スムーズなトイレ介助に役立つ!基本の介護技術5つ

使えるハウツー

レストルーム

トイレは究極のプライベート。トイレ介助の際にはそのことをよく踏まえ、高齢者の心情に配慮する必要があります。しかし立ち上がりや移動、便座に座るなど、いくつもの動作が連続する介助中は、介護者もそうとう緊張するもの。そんななかで相手の気持ちを思いやる余裕を持つのは、簡単なことではありません。

今回は、介護される人にできることをやってもらい、お互いに負担を減らしながらスムーズにトイレ介助を行う介護技術をくわしく掘り下げます。また後半では、在宅介護での夜間のトイレ介助の負担軽減についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

トイレ介助の基本の考え方については、こちらのコラムもご覧ください。

>トイレ問題の対処法:今日から役立つ!介護の基本(4)

介護技術1:ベッドからの起き上がり

排泄だけでなく、すべての行動の起点になる動作。本人にお願いしてやってもらい、できない部分だけを手伝うようにするのが基本です。

  • ギャッジベッドを使う場合
    声かけをしてからベッドの背もたれ部分をゆっくり上げ、60度以上にする。このとき足側は曲げない。高齢者の背中に手を回して上体を支えながら、体の向きを変えて両足をベッドから降ろしてもらう。高齢者の肩と膝を持って、ベッドの縁にまっすぐ座った状態になるよう、姿勢を整える。
  • 肘をついて起き上がる
    起き上がる方向に寝返りをし、横向きになってもらう。かかとをベッドの端から出す。下側の腕の肘をついて、体を起こしてもらう。このとき上側の手を持って支え、動きをサポートする。肘をついて体を起こせたら、ベッドから両足を降ろしてもらう。傾いている姿勢を整え、ベッドの端にまっすぐ座る。

介護技術2:車椅子・ポータブルトイレへの移乗
車椅子へ移乗する男性と介護スタッフ

こちらも、できることは本人にやってもらい、介護者はできないところだけをサポートしましょう。

  • ベッドから車椅子へ移る場合
    車椅子をベッドと平行にしてブレーキをかけておく。ベッドの縁に浅く座り直してもらう。介助バーを持って立ち上がり、足踏みをするように少しずつ体を回転させて、お尻を車椅子の方へ向けてもらう。介助バーを持ったまま、車椅子に腰を下ろす。車椅子に深く座り直し、姿勢を整える。立ち上がれなくても、お尻を浮かしてずらすことができれば、その動きでベッドから車椅子の座面へと移動できる。その場合は、車椅子のアームレストを上げて、ベッドに平行につけておく。スライディングボードなどの福祉用具も便利。
  • ベッドからポータブルトイレへ移る場合
    ポータブルトイレをベッドの足側に、ベッドと平行になるように置く。ベッドの縁に浅く座ってもらう。介助バーを持って立ち上がり、足踏みをするように少しずつ体を回転させて、お尻をポータブルトイレの方へ向けてもらう。介助バーを持ったまま、ズボンを下ろしたら、トイレに腰を下ろす。排泄が済んだら、逆の手順で元に戻る。

ポータブルトイレに移る場合も、トイレの肘掛けが外せるタイプなら、車椅子へ移る場合と同様にしてお尻をずらしながら自力で移動することができる。

介護技術3:車椅子からトイレへの移乗

トイレにスペースがある場合は、車椅子を便座に向かって直角につける。(図1)

トイレにあまりスペースがない場合は、車椅子を便座から少し離して正面につける(図2)。車椅子に浅く座り直し、トイレの手すりにつかまって立ち上がる。そのまま少しずつ体の向きを変え、お尻を便器に向けていく。手すりにつかまりながらズボンを下ろす。便座に腰を下ろして排泄する。終わったら逆の手順で車椅子に戻る。

