2024年(令和6年度)介護報酬改定の内容と介護職への影響

介護の仕事

介護報酬改定の文字と人形(車椅子の老人)2024年は3年に1度の介護報酬改定がおこなわれ、4月から改定後のサービスが提供開始となります。今回の改定は過去2番目に高い改定率で、合わせて2%以上のプラス改定が見込まれており、介護職員の賃上げが実現するとみられます。

本コラムでは2024年介護報酬改定の内容や現場の介護職への影響などをお伝えします。

そもそも介護報酬改定って?

介護施設建物外観介護サービスを提供した介護保険事業者に対価として支払われる介護報酬。その基準額は介護保険法上、厚生労働大臣により定められ、原則3年に1度見直されます。これが介護報酬改定です。

介護報酬改定の内容は年末~年始にかけて決まり、3月に告示公布、介護事業所では4月から改定後のサービス提供が始まります。審議報告は12月中におこなわれますが、事業所は短期間での対応が求められます。また、介護報酬は事業所の収入であり、つまりは職員の給与の原資であるため、介護報酬改定は職員の給与に直接的な影響があるものです。

2024年介護報酬改定の注目ポイント|介護職への影響

給与イメージ2024年の介護報酬改定において、現場で働く介護職に影響が大きいとみられるポイントをみてみましょう。

介護職員の賃上げ実現へ

今回の介護報酬改定では介護職員の処遇改善として98%を上乗せし、全体で1.59%のプラス改定される見込みです。また、下記にある処遇改善加算の一本化の賃上げ効果0.3%相当と、光熱水費の基準費用額の増額による介護施設の増収効果0.45%相当を加えると、合わせて2.04%相当の改定となり、介護職員の賃上げが実現するとみられています。

複数の処遇改善加算を一本化

介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算が、介護職員等処遇改善加算に一本化されます(1年間の経過措置期間あり)。一本化することで処遇改善措置がより多くの事業所に活用されるとみられます。また、現場の事務作業の負担軽減も期待できます。

介護の現場も働きやすい環境に

これまでテレワークとは無縁と思われていた介護業界ですが、介護職員の負担軽減や効率的なサービス提供、人材確保のためテレワークの導入が今後進むとみられます。また、治療と仕事の両立を支援する取り組みとして週30時間以上の勤務者は常勤扱いに。介護の現場でも柔軟な働き方が少しずつ広がりをみせるでしょう。

介護助手の活用が加速

人材を補うため介護職員のサポート役である介護助手の活用が今後さらに進むとみられ、それにともない介護助手と資格をもつ介護職員の役割が明確化されるでしょう。部屋の掃除や食事の片付け、趣味活動のサポートなど、介護の専門知識をあまり必要としない生活援助を介護助手が担うことで、サービスの質の向上と業務の負担軽減が期待できます。

2024年介護報酬改定の一覧

介護施設送迎(介護職員と車椅子の老人)2024年の介護報酬改定は、人口構造や社会経済状況の変化を踏まえて以下の4つのテーマで実施されます。

1.地域包括ケアシステムの深化・推進

  • 医療と介護の連携の推進
    (在宅における医療ニーズへの対応強化、高齢者施設等における医療ニーズへの対応強化、在宅における医療・介護の連携強化、高齢者施設等と医療機関の連携強化)
  • 質の高い公正中立なケアマネジメント
  • 地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取組
  • 看取りへの対応強化
  • 感染症や災害への対応力向上
  • 高齢者虐待防止の推進
  • 認知症の対応力向上
  • 福祉用具貸与・特定福祉用具販売の見直し

2.自立支援・重度化防止に向けた対応

  • リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組等
  • 自立支援・重度化防止に係る取り組みの推進
  • LIFEを活用した質の高い介護

3.良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり

  • 介護職員の処遇改善
  • 生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくり
  • 効率的なサービス提供の推進

