同行援護従業者はどんな資格?ガイドヘルパーとの違いや取得方法も

資格・スキル

駅ホームを歩く白杖の男性とサポート女性目の不自由な方にとって、外出は危険と困難の連続です。しかし健常者にとっては、見えないことの恐怖は想像が難しいことも事実。

資格を取得することで視覚障がいの特性について確かな知識とスキルを得ることができれば、お互いに大きな安心につながります。そのための資格が「同行援護従業者」資格です。

今回のコラムでは資格の取得方法や活かし方、混同されがちな「ガイドヘルパー」という呼び名との関係等についてもご紹介していきます。2つめ、3つめの資格として検討する介護職の人も多く、介護系資格と相性がよい資格ですので、この機会にぜひ知っておいてくださいね。

同行援護従業者はどんなことをする?

笑顔の高齢女性と成人女性の外出の様子視覚障がいのある利用者様の外出に同行し、必要な介護や援助を提供します。たとえば外出先での代筆や代読といった情報支援をするほか、安全に移動できるように手助けしたり、排泄や食事の際の援助を行います。

社会生活で必要な外出のほか、買物や余暇活動などにともなう外出もサポート。ただし通勤や通学といった経済活動や長期間にわたる外出は適用範囲外となります。

介護施設などで働くのとは異なり、一人ひとりの利用者様と過ごす時間が長くなるので、利用者様と信頼関係を築きやすく、外出の楽しさも共有できるのが良いところ。基本的に夜勤などもありませんが、利用者様の外出時間に合わせるため、正職員ではなくパートやアルバイトといった働き方が多くなります。

同行援護従業者資格を取得するには?

講習を受けている同行援護従業者資格は国家資格ではありませんが、都道府県または市町村が管轄する公的資格となっています。この資格を持った人が一定以上在籍していると、質の高いサービスを提供できる特定事業所として加算がもらえるため、就職の際のアピールにも。

資格取得のためには、3日間程度の「同行援護従業者養成研修」一般課程を修了する必要があります。受講資格はとくになく、誰でも受講することが可能。修了試験がなく、研修課程をすべて修了すればよいため取得の難易度は低めです。

研修受講にかかる費用は地方自治体によって若干異なりますが、だいたい2万円~5万円程度が多くなっています。

《Point!》同行援護従業者の質向上を図るため、令和7年度からカリキュラムが変更に。研修時間が20時間から28時間に増え、内容が手厚くなります。新カリキュラムのスタートは令和7年4月から予定されています。

旧カリキュラム(令和6年度まで)

  • 視覚障害者(児)福祉の精度とサービス(講義)   1時間
  • 同行援護の制度と従業者の義務(講義)   2時間
  • 障害・疾病の理解(1)(講義)     2時間
  • 障害者(児)の心理(1)(講義)             1時間
  • 情報支援と情報提供(講義)      2時間
  • 代筆・代読の基礎知識(講義・実習)      2時間
  • 同行援護の基礎知識(実習)      2時間
  • 基本技能(実習)          4時間
  • 応用技能(実習)          4時間
    合計20時間

新カリキュラム案(令和7年度から)

  • 外出保障(講義)          1時間
  • 視覚障害者の理解と疾病(1)(講義)      1時間
  • 視覚障害者の理解と疾病(2)(講義)      0.5時間
  • 障害者(児)の心理(1)(講義)             1時間
  • 障害者(児)福祉の制度とサービス(講義)          1.5時間
  • 同行援護の制度(講義)             1時間
  • 同行援護従業者の実際と職業倫理(講義)2.5時間
  • 情報提供(講義・演習)             2時間
  • 代筆・代読(1)(講義・演習)   1時間
  • 代筆・代読(2)(講義・演習)   0.5時間
  • 誘導の基本技術(1)(演習)      4時間
  • 誘導の基本技術(2)(演習)      3時間
  • 誘導の応用技術(場面別・街歩き)(1)(演習)    4時間
  • 誘導の応用技術(場面別・街歩き)(2)(演習)    1時間
  • 交通機関の利用(演習)             4時間
    合計28時間

参考:社会保障審議会障害者部会第136回(R5.6.23) 資料4「同行援護従業者養成研修カリキュラムの改正について」

ガイドヘルパーとはどう違う?

車椅子の女性と女性介護職員の散歩「ガイドヘルパー=移動介護従事者」という名称もよく聞かれますが、これは利用者様の外出をサポートする資格をすべてひっくるめた総称です。ガイドヘルパーはガイドできる対象者別に3種類存在し、上で紹介した同行援護従業者のほかに下記の2種類があります。

【行動援護従業者】
援護の対象となる人:知的または精神障がい者
必要な研修:「行動援護従業者養成研修」
受講資格:なし
研修期間・費用のおおまかな目安:24時間(3~4日間程度)、2~5万円程度(都道府県や研修事業者により異なります)

【全身性障害者ガイドヘルパー】
援護の対象となる人:四肢や体幹など全身にわたる障がいを持つ人
必要な研修:「全身性障害者ガイドヘルパー養成研修」
受講資格:基本的になし(都道府県や研修事業者により、介護職員初任者研修以上等の介護資格が求められることがある)
研修期間・費用のおおまかな目安:16時間(2~3日程度)、2~5万円程度(都道府県や研修事業者により異なります)

こちらのコラムも参考に≫「ガイドヘルパーの資格は3種類。介護職のスキルアップにも!

どんな人におすすめ?

先を見つめる女性同行援護従業者の研修では、実際に屋外に出てアイマスクと白杖で歩いたり、電車やバスに乗るなどの実習を取り入れたものも多くあります。見えない世界の怖さを自分で体験してみることによって、どんなサポートがあればスムーズなのか、安心できるのかを納得感を持って学ぶことができます。

障がいのある家族や友人と一緒に、安全・快適にお出かけするためのノウハウを学びたい人はもちろん、福祉・介護の仕事に興味のある学生さんにもおすすめ。資格をとって同行援護事業所に登録しておけば、1日数時間から都合の良いときに働くことができるので、この業界を知る入り口としてはうってつけです。

また外出に付き添うという特性上、不定期や土日の仕事、日中短時間の仕事が多いため、パートやアルバイトで短時間働きたい人にもマッチ。人の役に立つ仕事をしたいけれど、正職員として働くのは体力や時間的に難しい、という人におすすめできる資格です。

視野と働き方が広がる資格

空を見上げる女性福祉の仕事を未経験の方には、どんなものなのかを知る入り口の資格として。またすでに介護の資格を持ち仕事の経験がある人にとっては、今までの知識と合わせて身につけることで、より視野が広がりスキルアップに。

柔軟な働き方ができる資格なので、ライフステージの変化によってフルタイムで働けなくなった介護職の方にも、セカンドキャリアとしてぴったりではないでしょうか。

だいたい3日程度の研修で取得できる同行援護従業者資格は、取得の難易度は低めですが、得るものは大きいおすすめ資格。興味のある方はぜひ取得を検討してみてくださいね。

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