たった一人で利用者さんのご自宅を訪れるホームヘルパーにとって、自分の持ち物は唯一の頼れる味方です。だからこそ、「何を持っていったら役に立つだろう」「ほかのホームヘルパーは何を持っていっているんだろう」と疑問に思われている方のために、ベテランのホームヘルパーが使用しているアイテムを使い方とともに説明していきます。
持っていると役に立つ5つのアイテム
家事援助、排せつ介助、入浴介助、清掃業務、買い物援助…ホームヘルパーの業務は多岐に及びます。サービス精神が旺盛な人はとくに、「あれも必要かも」「これも使うかも」と考えて、カバンがふくらんでしまうことに。
一日に何軒も訪問しなければいけないのに、重い荷物を持って利用者さんのご自宅を行き来するのはしんどいですよね。
ここでは、持っておくと色々な場面で活用できる基本アイテムを5つご紹介します。知っておくと、少ない持ち物で幅広い対応がとれるようになれます。
1.ハンドタオル(タオルハンカチ)
薄いハンカチよりも、モコモコとしたハンドタオルをおすすめします。
ハンドタオルは吸水性に優れており、手を拭く程度なら一枚で何回も使用することができます。薄いハンカチは乾きにくいため、調理や掃除、入浴介助などでよく手が濡れるホームヘルパーには向きません。
また、フェイスタオルよりも小さいため、ポケットに入り、困ったときにすぐに取り出せることもポイント。ハンドタオルには汗をぬぐうという使い方もありますので、予備を含めて多めに持っていくようにしてください。
こんな時にも役立つ!意外なシチュエーション
外出介助中に利用者さんが暑さを訴えられたときにも、ハンドタオルの出番です。
トイレや手洗い場などで、ハンドタオルを濡らして利用者さんの首筋を冷やしてあげましょう。これだけでも暑さは軽減されます。利用者さんに水分を補給してもらうことも忘れないでくださいね。
2.薄手の使い捨てゴム手袋
排せつ介助やトイレ掃除に。利用者さんのご自宅にもゴム手袋はあるかもしれませんが、持参したゴム手袋を使うようにしましょう。
こんな時にも役立つ!意外なシチュエーション
衛生面のほかにも、ヘルパーの健康を守れるアイテムがゴム手袋です。たとえば、利用者さんの軽いケガの治療時や、ノロウイルスなどの感染症の方の介護に入るとき。ゴム手袋を着用していれば、感染のリスクを減らせます。使い終わったゴム手袋はビニールにくるむなどして、訪問先で処分してから帰りましょう。
3.ばんそうこう
ばんそうこうを持っていれば、利用者さんが小さいケガをしてしまったときにも慌てなくてすみます。救急箱の場所が分からない利用者さんもおられるので、持参しておくことをおすすめします。
こんな時にも役立つ!意外なシチュエーション
あなた自身がケガをしてしまった際にも利用できます。ただし注意点が1つ。
利用者さんによって、ばんそうこうを巻いているホームヘルパーを見た時に、「大丈夫?」と心配されたり、「ケガをしている指で調理をしてほしくない」と不快に思われたりすることがあります。そんなときに役立つのが、「液体ばんそうこう」。透明なジェルを患部に塗るだけなので利用者さんからは見えにくく、心配されたり不快な気持ちになったりしません。
4.万能ドライバー
百円均一の商品でかまいません。「ミニテーブルがぐらついているので直してほしい」などの小さめの家具の修理であれば、ドライバーを1つ持っていれば対応できます。ペンケースに入るサイズのものも販売されていますので、大きな負担にならず、対応の幅がグンと広がる便利な道具です。
こんな時にも役立つ!意外なシチュエーション
自分の指では届かないすき間や物の間などの掃除に役に立ちます。細長く、しっかりとした硬さがあるため、奥にたまったホコリを逃すことなくひっかき出せます。
5.使わなくなったプラスチックカード
期限切れのクレジットカードや、行かなくなったお店のポイントカードなど、どのご家庭にも1枚はあるのではないでしょうか。持参しておけば、利用者さんやご家族をアッと驚かすことができるかもしれません。
こんな時にも役立つ!意外なシチュエーション
生活援助での掃除。お風呂場の浴槽や洗面器についた頑固な水アカはプラスチックカードで簡単に落とせます。カードを水アカに当てて何度かこするだけで綺麗になり、傷もつきません。ほかにも、キッチンのガスコンロについた焦げなどのこびりついた汚れも同じように簡単に綺麗にできます。
トラブルを防ぐための5つの必需品
1.筆記具、はんこ
訪問介護では各訪問先で記録をつけなければいけません。在宅介護では、ホームヘルパーだけでなく訪問看護師やケアマネジャーも同じ家を訪れます。あなたが記録を残しておかなければ、次に訪れた方がとるべき行動がわからず、対応が遅れてしまうことになってしまいます。
2.ポケットティッシュ
「ティッシュくらいなら利用者さんの家にも置いてあるだろう」という思い込みはやめましょう。様々な用途がある便利なアイテムだからこそ、必ず持参するようにしてください。
3.飲み物
利用者さんからお茶菓子などををいただいてしまってはいけないように、飲み物もいただくことができません。からだを動かして働くホームヘルパーにとって水分補給は大切です。特に暑い季節などは熱中症予防のためにも必ず持っていきましょう。
4.買い物用のお金を入れる袋
利用者さんから預かったお金を自分の財布に入れてしまうと、利用者さんのお金と自分のお金が混ざってしまい、管理が難しくなってしまうことがあります。利用者さんのお金は自分の財布と分けておきましょう。中が確認できる透明の袋を使うと安心です。預かったお金と買い物メモを入れ、買い物のあとにはレシートを入れて持ち帰り、必ず利用者さんに確認をしてもらってください。
5.事務所連絡用携帯電話
業務が終わったあとや、急病など緊急事態が発生したときには必ず事務所に連絡をいれなければなりません。連絡をせずに病院などへの付き添いなど、予定にない行動をしてしまうと、次の利用者さんに迷惑がかかってしまいます。
“備えあれば憂いなし”対応の速さは準備次第
ここまでご紹介してきた道具を整理しましょう。
便利アイテム
- ハンドタオル
- 使い捨てゴム手袋
- ばんそうこう
- 万能ドライバー
- 使わなくなったプラスチックカード
必需品
- 筆記具、はんこ
- ポケットティッシュ
- 飲み物
- 買い物用の袋
- 携帯電話
普段使う日用品でも、利用者さんのご自宅に必ず置いてあるとは限りません。必要なときにすぐ取り出せるようにホームヘルパーが携帯しておくことが大切です。
ご紹介したアイテムは基本的なものばかりで、持っていれば家事援助や身体介護など、色々な場面であなたを助けてくれるもの。基本をたいせつにして、ゆとりのあるサービスの提供につなげましょう。
からだだけではできないことを可能にしてくれるのがお役立ちアイテムです。あなたの負担をやわらげるためにもぜひ活用していってください。