要介護と要支援は使えるサービスや支給限度額に違いあり。判定基準も

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要介護と要支援認定申請書

介護保険制度では、介護が必要な状態や日常生活に支援が必要な状態になると、介護サービスの利用にかかった費用の一部を保障してもらえます。その際の給付額を決めるのが、どの程度介護や支援が必要な状態なのかを判定した「要介護認定」。

区分は「要支援1」「要支援2」、「要介護1」「要介護2」「要介護3」「要介護4」「要介護5」の7種類となっており、「要支援」と「要介護」に分かれています。要支援と要介護では、給付額だけでなく使える介護サービスにも違いがあります。

さっそく下記で詳しくご説明していきますので、「違いが分からない」という方はぜひ参考になさってくださいね。

要支援・要介護とは

家事を代行する介護職員

かんたんにいうと、要支援は「基本的には一人で生活できるが、部分的に支援が必要な状態」のこと。要介護は「自分だけで日常生活を送ることが難しい状態」のことです。

要支援状態の定義

身体上・精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事など日常生活における基本的な動作が、原則6ヵ月にわたり継続して、常時介護を要する状態の軽減や悪化防止のため支援が必要だと見込まれる状態で、下記の要支援状態区分のどちらかにあてはまる状態のこと。

または身体上・精神上の障害があるために6ヵ月にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態で、下記の要支援状態区分のどちらかにあてはまる状態のこと。

  • 要支援1(要介護認定等基準時間:25~32分)
  • 要支援2(要介護認定等基準時間32~50分のうち、要支援状態にある者)

《要介護認定等基準時間とは》
「どれくらい介護サービスを行う必要があるか」を正確に判断するため、介護老人福祉施設や介護療養型医療施設などの施設に入所・入院している3,500人の高齢者について、どのような介護サービスがどれくらいの時間行われたかを調べた「1分間タイムスタディ・データ」をもとに、コンピュータによって推計される時間。介護の必要性を量る際のひとつの目安とされる。

要介護状態の定義

身体上・精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事など日常生活における基本的な動作が、原則6ヵ月にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態のことで、下記の要介護状態区分のどれかにあてはまる状態のこと。

  • 要介護1(要介護認定等基準時間:32~50分のうち要介護状態にある者)
  • 要介護2(要介護認定等基準時間:50~70分)
  • 要介護3(要介護認定等基準時間:70~90分)
  • 要介護4(要介護認定等基準時間:90~110分)
  • 要介護5(要介護認定等基準時間:110分以上)

使える介護サービスの違い

家事を代行する介護職員

介護保険の保険給付には、「予防給付」と「介護給付」の2種類があります。予防給付は軽度者向けに提供される介護予防に適したサービスのことで、要支援1・2に認定された人が対象です。一方要介護1~5に認定された人は、介護給付の対象となります。

  • 要支援1・要支援2に認定された人・・・予防給付の対象者
  • 要介護1~要介護5に認定された人・・・介護給付の対象者

予防給付で受けられる介護サービス

【訪問型サービス】
  • 介護予防訪問入浴
  • 介護予防訪問看護
  • 介護予防訪問リハビリテーション
  • 介護予防居宅療養管理指導
【通所サービス】
  • 介護予防通所リハビリテーション
  • 認知症対応型通所介護
【短期入所サービス】
  • 介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 介護予防短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
【訪問・通い・宿泊の組み合わせ】
  • 小規模多機能型居宅介護
【居住型サービス】
  • 介護予防特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
【その他サービス】
  • 介護予防支援(介護の相談・ケアプランの作成など)
  • 介護予防福祉用具貸与
  • 特定介護予防福祉用具販売
  • 住宅改修

要支援の方は、ホームヘルパーさんが定期的に来てくれる訪問介護や、通いでケアやリハビリを受けられるデイサービスやデイケア、福祉用具貸与といった介護サービスを利用しながら、自宅での暮らしを続けている方がほとんどです※1

