「メタばあちゃん」が話題!高齢者×メタバースは介護に大きな可能性

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スマホで動画配信をするシニア

かわいい女の子のキャラクターがおばあちゃんの声で話すギャップ・・・最近多くのメディアに取り上げられ、話題となっている「メタばあちゃん」をご存じでしょうか。ユニークなおばあちゃんたちがVTuber(アバターを使った動画配信者)として活躍するアイドルグループです。

「メタばあちゃん」の名前の由来は、「メタバース(仮想空間)」×「おばあちゃん」のダジャレから。メタバースなんて高齢者とは縁がないと思いがちですが、アバターで自由に自分の見た目を変えられたり、遠隔地でもそばに居るような感覚で話せたりと、意外に高齢者との相性の良い分野なんです。

今回はこのほかにも、高齢者×メタバースの可能性を活かすさまざまな試みについてお伝えしていきます。高齢者にずっと元気でいて欲しい人は、ぜひチェックしてみてくださいね。

注目を集める「メタばあちゃん」

動画配信をするシニア

お孫さんからの依頼を受け、VTuberとして2022年12月にデビューしたひろこ(85歳)さん。見た目はピンクの髪に女子高生姿でかわいさ満点なのですが、声は素のままのおばあちゃん口調です(笑)。そのギャップと飾らない人柄が大いにウケて、現在チャンネル登録者数は5万人超。

新メンバーも次々に迎え、若い世代からの悩み相談に乗ったり、メンバーと一緒にライブ配信をしたりと、マイペースに活動を楽しまれている最中です。

メタばあちゃんの活動は、「高齢者がこんなことをしたら面白いだろう」という考え方で企画を決めるのではなく、本人達の魅力を活かせるようなものを考えているそう。動画の時間も2~3分と短めにして、疲れや体調にも配慮されています。

人生経験を積んだおばあちゃん達が新しいことに挑戦している姿に、たくさんの人が元気や勇気をもらっています。

参考:メタばあちゃん
参考:Real Sound インタビュー記事「85歳の後期高齢者VTuber・ひろこと孫が語る動画制作の裏側 「ウルトラマンより活動時間が短い」」

いっぽうメタばあちゃんの活動に刺激を受けて、もう1人VTuberを始めた人が。それが93歳の「たんたん」さんです。

こちらもアバターはかわいいセーラー服姿の女の子。おいしいものを食べるのが大好きという元気なおばあちゃんと、優しいお孫さんとのやりとりにほっこりさせられる人が続出しています。こちらもチャンネル登録者数は5万人を越える人気ぶりですよ。

参考:【新人Vtuber】Vtu婆のたんたん92歳です。はじめまして(自己紹介動画)

高齢者とメタバースは相性抜群!

VR機器を使用して楽しむ入居者と介護職員

高齢になって膝や腰に痛みが出たりすると、長時間の移動はつらくなってきます。とくに要介護であれば、すこし移動するだけでも車いすや要介護タクシーなど特別なものが必要になったり、飛行機や新幹線は不安で乗れなかったり・・・。

しかしメタバースであれば実際に移動することがないためそうした制約が一切なく、行きたいところへ行き、たくさんの人と話すことができます。

またアバターで外見を好きなように変えられる点も魅力です。若いイケメンや美少女のアバターを使い、最先端のメイクやファッションを楽しむことも自由。お気に入りのアバターを操作すれば、自然に気持ちも明るく若返るのではないでしょうか。

高齢者もメタバースを体験できる?

スマホで動画を視聴するシニア

高齢者に「メタバース、面白いのでやってみませんか?」と誘ってみても、なかなかイメージが湧きづらく、断られてしまいそうですよね。

また前述のひろこさんやたんたんさんのように、知識のあるご家族がサポートできるならともかく、そうでなければいきなりアバターを作ってメタバースで遊ぶのは難易度が高いかもしれません。

高齢者に手軽に仮想現実の世界を体験してもらうなら、世界の名所を飛び回れるVR旅行アプリ「Google Earth VR」はいかがでしょう。「Google Earth」なら見たことがある人は多いと思いますが、あの世界に入り込み、地上を探索したり上空を自由に飛び回ることができます。

メタバースとはちょっと違いますが、実際にその場所にいるかのような没入感が味わえるのは同じ。「もう一度行きたい思い出の旅行先」「人生で一度は行ってみたかった憧れの場所」、そんな場所にVRゴーグルを着けるだけで一瞬で行くことができます。

パソコンとVRゴーグルさえ用意すればアプリは無料ですので、比較的ハードル低く体験することが可能。旅行が好きな方であればきっと目を輝かせてもらえるのではないでしょうか。

新しくてワクワクする体験は脳のよい刺激になるため、認知症予防にも効果が期待できます。介護施設であればレクリエーションに取り入れてみるのも面白そうですね。

参考:Google Earth VR

アバター技術の介護への活用例

VR機器で楽しむ高齢者

コロナ禍で家族との面会が制限された際、鹿児島県の特別養護老人ホームでアバターロボットを使ったコミュニケーションの試みが行われました。遠方のご家族が自宅のパソコンを通じて、施設にあるアバターロボットを操作します。

ディスプレイにご家族の顔を映したアバターロボットは、利用者様のところまで自走していき、ご家族の顔と声で話しかけます。遠隔でもまるでその場にいるような感覚で面会することができ、大変好評だったということです。

さらにご家族だけでなく、夜間の見守り業務においてもアバターロボットが活躍。スタッフがアバターロボットを遠隔操作して訪室することで、利用者様の安心やスタッフの負担軽減につなげることができました。

参考:ピックス5 コロナ禍でも家族とのきずなを大切に~特別養護老人ホーム等におけるアバターロボットを活用した取組~(内閣府ホームページ)
参考:コミュニケーション型アバターロボットnewme

神奈川県の介護付有料老人ホームでは、顔部分のディプレイ等を通じてさまざまな感情を表現できるアバターロボット「ugo Pro」を試験導入。遠隔地にいる障がい者スタッフが操作し、見守りや誘導など介護資格がなくてもできる業務を担っています。人手不足に悩む介護現場と、働きたいのにさまざまな事情で働けない人をつなげる試みに期待が寄せられています。

参考:老人ホームで介護をお手伝い。体が不自由な方が遠隔操作するアバターロボット「ugo Pro」
ugo株式会社ホームページ

新技術が長年の夢を叶えるかも!

VR機器を利用して楽しむシニア夫婦

ライブの開催や2期生募集など、活動の幅をどんどん広げている「メタばあちゃん」プロジェクト。高齢になっても自分らしく人生を楽しみ挑戦するおばあちゃんたちの姿に、元気をもらっている人がたくさんいます。

加齢によってさまざまな制約ができてしまい「楽しみがない」と嘆いている高齢者がいたら、ぜひ「こんな人達がいるよ」「こんなことができるよ」と教えてあげてください。

今まで存在しなかったサービスや取組みが、新しいテクノロジーで次々実現している今、これらをうまく活用すれば、「もうできない」と諦めていたことや長年の夢が意外にすぐに叶ってしまうかもしれません。興味のある方はぜひ、チャレンジしてみてくださいね。

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