人材不足の介護施設に共通している特徴は?人材が定着する方法も

介護の仕事

新聞記事の上に車椅子の老人と介護する人の人形今介護業界が慢性的に抱えている悩み、人材不足。「せっかく入ってくれた人がすぐ辞めてしまう」「求人を出しても応募がない」・・・そんな状況がひんぱんに起こっているようなら、できるだけ早く原因を突き止め手を打っていく必要があります。

今回のコラムでは、「人が定着しない」「新規に人材が獲得できない」そんな介護施設の共通事項を明らかにし、対策としてすべきことをお伝えしていきます。介護施設の管理者の方はぜひ参考にしていただき、できそうなことがあれば1つからでも取り入れてみてくださいね。

人が定着しない介護施設で起こっていること

2人の男性介護士の後ろ姿人が定着しない介護施設では、給与や休日といった待遇面の問題以前に、「職場の人間関係」に問題があることが多くなっています。人間関係がギスギスして風通しが悪い職場は、いくらほかの条件が良くてもなかなか人が定着しません。

逆に人間関係が良好で気持ちよく働けているなら、多少の不都合や待遇面の不満があっても、できるだけ続けようと自ら譲歩したり工夫するなどしてくれます。そんな職場にはなかなか巡り会えるものではないことを、皆よく知っているからです。

ではどんな職場が人間関係に問題があるのか、人がすぐに辞めていってしまう介護施設に共通している特徴を挙げてみましょう。

  • 挨拶の声が少ない
  • スタッフに笑顔が少ない
  • カンファレンスなどで一部のスタッフしか意見を言わない、新しい提案がない
  • 休憩時間の雑談等、スタッフ間のコミュニケーションが少ない
  • 上司が常に忙しそうにしている
  • 不満があっても面と向かって言わず、告げ口や陰口が多い

いかがでしょうか。思い当たる節があるようなら、すでに黄色~赤信号が灯っているかもしれません。今日からでも対策をとっていく必要があります。

職場の雰囲気はトップがつくる

女性介護士の話を聞く管理者スタッフ同士のもめ事や価値観の相違に、管理者は口出しできないと思うかもしれませんね。しかしそんなことはありません。組織のトップである管理者は、全体の雰囲気に大きな影響を与えるキーパーソン。

組織のトップでなくても、リーダー職やマネジメント職にある人は、自分のチームの雰囲気を大きく左右する重要人物です。リーダーが笑顔で心に余裕を持ち、スタッフの話をよく聞けば、自然にスタッフにも笑顔が増えてお互いの話を聞き合えるようになっていきます。

このようにして職場全体のコミュニケーションが活発になれば、誤解や思い込みが原因で起こるもめ事が激減し、連絡や相談がしやすくなって働きやすさも向上。職場への愛着も生まれます。

同じ職場の仲間達が安心して仕事に集中できるよう、トップやリーダーが率先して互いに認め合える雰囲気をつくっていきましょう。そうした試みが、確実に人材不足の解消につながっていきます。以下では、そのためにすべきことを具体的に挙げていきます。

働きやすい職場をつくる!リーダーがおさえるべき5つのポイント

タブレットを見ながら笑顔で会話する男性介護士と管理者(1)スタッフを認める

スタッフの話を聞き、違うと思ってもまずは「そうなんですね」と受け止め、承認する。指示やダメ出し、否定はできるだけ避け、ヒントを出す程度にとどめて相手の気付きを促す。例:「なるほど、そうなんですね。よく分かりました。あ、でもこんなときはどうしたらいいでしょうね」

(2)帰り際の表情を見る

スタッフが帰るときは表情に注目する。暗い表情をしているスタッフがいたら、そのまま帰さず「少しだけお話いいですか?」と声をかけて話を聞き、ネガティブな感情を抱えたまま帰宅させない。

(3)こちらから声をかける

スタッフから声をかけられるのを待つのではなく、上司の側から積極的にスタッフに声をかける。職員から上司に「話を聞いてください」と言いに行くことのハードルの高さを知っておく。

(4)明るい笑顔で接する

上司が真顔でいると機嫌が悪そうな印象を与え、声をかけづらい雰囲気に。組織のトップに近い人ほど常に笑顔を意識し、挨拶を積極的にすることで、組織全体に笑顔と挨拶が増えていく。

(5)苦手なスタッフこそ多めに話しかける

気の合うスタッフとはよく会話し、そうでないスタッフとは必要最低限の会話しかしないと、職場に不公平感が生まれる原因に。苦手なスタッフほど、あえて多めに話しかけるように心がける。

応募者・新規職員を増やすには?

人材不足の改善には、上記のように職場の雰囲気を改善しつつ、さらに入ってきてくれる人を増やすのが効果的です。以下を参考にできることから取り入れてみてください。

《応募者を増やすためにできること》

  • 採用ホームページに職員インタビューなどを入れ、雰囲気が感じられるように
  • ホームページの更新頻度を上げ、活気がある様子を見せる
  • 年齢や雇用形態、時間帯などで設けていた制限を緩和し、募集要件の幅を広げる
  • 近隣の介護施設の時給などをリサーチし、競争力をつける

《面接後の辞退を防ぐためにできること》

  • 面接の日時、合否はすみやかに決定(できればその場で即決)して相手側に伝える
  • 面接の際は、面接官も求職者から選ばれる立場であることを意識。上から目線ではなく対等な立場で話す
  • 面接の時間を守る、資料を準備しておくなど、歓迎の意思を伝える

こちらのコラムも参考に≫「成功事例から学ぶ介護の採用。人材が集まるノウハウを知りたい!」

話を聞くだけでも納得感に

笑顔の介護士の男女職場にギスギスとした空気がある場合、それを放置して新しい人を入れても、新人育成の負担が上乗せされ現場が消耗するだけで問題解決にはつながりません。人手不足で切羽詰まっているなら、先に職場の雰囲気改善から取り組むべき。

職員からの相談内容が、すぐには対応できないような難しいことで、話を聞くことしかできなくても大丈夫。まずはスタッフに、「忙しい上司/リーダーが、私の話に真剣に耳を傾けてくれた=自分が尊重されている」という納得感を得てもらうことが重要です。

話をするなかで、誤解があったことに気付いたり、違う視点に気付けることもあり、全体のコミュニケーション量アップが、おのずともめ事を減らしてくれます。スタッフが職場に満足し、愛着を持つようになれば、友人知人を紹介してくれる可能性にも期待が持てますよ。

今いるスタッフを大切にすることから始めよう

若手(男女)介護士と笑顔で会話をする管理者「人手が足りない!」となったとき、自分が現場に出て忙しく走りまわるという管理職の人も多いのではないでしょうか。しかしそんなときこそ管理職は、積極的にスタッフに声をかけ気持ちを聞くことを優先してください。現場のことは現場を信頼して任せ、みんなから話を聞く余裕を失わないことが大切です。

上長が真剣に話を聞いてくれるだけでも、スタッフの心の負荷はぐんと軽くなるもの。つらい気持ちが緩和され、仕事に前向きに取り組めるようになります。それなのに話を聞いて欲しいときに上司が忙しそうにしていたら、ネガティブな感情を溜め込んだままになり、職場の雰囲気悪化や退職へつながってしまいます。

介護人材の定着と獲得のためには、上層部が余裕を失わず、今いるスタッフの声に耳を傾けること。ご紹介した方法はすべてそれにつながることなので、できることからぜひ取り入れてみてくださいね。

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