入居型介護施設で働くスタッフにとって、夜勤は避けて通れない勤務形態です。しかし普段昼間に活動している人が時々夜勤を行う場合は、どうしても生活リズムが乱れがち。集中しなければならないときに眠くて仕方なかったり、逆に寝ておきたいときに目がさえてしまって眠れなかったり・・・。
そこで今回は、夜勤前の過ごし方にスポットを当て、体への負担が少ない方法を探っていきましょう。
利用者様の夜の様子が分かって勉強になったり夜勤手当で給与がアップしたりと、それなりにメリットも多い夜勤。こちらのコラムを参考に自分なりの乗り切り方を見つけて、ぜひ前向きに取り組んでみてくださいね。
夜勤前の過ごし方(2交替制の場合)
多くの入居型介護施設では、日勤と夜勤の2交替制が取り入れられています。その場合、夜勤は夕方4時~5時から始まり、終わるのは翌朝9時前後。途中で休憩・仮眠時間があるとはいえ16時間以上の長時間勤務となるため、長い1日に備えて体を休めておくことが重要です。
介護職の先輩たちがよく取り入れている方法は、夜勤に入る前日から意図的に睡眠のサイクルを後ろ倒しにしておくこと。前日の夜は予定を入れるなどして少し夜更かしをし、夜勤当日の朝は昼近くまでしっかり寝ておきます。すると夜勤当日は深夜まで眠くなりにくいというもの。
夜勤当日の午前中に用事などがあって寝ていられない場合は、夜勤の前に仮眠を取る方法がおすすめです。昼食後の午後1~3時くらいを目安に、睡眠サイクルのちょうど1回分である90分程度の昼寝をしておくと良いでしょう。90分という時間がとれなければ、15分~30程度でもかまいません。少し寝ておくだけでも夜勤時の眠気軽減に役立ちます。
いずれの場合も、眠るときは部屋を暗く静かにしてリラックスできる環境にしておくこと。必要に応じてアイマスクや耳栓なども活用してみてください。連続して働き続けなくてはならない夜勤前は、質の良い睡眠で疲れをとり、体調を整えておくことが欠かせません。
おなかがいっぱいの状態で寝たり、テレビを付けたままや、眠る直前までスマホを見ていたりすると、睡眠の質が下がります。軽いストレッチをしたり好きな香りをかぐなど、自分なりのリラックス方法を見つけ、仮眠前のルーティンにしていきましょう。
夜勤前の過ごし方(3交替制の場合)
介護施設によっては、日勤と準夜勤、深夜勤の3交替制を採用している場合もあります。1回あたりの勤務は8時間で負担が抑えられますが、その分夜勤の回数が増えるというデメリットもあるため、比較的スタッフ数の多い施設で採用されている勤務形態です。
準夜勤は夕方4時~深夜0時頃を中心とした勤務。眠れそうなら出勤前に15~30分程度の仮眠をとってもよいでしょう。
深夜勤は深夜0時~翌朝8時頃が勤務の中心です。この場合は夕方早めに夕食を済ませ、仮眠をとってから勤務に入るようにしましょう。そんなに早い時間に急には眠れないかもしれませんが、湯船に浸かって体温を上げてから部屋を暗くして布団に入ることで、比較的眠りに入りやすくなります。もし眠れなければ、目を閉じて体を横にしておくだけでも大丈夫。
眠る時間は90分または3時間程度など、90分の睡眠サイクルに合わせると、目が覚めやすくおすすめです。出勤する1時間前には目覚ましをセットしておき、起きたらしっかりと部屋を明るくして出勤準備を。体を覚醒させるために何か用事をして体を動かしたり、食事をとるのも良いでしょう。
夜勤中に眠くなったとき
深夜は普段なら寝ている時間帯。そのため当然、強い眠気が襲ってくることもあります。とくに夜勤の後半、午前3時~5時頃は疲れもあり、眠気が強くなる傾向が。どうしても眠いときには下記に紹介する対策を試してみてください。
- 体を動かす
- 同僚と会話をする
- コーヒーやチョコレートなどでカフェインを適量とる
- 堅いおせんべいやガムなどを噛む
- 清涼感のある目薬をさす
- 歯磨きをする
- 1枚服を脱ぐなどして体温を下げる
これらを参考に、自分に合った眠気覚まし方法を探してみましょう。ただし、カフェインは摂り過ぎに注意を。エナジードリンクなどはカフェインを多く含む場合があります。コーヒーや眠気覚ましガムなどにも入っていますので、組み合わせると過剰摂取になりやすいのです。
カフェインを取り過ぎると、めまいや動悸、不安や吐き気などの健康被害が出ることがあります。また、夜勤明けの眠りたいときにまで影響が出てしまい、眠れないことも。
コーヒーは1日3~4杯まで、エナジードリンクは1本程度を目安にし、複数種類を組み合わせるときは過剰摂取にならないように十分注意をしてください。
夜勤の休憩ではできるだけ仮眠を
休憩時間にできるだけ仮眠をとることも、夜勤の負担をやわらげるポイントのひとつです。2020年の介護施設夜勤実態調査※では、休憩・仮眠時間の平均は2交替制で2時間28分、3交替制で1時間7分。「短時間寝ても逆に疲れるだけだから」と寝ない人もいますが、疲労軽減のためにはたとえ10分でも寝ておいた方がベターです。少し寝るだけでも眠気がさめ、その後仕事に集中できるようになります。
環境が変わると眠れない人は、マイ枕、マイブランケット、マイアイマスクなど、使い慣れたものを用意するだけでもずいぶん違うもの。眠れなくても目を閉じて横になり、体を休めておきましょう。
※2020年介護施設夜勤実態調査結果(日本医療労働組合連合会)
夜勤明けの過ごし方
夜勤明けの朝は長時間勤務からの開放感も手伝い、ついあちこち寄り道したくなるかもしれません。しかし体力はすでに限界のはず。できるだけ早く帰って体を休めるようにしましょう。
眠る前にしっかり食事をとってしまうと眠りの質が下がるので、おなかが空いているときに限り消化の良いものを軽くとる程度にとどめましょう。カーテンを閉め、静かな環境で3時間程度の仮眠をとります。
午後遅くまで寝てしまうと今度は夜に眠れなくなってしまいますが、疲れているとつい長く眠ってしまいがち。3時間後に目覚ましをセットし、「起きたらこれを食べよう」「起きたらあのドラマの続きを見よう」など、自分にご褒美を用意しておくといいですよ。
目が覚めたら普通に活動し、夜はいつもより少し早めの時間に就寝。翌日は朝いつもの時間に起きて、生活リズムを元に戻すようにします。休みだからと昼までだらだら眠ってしまうと、あっというまに昼夜逆転の生活になり疲労が蓄積してしまいます。眠気が残っている場合は、昼間に15~30分程度の短い仮眠をとるなどして調整しましょう。
仮眠を活用して夜勤と上手に付き合おう
夜勤ではどうしても普段と違う生活リズムになるため、仮眠などの前準備でできるだけ影響を小さくしていくことが大切。こうした調整なしに気合いだけで乗り切ろうとすると、生活リズムが大きく乱れてしまい、疲労がどんどんたまっていく悪循環におちいってしまいます。
入居者様は夜になると、急に寂しくなったり心細くなったりしがち。でもそんなときにそばで慣れたスタッフが支えてくれることは、大きな安心感につながっているはずです。夜勤と上手に付き合っていくために、ぜひ自分に合った乗り切り方を探してみてくださいね。