スーツ型介護ロボットは本当に介護の負担を軽減する?

使えるハウツー

移動介助を行う介護スタッフ
移乗介助やオムツ替えなど中腰になる機会が多い介護の仕事では、どうしても腰に負担が蓄積されがちです。これが腰痛にまで発展してしまうと、痛みで仕事に集中できなくなったり長期の休職に追い込まれたり、退職にまで発展してしまうことも・・・。常に人手不足に悩む介護業界にとって、腰痛は大きな問題なのです。

そんなやっかいな腰痛を防ぐツールとして注目されているのが、スタッフが体に装着して使うスーツ型介護ロボット。従来は非常に高価で使いづらい点もありましたが、最近は改良されコストパフォーマンスに優れたモデルも出てきています。

そこで今回は、スーツ型介護ロボットを実際に使っている介護職の方の声から、良かった点や悪かった点をご紹介。本当に介護の負担を軽減してくれるのか、有効活用するためには何に注意すべきかといった疑問解決のヒントを見つけてみましょう。ぜひ導入を検討する際の参考にしてみてくださいね。

スーツ型介護ロボットとは

スーツ型介護ロボット
スーツ型介護ロボットとは、体に装着してパワーアシストを行うことで、使用する人の体にかかる負担を軽減するものです。筋力のない被介護者が立ち上がりなどのリハビリ目的で使うほか、介護する人の腰をサポートし腰痛を防ぐなどの目的で使われています。

移乗介助目的で使う装着型のアシストスーツは、「エイジフレンドリー補助金」や「人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)」の助成対象となっています。また、各都道府県に設置される地域医療介護総合確保基金を活用した介護ロボット導入支援も行われており、令和2年度には支援内容が拡充されました。以下、介護業界で注目されているロボットを2種ご紹介しましょう。(2020年10月現在)

マッスルスーツ(株式会社イノフィス)
空気圧を利用した人工筋肉で動作をアシストする装着型ロボットです。動力源に電気を使っておらず、付属のポンプを使い手動で空気を送り込むことで動作します。入浴介助でも使える防水仕様で、慣れれば10秒程度で簡単に装着可能。コストパフォーマンスに優れている点も魅力です。

HAL(R)腰タイプ介護・自立支援用(CYBERDYNE株式会社)
軽量コンパクトな専用バッテリから電力を供給するモーター駆動タイプ。装着者の体につけたセンサーパッチから「生体電位信号」を読みとって動くため、動きを妨げることなくアシストします。「HAL(R)腰タイプ介護・自立支援用」ではパッチ貼り付けを行わなくても使用できるモードがあり、その場合は10秒ほどで装着ができます。防水仕様となっており入浴介助にも使用可能。動力源が電力のため充電時間が必要なことやバッテリ切れの心配があること、購入費用と保守費用がかなり高額になるのがネックです。

これ以外の機種でも、必要な条件を満たしていれば助成が受けられる可能性があります。詳しくは自治体に問い合わせてみてください。

地域医療介護総合確保基金-介護ロボット導入支援事業(厚生労働省ホームページ)

介護職員が使ってみて良かった点

アシストスーツを導入した施設の職員さんの声から、まずは良かった点をご紹介していきましょう。

○負担が軽減された
・中腰での介助や作業で腰がとても楽になり、疲労感が減った
・腰を痛める不安がなくなり精神的に楽になった
・1人で勤務しなくてはならない夜勤のときの負担が軽減された
・自分より体格の良い方や体重の重い方の介助に、不安がなくなった

○作業効率がアップした
・従来2人がかりでしていた介助でも、1人でできるようになったものがあり、作業効率がアップした
・1回の介助時間が短縮でき、職員に余裕ができた

○介助される人も楽になる
・介助を受ける側も、介助者がアシストスーツを装着しているほうがスムーズに上体を起こせるため、楽に感じていただける
・介助を受けるときの安心感が高まっているように感じる
・夜間の体位交換に要する時間が短縮でき、よく眠っていただける

○内外へのPR効果
・採用活動の際、職場でアシストスーツを導入していることをアピールしたところ、求職者の反応が良かった
・ご利用者やご家族にも「テクノロジーの導入に積極的な姿勢」や「安全性」をアピールでき、施設のイメージアップにつながった

介護職員が使いづらいと思う点

では次に、実際に使ってみて使いづらいと感じた点や気になった点についてもご紹介していきましょう。

・ベッド脇やトイレ内など狭いところでの介助では、手すりや壁に装置がぶつかってしまい、動きが妨げられることがある
・装着していると早く歩けない
・装着に時間がかかるため、コール対応など急がなくてはならないときに使いにくい

スタッフが使用する上で気になるのは、装置の大きさや重さに関する点が大きいようです。介護の仕事ではトイレやベッド脇など、狭い場所で介助を行うことも多くなります。スーツ型介護ロボットの導入を考える場合、まずは自施設で腰をアシストしたいと感じる場面はどのような場所かをリストアップし、安全に使える広さがあるかチェックする必要があるでしょう。

そのほか、「装着したままだと腿のパッドが邪魔になって早く歩けない」という声もありました。これについては、装着していないスタッフが早めに行って準備するなど、適切なフォローを行うことで問題なく使えている施設もあるようです。周囲の理解と協力が必要になるため、スタッフが必要性を理解できるよう研修を行ったり、ローテーションを組みスタッフ全員がサポートしあいながら使うといった工夫が必要です。

装置自体の重みが負担になる、装着に時間がかかるといった問題は、装置の装着や扱いに習熟することで解決できます。実際に「はじめは装着に時間がかかったが、回数を重ねると慣れて早くなった」という人は多いようです。まずはメーカー担当者等によるトレーニングを受け、正しい装着方法やトラブル時の対応方法などを学ぶことが大切。

その後も定期的に勉強会などを行い、スタッフ間で課題や工夫、良かった例などを情報共有することも欠かせません。チームで導入に取り組むことによって、効果を実感できる場面はじわじわと増えていきます。「ロボットの良さが職員に伝わらず、半年間ホコリを被ったままになっていた」などという事態を避けるためにも、施設全体で導入を推進していくようにしましょう。

装着型アシストロボットは魔法の道具ではない

アシスト
装着型パワーアシストロボットは、装着した人がいきなり力持ちになるわけでも、急に介護技術が上がるわけでもありません。あくまでも装置は人をアシストする存在。効果的に使うためには正しい使い方を知り、練習して使いこなせるようになることが必要です。そう考えると、「なぁんだ」「ちょっと面倒だな」と思われるかもしれませんね。

しかし実際に導入に成功した施設では、腰への負担軽減という目に見える効果のほか、「離職する人が減少した」「着用して仕事をしていたら、来館した子どもに『かっこいい』と言われた」といったうれしい声も聞かれています。

「介護職」という仕事が人から憧れられる職業として定着するには、仕事そのもののやりがい以外にも、こうした「最先端ロボットを使いながら行う仕事」というイメージがつくことも、大きな力になるのかもしれません。

新しいことにチャレンジするには苦労もありますが、大切な職員を腰痛から守り、身体的負担を軽くするだけでなく、新しい人材を確保することにもよい影響を与えられるはず。活用できる補助金制度もありますので、迷っている場合はぜひ前向きに検討してみてくださいね。

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