車椅子からトイレへの移乗を説明するイラスト

介護技術4:衣服の上げ下ろし・清拭

  • 衣服の上げ下ろし
    下げるときは、座った状態であらかじめベルトやファスナーを外し、左右に体重を移動させながら、できるだけ下までズボンと下着を下げておく。手すりにつかまって腰を上げ、ズボンと下着をしっかり下げる。上げるときは逆の手順で、手すりにつかまりながら上げていく。座った状態で左右に体重を移動させながら上げていってもよい。最後に衣服を整える。
  • 清拭
    自力で清拭ができない場合は、手すりにつかまって前屈みになってもらい、スタッフが素早く行う。お尻の清拭は前から後ろに向かって拭く。必要に応じて陰部洗浄をする。トイレにファンレストテーブルという補助具があると、安全に前傾姿勢を保ってもらえるので便利。

介護技術5:トイレ介助の声かけ
トイレの様子

  • トイレに誘うとき
    食事の前やレクの始まる前、お気に入りのテレビ番組が始まる前など、何か行動する前後に「○○する前(した後)にトイレに行っておきませんか?」と声を掛ける。自然に定期的に誘えるので、失敗も減らせる。
  • 排泄介助中
    座位が安定している場合は、「ドアの向こうで待っていますので、終わったら声をかけてくださいね」などと声をかけて待機する。時間がかかっているようであれば、「中に入ってお手伝いをしてもよいですか」と確認してトイレ内に入る。座位が安定しない方でそばについている場合は、タオルをかけるなどプライバシーに配慮する。リラックスして自分のペースで排泄してもらえるように心がける。
  • 排泄後
    「体調が良さそうですね」「すっきりしましたね」など、一緒になって喜んだり、自尊心を高めてもらえるような声かけを。もし失敗があっても、「大丈夫ですよ、すぐにキレイにしますね」などと声をかけ、手早く後始末を行う。明るく前向きな言葉をかけ、自信を持ってもらえるように配慮する。

夜間のトイレ介助、負担を軽くするには?

現在、新型コロナウイルスへの感染対策から介護施設の利用が制限され、在宅介護の機会が増えています。在宅介護でとくに負担になるのが、夜間のトイレ介助。老人ホームなどの施設なら夜勤スタッフが交代で対応できますが、自宅介護ではそれもできず、眠れないなど家族に負担が大きくのしかかります。いくつかアイデアをご紹介しますので、使えそうなものがあればぜひ試してみてください。

  • ポータブルトイレを居室内に置く
    立つことができるのなら、夜間限定で使用するだけでも介護者の負担軽減に。専用の消臭液などを使うと、ニオイもおさえられる。
  • 寝る前の水分摂取を適量にする
    寝る前の水分摂取はコップ一杯程度で充分。水分を多く摂取すると脳梗塞を予防するという直接的な証拠はなかった、という報告もあります。
  • 夜間頻尿を治療する
    夜寝てから朝起きるまでに1回以上トイレに行くのは「夜間頻尿」。あまり睡眠が妨げられているようなら健康にも悪影響なので、医師に相談のうえ治療することも考える。
  • 昼間の活動量を増やす
    尿意で目が覚める場合のほか、なんとなく目が覚めて布団の中で過ごすうちに、トイレに行きたくなる場合も多い。眠りが深くなるよう、朝は日の光を浴び、なるべく昼間の活動量を増やすことを心がける。

「水分を多く摂取することで, 脳梗塞や心筋梗塞を予防できるか?」システマティックレビュー(日本老年医学会雑誌)

トイレ介助は関係作りも大切
手を取り顔を合わせる介護スタッフと利用者様

食事や着替えなど他の介助に比べ、自分のプライベートを見せなくてはならないトイレの介助は、もっとも頼みづらい介助です。元気な頃を知っている家族が介護する場合は、なおさらです。

一度トイレで嫌な思いをしてしまうと、水分を摂りたがらなくなったり、便意を我慢して便秘になってしまうことも少なくありません。ふだんから信頼関係を深めることを意識し、安心してトイレに行ってもらえるよう心がけていきましょう。

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