介護職に欠かせないスキル、接遇とは?基本の5原則をおさえよう

介護の仕事

なぜ介護に接遇スキルが求められる?

利用者様はケアのなかで、どうしてもスタッフに自分の体を触られたり、プライベートな部分を見せなくてはなりません。自分を軽んじてくる人や感じの悪い人、いいかげんそうな人には、任せたくないですよね。そういった思いが介護拒否や抵抗につながることもあり、スムーズなケアの障害に。

職員が接遇マナーを身につけていれば、利用者様やそのご家族から「自分たちのことを尊重してくれる」と感じてもらえて、好感や信頼を得やすくなります。その結果、安心してケアを任せてもらえたり、話しにくいことでも心を開いて相談してもらえるようになります。

利用者側にとっては尊厳が守られ介護の質が上がるというメリット。スタッフにとってはスムーズな介護ができるようになるメリット。この2つが注目され、今介護において接遇スキルが重視されるようになってきているのです。

接遇の基本となる5原則

漠然と「相手に好感を持たれるようにしよう」と思っても、範囲が広すぎて難しいですよね。まずは下記の5原則をきちんと覚えて実践することを心がけましょう。

1.   挨拶をきちんとする

利用者様に対しては、正面から視界に入り、目を見て笑顔で挨拶をしましょう。後ろや斜めなど見えない位置から突然声をかけると驚かせてしまうので注意を。ご家族の方に対しても明るい挨拶を心がけましょう。

職員同士の挨拶も重要です。「おはようございます」「お疲れさまです」「ありがとうございます」「お先に失礼します」などはコミュニケーションの基本。笑顔を添えた挨拶を心がけるだけで、人間関係がぐんと円滑になります。

2.   身だしなみを整える

介護は対人援助のお仕事なので、相手がどう思うかに配慮することも仕事の一部。もちろん着飾る必要はありませんが、身だしなみに気を遣うことは大切です。

ボサボサの髪やシワシワの服など、身だしなみが乱れていると、それを見た人は「この人は、自分のケアをする余裕がないのかな」「衛生面はだいじょうぶなのかな」と不安になってしまいます。

服を着崩さない、靴のかかとを踏まない、髪を整える、爪をきちんと切るなどは最低限のマナー。介助の際には体を密着させることもあるので、香水や香りの強い柔軟剤も注意が必要です。「自分は良いと思うから」だけでなく、一歩立ち止まって「相手はどう感じるかな」と考えるようにしてみましょう。

3.   言葉遣い

利用者様に対してはもちろんのこと、ご家族や外部のお客様に対しても、きちんとした敬語でお話するのが基本です。利用者様の呼び方は、施設の方針もありますが、「○○さん」とさん付けで呼ぶのが一般的。

信頼関係が築けていないうちから利用者様を「○○ちゃん」などと愛称呼びしたり、「○○だね~」などとくだけた話し方をすると、利用者様を軽んじているように受け取られるためNGです。

また「○○してあげますね」や「○○しなきゃダメですよ」といった話し方は、スタッフが上で利用者が下という関係性を思わせるので気を付けて。

「○○いたします」「○○されますか?」「○○していただけますか?」といった言葉を使い、利用者様の気持ちを尊重する話し方を心がけていきましょう。

4.   姿勢、目線、態度

姿勢や目線、態度などの言葉を使わないコミュニケーションは、ときとして言葉よりも多くのことを伝えます。たとえば背中を丸めて下を向いた人から受ける印象と、姿勢よくまっすぐ前を見ている人から受ける印象はまったく違いますよね。重要なことなのでしっかりおさえていきましょう。

まず姿勢ですが、立っているときは「やすめ」の姿勢ではなく、まっすぐ立つように。腕組みをすると威圧感を与えてしまうので気を付けましょう。座るときは、足を投げ出して浅く座ったり、足を組むのではなく、まっすぐ座るようにします。

次に目線ですが、相手が車椅子などに座っているときは上から見下ろさないように気を付けて。背筋は伸ばしたまま膝を折るようにすれば、同じ高さで目線を合わせてお話しすることができます。

忙しいときはついついバタバタしてしまいますよね。しかしできるだけ利用者様の前では、テーブルにものを「ガチャン!」と置いたり、ドアを「バタン!」と閉めたりしないようにしましょう。「ガサツな人」「乱暴な人」という印象につながってしまいます。優しさ、丁寧さがにじみ出る立ち居振る舞いを心がけることで、あなたの印象がグンと良くなります。

5.   表情

表情も4と同じ非言語コミュニケーションですが、4よりさらに多くの情報を伝えます。せっかくの手際の良いケアも、顔をしかめて行うのでは台無しに。真剣な場面でも相手が緊張しないよう、笑顔で声かけしてからケアに取りかかるとよいですね。

マスクで微笑むときには口元だけでなく、意識して「目まで笑う」ことも大切です。面白いお話、びっくりするお話を聞かせてもらったときは目を大きく見開くなど、マスクの下の表情をしっかり伝えることで、コミュニケーションがよりスムーズになります。

接遇は介護職として成長するための第一歩

介護における接遇のメリットは、上記にご紹介した以外にもまだあります。それは、「スタッフ間のコミュニケーションが良くなる」こと。たとえば接遇のできていないスタッフなら「これやっといて(ガチャン!)」となりますが、接遇のできているスタッフなら、笑顔を添えて「今大丈夫ですか?お願いできますか?」となるはず。

このように、マナーをわきまえ相手を思いやることが当たり前の職場であれば、みんなが気持ちよく助けあって働けるようになるのです。

さらにそのような施設なら、利用者様家族や施設見学に来た人など、外部の目から見た信頼性もアップ。「きちんと教育が行き届いた施設だ」と感じて安心してもらえるため、求人が集まりやすかったり、クレームが起こりにくいなどのメリットも考えられます。

 

介護における接遇は、利用者様のためだけでなく自分自身の快適さや施設全体の評価にもつながる、一石三鳥のスキル。

基本となる5原則に難しい内容はなく、社会人としての基本と重なる部分も多いため、取り組みやすいのではないでしょうか。介護職として成長するための第一歩として、ぜひ実践していきましょう。

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