※1:第1表介護予防サービス受給者数,要支援状態区分・サービス種類別(平成24年審査分)より

介護給付で受けられる介護サービス

【訪問型サービス】
  • 訪問介護(ホームヘルプ)
  • 訪問入浴
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 居宅療養管理指導
【通所サービス】
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション
  • 地域密着型通所介護
  • 療養通所介護
  • 認知症対応型通所介護
【短期入所サービス】
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
【訪問・通い・宿泊の組み合わせ】
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
【居住型サービス】
  • 介護老人保健施設(特別養護老人ホーム、特養)
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護療養型医療施設
  • 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)
  • 介護医療院
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
【その他サービス】
  • 居宅介護支援(介護の相談・ケアプラン作成など)
  • 福祉用具貸与
  • 福祉用具販売
  • 住宅改修

要介護の場合、特別養護老人ホームなどの居住系の介護サービス利用も増えてくる一方、訪問介護やデイサービスを利用しながら自宅での暮らしを続ける方も多くいらっしゃいます※2

※2:第2表 介護サービス受給者数,要介護状態区分・サービス種類別(平成24年審査分)より

要介護区分別の支給限度額は?

要支援と要介護認定区分のイメージ

要介護度 支給限度額 自己負担額
(1割負担の場合)
要支援1 50,320円 5,032円
要支援2 105,310円 10,531円
要介護1 167,650円 16,765円
要介護2 197,050円 19,705円
要介護3 270,480円 27,048円
要介護4 309,380円 30,938円
要介護5 362,170円 36,217円

※地域区分による上乗せのない1単位10円の地域の場合
居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額より

要介護区分はどう決まる?

訪問しシニアと会話する介護職員

さて上で7つの介護区分を紹介しましたが、これらはいつどのようにして決定するのでしょうか。要介護認定、要支援認定の詳しい流れを見ていきましょう。

  1. 要介護認定の申請
    介護保険被保険者証を持参し、住んでいる市区町村の窓口で申請を行います。
  2. 認定調査・主治医意見書
    市区町村の調査員が自宅や施設を訪問し、本人や家族から聞き取りなどを行って、どの程度介護が必要なのかを調査します。また市区町村からの依頼を受け、主治医が心身の状態について意見書を作成します。主治医がいない場合は市区町村の指定医の診察を受けます。
  3. コンピュータによる一次判定
    調査結果と主治医意見書の一部の項目がコンピュータに入力され、前述の「1分間タイムスタディ・データ」から、最も状況が近い高齢者のデータを探し出して要介護認定等基準時間を推計することで、一次判定が行われます。
    二次判定
    一次判定の結果や主治医意見書に基づく介護認定審査会によって、二次判定が行われます。介護認定審査会には標準5人以上の医師や看護師、介護福祉士やケアマネジャーなど医療や福祉に関する学識経験者が在籍しており、メンバーで話し合って決定します。
  4. 認定
    二次判定の結果に基づいて市区町村が要介護認定を行い、申請者に結果が通知されます。

要介護区分は病気の重さを表すわけではない

シニアと買い物をする介護職員

「要介護」か「要支援」かは、介護の必要性の程度に応じて決まるため、必ずしも病気の重さは一致しません。たとえば認知症の初期~中期で周辺症状が明確に出ており身体は比較的元気な方の場合、常に見守りの手間がかかるため要介護区分は高めになる可能性があります。

しかしさらに認知症が進行して寝たきりの状態になると、病気としては進行していますが介護の手間としては大きく増えるわけではないので、要介護区分はそれほど高くならない可能性も。知識として持っておくと、いざというとき驚かずにすみますね。

調査前には事前準備を怠りなく

要支援1・2、要介護1~5の判定は、調査員の訪問調査や主治医の意見書をもとに、どんな介護がどのくらい必要かを推計した「要介護認定等基準時間」や、「介護認定審査会」で話し合った結果を考慮して決定されます。

認定のための訪問調査の時間は30分~1時間程度と、あまり長くありません。実際の介護状況を正しく反映した介護区分判定を受けるには、短時間で効率良く、詳しい状況を伝える必要があります。

本人の普段の様子をありのままに伝えるため、調査では普段の様子をよく知る人物に同席してもらったり、「認知症による具体的な困った行動」「どんなときにどんな介助をしているか」「これだけは伝えたいこと」などをメモしておく等、しっかり準備をしておきましょう。

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