4.制度の安定性・持続可能性の確保

  • 評価の適正化・重点化
  • 報酬の整理・簡素化

5.その他

  • 「書面掲示」規制の見直し
  • 基準費用額(居住費)の見直し
  • 地域区分
  • 通所名サービスにおける送迎に係る取り扱いの明確化

【各項目の詳細はこちらからご覧いただけます】
参考:厚生労働省、令和6年度介護報酬改定に関する審議報告

全サービス対象の改定項目

事業継続計画(BCP)イメージ今回の改定で現場にはどのような影響があるのでしょうか。全サービス(例外あり)が対象となる項目について知っておきましょう。

業務継続計画(BCP)が未策定の事業所は減算※

感染症や災害が発生した状況下でも必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を整えるため、業務継続計画が未策定の事業所に対しては減算が適用されます(経過措置期間:令和7年3月31日まで)。
感染症と災害、それぞれについて具体的な対策を定め、周知・研修・訓練の定期的な実施が必要です。BCP作成は以下を参考にしてください。

参考:厚生労働省、介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修
※居宅療養管理指導、特定福祉用具販売を除く。

高齢者虐待防止措置がない事業所は減算※

利用者の人権擁護、虐待防止等の観点から虐待の発生または再発の防止措置を講じていない事業所に対して減算がおこなわれます。防止措置とは、例として、委員会の開催・指針の整備・研修の実施・担当者の決定です。
また、高齢者虐待防止に向けた取組例の収集・周知に加え、高齢者本人やその家族、介護職員等が国の補助により都道府県が実施する事業による相談窓口を利用可能であることの明確化など、虐待防止の施策充実を図ることが求められます。
※居宅療養管理指導、特定福祉用具販売を除く。

【高齢者虐待防止に関する資料等はこちらからご覧になれます】
参考:厚生労働省、高齢者虐待防止

身体的拘束等の適正化措置がない事業所は減算※

  • 短期入所系サービスおよび多機能系サービス
    委員会の開催・指針の整備・研修の定期的な実施等、身体拘束等の適正化のための措置が義務付けられ、講じていない事業所に対しては減算がおこなわれます(経過1年間の措置期間あり)。
  • 訪問系サービス、通所系サービス、福祉用具貸与、特定福祉用具販売及び居 宅介護支援
    利用者または他の利用者等の生命、身体保護のため緊急時を除いては身体的拘束等をおこなってはならず、おこなう場合には態様や時間、利用者の心身の状況、緊急の理由を記録することが義務付けられます。

※施設系サービス、居住系サービスを除く。

テレワークが導入可能に※

人員配置基準等で具体的な必要数が定められている職種のテレワークに関して、今後、職種や業務ごとに具体的な考え方が示されることになっています。柔軟な働き方を通じて、現場の負担軽減や効率的なサービス提供、人材確保が期待できます。
※居宅療養管理指導を除く。

治療と仕事の両立を支援。週30時間以上の勤務は常勤扱い

育児・介護等の短時間勤務制度に加え、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で【常勤扱い】となります。職員の離職防止・定着促進のため、治療と仕事を両立できる環境整備が求められます。

管理者が兼務できる事業所の範囲を緩和

管理者が兼務できる事業所の範囲を同一敷地内における他の事業所、施設等に限らず、管理者が責務を果たせる場合(※)、離れた場所での兼務が可能となります。これにより限られた人材の有効活用、効率的な運営が期待できます。
※サービス提供現場で起こる事象の把握や職員および業務の一元的な管理・指揮が可能である

重要事項等のウェブ公表が必要に

現在、事業所内で書面掲示が求められている事業所の運営規程などの重要事項等(※)の情報は、改定後、原則としてホームページ等での掲載・公表が必要になります。
※事業所の運営規程の概要等の重要事項、居室及び食堂の広さ、届出事項、特別な食事の提供に係る情報(内容及び料金等)、移動用リフト使用時の留意事項等

出典:厚生労働省、令和6年度介護報酬改定に関する審議報告

低い給与水準、引き続き処遇改善に期待

「処遇の改善」イメージ介護職員の給与は上昇を続けていますが他業種と比較すると依然低い状態で、人材の流出の要因でもあります。高齢者人口のピークはまだまだ先の2040年頃。人材確保の観点から、介護職員の賃上げや働きやすい環境の整備、生産性向上に係る取り組みは今後も続くでしょう。ぜひ次回2027年の改定の動向にも注目してみてください。

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