り沙汰されがちですが、派遣の良さやメリットもあります。今回のコラムでは派遣の比率の平均や、派遣が多いことのメリットやデメリット、派遣の力を活かす方法等についてみていきます。

派遣スタッフの適正な比率についてお悩みの介護施設の方、また介護施設選びで派遣が多いことが気になっている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

介護派遣の比率、平均はどのくらい?

令和6年の調査結果※1によると、派遣労働者を受け入れている介護事業所は全体の13.9%。そのなかで、全職員に占める派遣職員の割合は、「0超~10%未満」が47.3%で最も多く、次いで 「10~20%未満」が27.0%でした。

この結果からみてみると、派遣スタッフは全体の10%~20%程度の介護施設が多く、これくらいであれば平均的だと考えられます。派遣スタッフの比率がこれを越えるようだと、派遣の比率が平均より高めということができるでしょう。

ただ、正社員・派遣社員のほかにパート・アルバイトや契約社員として働いているスタッフもいますし、優秀なスタッフは雇用形態にかかわらず存在します。正社員が多ければ安心、派遣やアルバイトは不安、といった固定観念にとらわれすぎないようにしましょう。

※1:「令和6年度 介護労働実態調査結果」P60より

派遣ばかりになる理由は?

派遣社員の比率が高まる理由としては、下記のようなものが考えられます。

  • 募集をかけても正社員の新規応募がない
  • 既存の正社員が辞めてしまう、定着しない
  • 正社員の産休・育休取得が重なってしまった

介護施設にとって、正社員を新規採用して一人前になるまで教育していくのは大変な労力がかかります。なんらかの理由で正社員が育つ前に辞めてしまったり、出産や育児などで中断してしまったりすると、現場に人手が足りず回らなくなります。

そんなときに強い味方になるのが派遣です。派遣スタッフは既に介護資格や経験を持っているため、時間をかけて育てる必要がありません。即戦力である派遣社員を迎えることで、施設運営を滞りなく進めていくことができるのです。

派遣が多い職場のデメリット

派遣社員は基本的に3ヵ月などの期間ごとに契約を結んで働くため、正社員など期間の定めのない雇用形態に比べると、短いスパンで職場を変えやすくなっています。そうなると以下のようなデメリットが考えられます。

《利用者・家族目線でのデメリット》
職場に来てまだ日の浅い派遣スタッフは、利用者様のことを長いスパンで見ているわけではないので、数ヶ月単位、年単位での変化に気付きにくい可能性があるでしょう。

《介護施設目線でのデメリット》
派遣スタッフが雇用関係を結んでいるのは派遣会社なので、派遣先への帰属意識が低いことも。ケアの方法に関しても独自のやり方を持っているなど、職場に馴染みにくいと感じることがあるかもしれません。

派遣が多い職場のメリット

次にメリットのほうを見ていきましょう。派遣スタッフには、さまざまな職場を経験し介護技術を磨いてきたプロフェッショナルの人が多いことから、派遣の多い職場では以下のようなメリットがあります。

《利用者・家族目線でのメリット》
派遣スタッフはさまざまな職場を経験しているため、1つのやり方にとらわれず異なる角度で考えることができます。よりよいケアの手法や関わり方を提案してもらえて、ケアの質が向上する可能性があります。

《介護施設目線でのメリット》
派遣社員は即戦力なので、介護の実務を安心して任せることができます。その分正社員が、組織運営のことや業務の効率化、新人教育などに時間を割くことが可能に。時間的な余裕が生まれれば、休日が取りやすくなるなど職場環境の改善につながり、定着率アップにも貢献するはずです。

またこちらから請えば、自施設で困っていることについて他の介護施設ではどうしているかなど、派遣スタッフの知見も借りることができるでしょう。そうした情報は値千金となるはずです。

派遣が多い介護施設って大丈夫?

派遣の比率が高くなる理由のひとつに、「正社員の定着率が低い」ことがありました。一度入社した人が定着せず辞めてしまうということは、何かしら職場環境に満足できない点があると考えられます。

令和5年の調査※2によると、介護職が前の職場を辞めた理由のランキングは、以下のようになっていました。

1位「職場の人間関係に問題があったため」(34.3%)
2位「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」(26.3%)
3位「他に良い仕事・職場があったため」(19.9%)

調査では、1位の人間関係についてさらに具体的な状況を聞いています。その結果多かったのがこちら。

1位「上司の思いやりのない言動、きつい指導、パワハラなどがあった」(49.3%)
2位「上司の管理能力が低い、業務指示が不明確、リーダーシップがなく信頼できなかった」(43.2%)
3位「同僚の言動(きつい言い方・悪口・嫌み・嫌がらせなど)でストレスがあった」(38.8%)

1位と2位に「上司」が出てくるのが気になりますね。すべてのケースに当てはまるわけではありませんが、派遣が多い職場は、新人指導のプロセスで「正しい指導方法が確立されていない」「教育体制が整っていない」などの問題があることが考えられます。

まずは施設として新人の教育計画をきちんと策定したり、リーダー職がコミュニケーションやアンガーマネジメントの研修を受けるなどして正しい指導方法を学ぶだけでも、定着率に大きな変化があると考えられます。

※2「令和5年度「介護労働実態調査」結果の概要について」(P27.28)

派遣が多いとチームがまとまらない?

フロアリーダーなどのリーダー職を務める正社員スタッフから、「派遣スタッフが多くてチームがまとまらない」という悩みを聞くことがあります。確かに派遣スタッフは、細かい指示がなくても業務を進めることができるため、「すべて指示通りにしてほしい」「全部を把握しておきたい」というリーダーにはストレスになることもあります。

しかし裏を返せば、仕事をある程度任せることができ、自分の負担を減らせるということ。任せられる部分は任せ、統一したい部分は少していねいに「これは○○という意図でやっていることなので、ルール通りにお願いできますか」と伝えてみましょう。

「派遣が多いから」チームがまとまらないと考えるのではなく、「コミュニケーションが足りていないからではないか」「コミュニケーションを増やしてみよう」と考えていくと、感じ方も少し変わってくるはずです。

多様なスタッフがいるからこそ強くなる

笑顔でこちらを見る女性介護士2人と男性介護士

派遣スタッフは即戦力という利点がある一方、定着して長く働いてもらいにくいという課題があるのが現実。しかしそれ以上にメリットもあり、派遣が多い職場が必ずしも悪いわけではありません。

むしろさまざまな背景を持った多様な人が、互いに協力し合いながら働けば、問題が起こったときも高い対応力で乗り越えることができ、トラブルに強い組織になれます。

大事なことは「スタッフの教育体制がきちんとしているか」、また「介護理念や運営方針が現場に浸透し、機能しているか」です。言うなれば、派遣の力を活かすも殺すもこの点次第。スタッフ目線、利用者目線のどちらからであっても、施設選びではこの2点をしっかりとチェックしてみてくださいね。

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