シニアセラピーとは、高齢者の心と体の両面から健康になってもらうことを目的に、専門のセラピストが提供する癒やしのサービスです。
顔や足裏を心地よく刺激することで、高いリラックス効果が得られるだけでなく、見違えるようにむくみがとれたり体が軽くなるといった声が聞かれます。
セキュリティで有名なALSOKの介護サービス部門がオリジナルで提供しているものですが、セラピスト養成講座も開催されており、それを受講すると技術を身につけることが可能。
介護職員がスキルアップのために受講するほか、在宅介護の介護者が家族のために受講するケースや、セラピストが高齢者向けの技術を身につけるために受講するケースも多いようです。それではさっそく詳しく見ていきましょう。
シニアセラピーとは
シニアセラピーは、高齢者の心身の健康増進を目的としたリンパドレナージュのこと。カウンセリングのようなメンタル系のセラピーとは異なり、顔と足を心地よく刺激していくボディ系の癒やしサービスです。
リンパドレナージュは単なるマッサージと違って、強くもんだり押したりすることはありません。アロマオイルなどを使ってやさしく皮膚を動かすようにさすり、滞りがちなリンパの流れを改善。
ALSOKの介護施設で行われているシニアセラピーでは、これを高齢者の心と体の特性に合わせ、顔と足の２ヵ所で行います。まず足に関してはアロマオイルを使って膝下から足裏をやさしくほぐし、リンパの流れと血流を改善。
顔に関しては、顔のリンパや首、肩、頭皮を心地よく刺激して脳や表情筋を活性化、唾液の分泌を促します。最後に希望される利用者様に軽いメイクを施して施術終了です。
基本的には座って行いますが、ベッドに寝た状態でも行うことが可能。メンタル系セラピーではないもののリラックス効果が高いため、施術後に笑顔が増える、行動が落ち着くといった心理的な健康増進効果も期待できます。
シニアセラピーの効果
足先まで血流が行き渡り、リンパの流れが改善することによってまず足のむくみがとれ、歩行しやすくなる効果が期待できます。また冷えが改善することにより眠りやすくなる効果も。
顔を刺激する施術では高いリラックス効果があるうえ、表情筋や脳が活性化され、表情が生き生きとしてくることもあります。唾液の出にくい方には唾液腺をしっかり刺激することによって口腔内の環境を良くするといった効果も。
高齢者の肌に直接触れて行うため、「タッチング（介護者の手で相手の体にやさしく触れることで幸せホルモンとも呼ばれるオキシトシンが分泌され、ストレスや痛みの軽減に役立つといわれるケア方法）」の効果も加わり、高齢者の不安感やイライラを軽減し心の安定にも役立ちます。
さらに希望される利用者様には、最後に口紅などで軽くメイクも行うため、気持ちも明るく華やかに。日常生活に彩りを添えるレクリエーションとしての役割も果たします。
シニアセラピーを受けるには
シニアセラピーは、ALSOKが運営するグループホームや介護付き有料老人ホームで受けることができます。費用は30分の施術1回あたり2,000円程度と手頃ではありますが、ALSOK系列の介護施設でないと受けられない点は注意が必要。詳しくは下記を参照してみてください。
系列以外の介護施設であれば、高齢者向けの訪問マッサージを行っているボディケアサロンなどもあるので、そういったところを探して依頼するのも手。その際は上でご紹介したシニアセラピーとは内容が異なりますので、サロン側に事前に詳細を確認し、内容について打ち合わせしておきましょう。
もしくは関東であればシニアセラピーセラピスト養成講座も開かれているので、そちらで学んで技術を身につけ、自施設の利用者様や家族に施術をするのも良いのではないでしょうか。
シニアセラピーを学ぶには
関東地区ならシニアセラピーセラピスト養成講座が開かれており、誰でもシニアセラピーについて学ぶことができます。受講内容は顔面療法と足裏療法でそれぞれステップ1からステップ 3まであり、各ステップの受講費用は8,800円。3つのステップを同月に受けると割引が適用されて22,000円となるそうです（2024年1月現在の情報）。
各STEPのカリキュラムは4.5時間ほどで、座学と技術の両面からじっくり学ぶことができ、介護やマッサージが未経験の方でも問題なく学べます。
顔面療法、足裏療法のどちらかをSTEP3まで修了すると、ALSOK介護株式会社から修了証が授与されます。また介護経験者向けに実技・現場実習をメインにした短期講座もあるようです。気になる方は問い合わせてみてください。
これとは別に、介護が必要な高齢者向けにアロマテラピーやマッサージを行う「介護リハビリセラピー」というものもあり、日本介護リハビリセラピスト協会が資格講座を開講しています。
こちらはオンライン学習もできる通信講座か、講師に直接指導してもらう1日講座のどちらかで資格取得が可能。誰でも受講することができるので、興味のある方はぜひ下記を参照してみてくださいね。
介護リハビリセラピーとは（日本介護リハビリセラピスト協会HP）
シニアセラピスト資格は就職に有利？
シニアセラピスト資格の場合、ALSOKが運営する介護施設であれば、短期講座を修了した人に向けて就業支援があるようです。ただシニアセラピストも上でご紹介した介護リハビリセラピストも、公的資格ではなく民間資格のひとつですので、一般の介護施設に就業を希望する場合には特に有利になったり、手当がつくことはほとんどないでしょう。
それでも特技としてアピールすることはできますし、リンパドレナージュの知識が実際に介護現場で役立つシーンも多いと考えられます。また介護職は立ち仕事ですので、足がむくみやすいもの。自分自身のむくみ解消にも、知識を役立てることができるでしょう。
介護業界全体でしっかりと評価される資格を取りたい場合は、「介護職員初任者研修」や「介護福祉士実務者研修」などの公的資格がおすすめ。介護保険制度に組み込まれている資格ですので、どの介護施設でも通用し、給与や資格手当などにきちんと反映されます。
こちらのコラムも参考に≫
「未経験から取得できる！介護の資格について 〜介護職員初任者研修 編〜」
「実務者研修を働きながら取得するには？無料にする方法も」
冷えやむくみをやさしく手当て
介護施設で働いていると、ひどい冷えやむくみに悩まされている高齢者に出会うことがあります。そんなとき、正しいリンパの知識やアロマの知識、マッサージの技術を持っていれば大いに助けになるはず。
パンパンにむくんでいた足が目に見えてほっそりしたり、「すっきりしてラクになったよ」「またお願いしたい」などと言ってもらえたらとてもうれしいですよね。
血流やリンパの流れを改善するノウハウは、自分自身の疲労のケアにも役立てることが可能です。興味のある方はぜひ、ケアに取り入れてみてくださいね。
