介護ストレスから少しずつ開放される、3つの考え方

介護職の保健室

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介護をしているとときどき、どうにもならないストレスを感じることがあります。それは介護を職業にしている人でも、家庭で家族を介護している人でも同じ。

その介護ストレスが大きすぎてしまうと、何かのきっかけで爆発したり、介護される人とけんかして関係が悪化してしまったりと、いいことがありません。ひどくなると介護うつやネグレクト、虐待につながってしまうことも・・・。

そこで今回は、そんな介護ストレスを避け、ストレスから自由になるための考え方のコツをご紹介したいと思います!

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良くしてあげようと思わない

「良くしてあげようと思わない」というと、「えっ?」と思われるかもしれません。もう少していねいに言うと、「良くなることを押し付けない」ということ。

要介護者は一時的な病気やケガとは違って、衰えることはあっても若くて元気な頃の体に戻ることはできません。そのことを一番感じているのは本人です。良くしてあげる、というのは、とらえようによっては「上から目線」の言葉なんですね。

もちろんリハビリをがんばって、状態が劇的に良くなる例もありますが、それは本人が自発的にがんばったから。本人がそうしたいと思っていないことを、周囲の人が口うるさく言ってもできるものではありません。こちらの「こうなってほしい」を押し付けてしまうと、お互いのストレスにつながってしまうというのです。

ではどうするかというと、まず介護する人がすべきことは、ありのままの本人を受け入れること。そのなかで、「もう一度ゴルフがしたい」「孫の結婚式に参加したい」といった自発的な気持ちがあることに気付いたら「じゃあリハビリしてみようか」と誘ってみる。本人のやりたい気持ちを受け止めるくらいのスタンスでいることが、介護ストレスを避けるコツなんです。

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効率ばかりを考えすぎない

もちろん、効率よく介護することは大事なことです。特に仕事なら、効率を考えないなんてことはできませんし、家庭で介護している場合でも、なんとか効率をよくして、少しでも負担を減らしたいと考えるのは当然のこと。

でも、効率を考えすぎると、逆に自分が追いつめられてしまうことがあります。介護される人も人間ですから、たまにはそんな気分じゃない日もあったり、体の状態が変わってきて、今までのやり方が通用しなくなることもあります。

もちろんいつも相手のペースに合わせてばかりはいられませんが、余裕のあるときはなるべく「どうしたの?」「どうしたいの?」と聞いてみましょう。介護されている人の言い分を聞くことで関係性が良くなり、介護しやすくなることもあります。認知症などでコミュニケーションがとりづらければ、試しにやってみて様子を見るなど、試行錯誤をしてみるのもおすすめです。

「こうしなければいけない」「これがいいはず」と思い込み、相手の変化を無視しようとすると、すれ違いや摩擦が生まれ、「一生懸命やっているのにうまくいかない」と追いつめられた気持ちになりがちです。「いつもと違うけど、まあいいか」と大らかに構えるほうが、ずっとうまくいくのです。

介護をオープンにしよう

在宅介護をがんばっている人のなかには、家族が要介護状態であることを隠したいと考える人がいます。尊敬する親が認知症になってしまったことを認めたくないなどの潜在意識が、無意識のうちに働くのかもしれません。

でも介護はがんばっても1人でできるものではありません。まずは家族が、ありのままの本人を受け入れること。決して恥ずかしいことではないのですから、周囲にもオープンにして、公的な介護サービスを積極的に利用するなど、どんどん助けを求めましょう。

介護職の人は周囲のスタッフと協力、分担して仕事をしているので、1人で抱え込むことは少ないと思いますが、やはり積極的に周囲に話をしていくことでストレスを発散していくことができます。同じ介護職の仲間はもちろん、ふだん介護と関わっていない家族や友達にも、介護の話をたくさんしてあげてください。きっと興味深く聞いてくれると思いますよ。

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介護する人とされる人、両方のQOL向上を

「良くしてあげなくては!」「効率よくやらなくては!」「1人でがんばらなくては!」と考えるがんばり屋さんほど、介護ストレスを溜め込みやすいことは以前にもご紹介しました。
(参考記事:介護うつになりそうだと思ったら・・・

もちろん、安全や衛生といった部分で、手を抜けないところもありますが、介護に向き合うメンタルの部分では、がんばりすぎない「ゆる介護」のほうがオススメ。

優れた技術やスキルを提供することが、介護のすべてではありません。何より大事なことは、要介護者に対して「あなたのことを大切に思っていますよ」というサインを送ること。介護される人の話に耳を傾け、気持ちを尊重することで、その気持ちを相手に伝えることができます。誰かにとって大切な存在であることは、生きる気力の源。要介護者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上のためには欠かせないことです。

もちろんQOLの向上は、介護される側だけの問題ではありません。当たり前ですが、介護する側だって自分らしく生きることを楽しむ権利があります。ストレスだらけの介護をしていたら、人生のクオリティも下がってしまいますよね。

介護ストレスから自由になるためには、ちょっと手抜きかも、と思うくらいで取り組むのがコツ。最近介護ストレスをよく感じるな、という人は、一生懸命に介護をがんばりすぎているのかもしれません。そんなときは効率や結果のことを一度忘れて、のんびり向き合ってみるのもおすすめです。
参考文献:介護ストレスをゼロにする10の思考法(著 深澤 昭彦)

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