介護のチームワークは報告の仕方が重要!分かりやすく伝える方法は?

使えるハウツー

女性職員がメンバーに報告している仕事の基本と言われる「ほうれんそう」=「報告、連絡、相談」。とくにチームワークが求められる介護の現場では需要視されるコミュニケーションスキルです。

なかでも「報告」は、その場にいない人に「状況を的確に伝える」もので、介護職は行う頻度が高いもの。要領を得ず時間がかかったり、大事な情報を伝え忘れたりすると、チームワークを乱すだけでなく重大な介護事故にもつながりかねません。

今回は介護職から介護職、介護職から看護職などの異職種、ご家族などに報告を行う際に、必要なことがスムーズに伝わる報告の仕方についてお伝えしていきます。慌ててしまってミスをしがちという介護職初心者の方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

介護で報告するのはこんなとき

カンファレンスイメージ介護職、看護職、相談職、リハビリ職など、介護の現場では多くの専門職が協働しています。それぞれが自分の立場で得た情報を報告し合い、よりよいケアにつなげていくために、報告は欠かせないステップ。なかでもとくに報告の質が問われる機会を以下に挙げてみましょう。

  • 申し送り
    朝と夕方に行われる申し送りでは職員が入れ替わるため、直近の利用者様の情報を正確に伝え、必要なケアや適切なケアにつなげる必要があります。
  • カンファレンス
    介護職員、看護師、リハビリ職など多職種が集まって話し合い、利用者様やご家族にとってより良いケアを模索する場。異なる立場からの報告が集まることで、より正確に状況を把握することができます。
  • 夜勤時に看護職へ電話連絡
    夜勤時などに利用者様の急変等があった場合、オンコール担当の看護師に電話で問い合わせや相談を行うことがあります。その場にいない看護師が的確な判断を下せるように、必要な情報を素早く正確に伝える必要があります。

伝わる報告の仕方、4つのポイント

報告をする男性職員1.大事な情報から始める

報告の最初は「何について話すのか」、「一番伝えたい大事な情報」から話し始めるようにしましょう。そして、「自分の考え」ではなく「事実」を簡潔に伝えることを意識します。事実と解釈をごちゃまぜにして話してしまうと、相手を混乱させてしまうからです。
その次に相手からの質問に答える形にすれば、情報の抜け・漏れが効率よく補えて、短い時間で正確に状況を伝えることができます。自分の解釈や質問、相談は、報告の最後に、「これは私の意見ですが」「ご相談ですが」といった言葉を付け加えて行いましょう。

例:「○○さんの体温についてですが(何について話すのかから始める)」
「××さんの入浴拒否が続いて今日で○日目になります(一番伝えたいことから始める)」
「これは私の考えですが、××さんは○○という言い方に拒否反応を示されるので、今日は△△のような言い方でお誘いしてみてはどうかと思います(自分の考え、解釈などの話をするときは前置きをつける)」

2.具体的に伝える

「いつ」「どこで」「誰が」といった大事な情報があいまいにならないよう、数字や固有名詞を適切に使いながら報告をします。正確な情報を伝えるため、数字等を簡単にメモして、それを見ながら報告するようにするとよいでしょう。言葉で伝えにくい情報の場合はタブレットなどで写真を撮って報告するのも有効です。
例:「○○様が○時に自室で転倒されました(いつ、どこで、誰がを具体的に)」
「本人のお話では右ひざを打ったとのことですが外傷はみられず、歩き方にも変化はありません。引き続き様子の観察をお願いします(どうなったか、どうしてほしいかを具体的に)」

3.情報を集める

とくに電話で医療職に指示を仰ぐような場合には、相手が正しい判断を下せるよう、利用者様の状態をできるだけ詳細に伝える必要があります。「意識は」「呼吸の状態は」「本人の訴えは」「昼間になにか変化があったか」などの情報を集めましょう。

集めた情報は簡単にメモにまとめ、重要度に順番をつけて、その順番通りに伝えるようにするとスムーズ。手元に介護記録も用意しておくと、前日や昼間の状況(頭をぶつけた、食欲がなかった、むせ込みがあった、一日中機嫌が悪かった等)もすぐに確認できます。

4.整理してから報告する

予期せぬ出来事が起こったとき、早く報告しなくてはと焦ってしまうかもしれません。しかし混乱した状態でまとまっていない報告をされても、聞いている方も困ってしまいます。まずはいったん落ち着き、報告内容を整理してから報告することが大切です。

電話では忘れないうちに指示されたことをメモできるよう、手元に必ずメモとペンを用意してから電話をかけることもお忘れなく。

例:「○○さんの体温ですが、20時の検温で38.5℃でした(一番大切なことから始める)。いまは頭部と脇の下をクーリングしていますが、現在の体温は38.6℃で、時折たんのからんだ咳があり、呼吸が苦しそうです(現在の状況を具体的に)。昼食の際にむせ込みがあり、15時の検温では36.7℃でした。指示お願いします」

情報の集め方

記載内容を確認する介護職員さて、よい報告のためにどんな情報を集めればよいのかは、なかなか難しい問題です。これは相手の立場に立ってみると分かりやすいでしょう。「自分が報告を受ける立場だったら、どんなことが知りたいだろうか」と考えてみてください。

「ふらつくのは薬の影響かもしれない、最近薬を変えていないかな」「食欲がないなら便通の状態はどうだろう」などと思い当たると、報告の際に最近の服薬状況や便通の回数なども添えることができます。

相手は知りたい情報や必要な情報をスムーズに得ることができるので、早く的確に判断を下すことが可能。ひいては利用者様が早く適切なケアを受けられることにつながります。

報告で大切なのは早さより的確さ

パソコンを見ながら携帯で報告を聞く女性職員新人のうちは、何かトラブルが起きると「とにかくすぐに報告しなくちゃ」とあせってしまいがち。もちろん早いタイミングで報告することも大切なのですが、よい報告のためにはそれ以上に「必要な情報を集める」「情報を整理して伝える」ことが重要です。

どんな状況でどんな情報が必要かの判断は、仕事に慣れるまではなかなか難しいかもしれません。報告を終えたあとに、「水分摂取の状況はどう?」「便通の回数はどうなってる?」などと質問されることも多いでしょう。

そんな経験を積むうちに「こんなときは水分摂取の状況をみておくといいんだな」「便通の回数で判断が変わるんだ」と分かってくるようになります。このような学びを蓄積することで、必要な情報を先回りして盛り込んだ報告ができるようになるでしょう。

経験の浅いうちはむりせず、「情報を整理して伝える」ことから取り組んでいきましょう。そのとき報告を受ける相手の立場になって「時系列で言われたほうが分かりやすいよね」「こんな情報が知りたいんじゃないかな」と考える余裕があれば、きっとメキメキ成長できるはず。あせらずひとつずつがんばっていきましょう。

この記事をシェア

  • Twitter
  • facebook
  • LINE

週間人気ランキング

かいごGarden noteとは?

かいごGarden noteは、介護の求人サービス「かいごGarden」が運営する介護の情報サイトです。
介護のお役立ち情報や、介護の仕事のお悩み情報などを掲載しています。