介護におけるモニタリングとは?再アセスメントの役割も

介護の仕事

アセスメントで利用者さんに聞き取りをするケアマネジャー
介護におけるモニタリングとは、作ったケアプランがきちんと機能しているか、実行して検証すること。モニタリングで明らかになった改善点はケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプランに反映し、介護サービスの向上につなげていきます。

これを怠ると、利用者さんが本当に必要な介護サービスを受けられなかったり、逆に実情に合っていない介護サービスを受けることになったりと、さまざまな不都合が起こってしまいます。適切なサービスを提供するために、モニタリングは欠かせないプロセス。

モニタリングはコツを押さえて取り組まないと、現場にとって大きな負担になりかねません。利用者さんが本当に必要としているケアを届けるために、進め方のポイントや注意点などを確認していきましょう。

介護におけるモニタリング、その目的とは

ケアマネジャー(介護支援専門員)はアセスメントで利用者さんの情報を聞き取り、それをもとにケアプランを立てますが、プランを実際に運用してみると、想定した通りにはいかないことがあります。

また、利用者さんの心身の状態は日々変化していくので、ケガや持病の悪化などで医療的ケアが必要となることもあります。その場合には訪問看護を組み込むなど、ケアプランを変更しなくてはなりません。

そうしたズレをチェックして修正し、ニーズに合うよう微調整するのがモニタリングの目的。ですので、モニタリングでは必ず、計画に従ってケアが行われているか、また、ケアの結果どのような状態が見られたかということを意識しながら行う必要があります。

モニタリングは、誰が・いつ行うのか

悩んでいる女性
●居宅サービス
介護におけるモニタリングは、定期的に行うことが義務付けられています。居宅介護支援であれば、担当するケアマネジャーサービス提供責任者1ヵ月に1度、利用者さんの自宅を訪問します。そしてご本人やご家族から聞き取りを行い、目標達成度や満足度を評価します。所要時間はだいたい1時間以内。

居宅介護支援のモニタリングは、特段の事情なく1ヵ月以上空くと減算の対象になるため、注意が必要です。また福祉用具を介護保険でレンタルする場合、担当の福祉用具専門相談員年2回の頻度でモニタリングすることが義務付けられています。

●施設サービス
老人ホームなどの介護施設に入居してサービスを受けている場合には、日々スタッフがご本人と接しているため、モニタリングの頻度は3ヵ月に1度ほどが主流です。施設によっては1ヵ月に1度、6ヵ月に1度という場合もあります。

モニタリングの担当者は、施設ケアマネジャーと各専門職が協力・相談しながら行うことが多いのですが、介護スタッフが行う場合もあります。その場合は日々の介護記録を見返して情報を集め、モニタリングシートに記入して、ケアマネジャーに報告する形になります。

モニタリングシート、基本の書き方

利用者さんに聞き取りをし、モニタリングシートに記入するケアマネジャー
ケアプランや介護計画書にある長期目標や短期目標に対して、行ったケアがどのように作用したかという視点で評価します。大事なのは、誰が読んでも同じ認識を持てるように記入すること。

基本的な書き方としては、目標達成度や満足度を◎や○、△、×などで表記し、そのうえで参考情報を添えるようにします。文章はなるべく短くし、箇条書きにすると読みやすくなるでしょう。

「ご主人様からショートステイについて聞かれたので説明した」「娘様が『24時間連絡がつくようになって、気持ちが楽になった』とのこと」「長女様から、『本人はとくに入浴を楽しみにしている』とのお話あり」など、ご本人やご家族との会話を表記するのもおすすめ。具体的な感情や意向を客観的に伝えることができるからです。

モニタリングシートの記入例

【短期目標:転倒しない】
【サービス内容:下肢筋力向上トレーニング】
目標達成度:△  満足度:○

  • 以前よりつまずくことが少なくなった(長女様より)
  • まだ疲れやすさやふらつきを感じる
  • ご本人が効果を感じており、意欲は高い
  • 計画継続の必要性あり

【短期目標:口腔環境を改善する】
【サービス内容:デイサービスでの食後の歯磨き】
目標達成度:○  満足度:○

  • 自ら進んで取り組んでいる
  • 自宅での歯磨きも意識が高まった
  • 計画継続を希望

【短期目標:外出し楽しみのある生活をする】
【サービス内容:デイサービスでのレクリエーション】
目標達成度:×  満足度:×

  • デイサービスには通っているが、ご本人の意向でレクには参加していない
  • 他の利用者さんとは笑顔で話している
  • 以前に比べ、2割ほど会話量が増えた印象
  • 計画見直しの必要性あり

【短期目標:排泄環境を改善する】
【サービス内容:手すり・ポータブルトイレの設置】
目標達成度:○   満足度:○

  • 手すりのあるところで、立ち上がりと歩行が安定した
  • ポータブルトイレ移動は見守りの必要あり
  • 今後のサービス内容にポータブルへの移乗訓練を取り入れる

モニタリングの注意点

サービスを受け始めたばかりの頃は、ご本人やご家族は戸惑いや不安を持っているもの。この頃は、モニタリングは「再アセスメントとしての面」も強くなります。初期のうちは機械的にプランを評価するのではなく、ご本人やご家族の思いにじっくり耳を傾けるようにすると、信頼関係が築け、その後のサービス提供がスムーズに進むようになります。

逆にサービスが軌道にのってきて、ご本人やご家族が「今のままのサービスを継続してくれればいい」と思うようになると、今度はあまり情報を話してくれなくなることが問題に。

「とくに変わりありません」という答えばかりでは、長期目標に向かって努力しなくなるだけでなく、何か変化があっても気付きにくく、事故の確率も高くなってしまいます。

そんなときに役立つのが、日々利用者さんと接しているサービス事業者へのモニタリング。担当ホームヘルパーや介護スタッフの意見はとても重要です。普段からとコミュニケーションをとることを心がけ、モニタリングの際は彼らからもヒアリングを行いましょう。聞きたいことをYes/Noで答えられる形式の質問にして投げかければ、忙しいなかでも答えてもらいやすくなります。

きめ細かいモニタリングでみんなを笑顔に

笑顔でこちらを見る利用者さん
毎月モニタリングを重ねるうち、目新しい情報は少なくなりがちです。しかし同じ内容が何ヵ月も続くようでは、モニタリングの本来の意味がなくなってしまうことに。

モニタリングの際は、相手を質問攻めにするばかりではなく、「最近いかがですか?」と気軽な会話も投げかけてみてください。

介護する人、される人は、心のなかに遠慮を溜め込んでいることもあります。「笑われそうだけど、また一緒に食卓を囲むのが夢なんです」「本当は思い出の桜をもう一度見に行きたいけれど、周りに迷惑をかけてしまうと申し訳ないから・・・」何気ない一言に、ケアプラン改善のヒントが隠されています。

介護スタッフは日頃から利用者さんの言葉や変化に目を光らせ、気になったことは介護記録に書き留めていきましょう。ケアマネジャーは現場とのコミュニケーションを心がけ、情報をキャッチしていきましょう。そうして集めた小さな情報が、利用者さんやご家族の笑顔を引き出すカギになるかもしれません。

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