音楽療法士のお仕事解説。給料や適性、将来性もチェック!

資格・スキル

音楽療法士になるには(ピアノ)
音楽が好き、人が好き。その情熱を活かせる仕事のひとつに、「音楽療法士」という資格があります。

音楽療法士とは、音楽の力を利用して、心身に障害を持っている人のリハビリを手伝うお仕事。介護業界では、とくに認知症の人に一定の効果があるとして注目されている資格です。

このコラムでは、音楽療法士の仕事内容、資格の取り方、将来性や給料のことなどをお伝えします。音楽と人に関わることを一生の仕事にしたいと考えている人は、ぜひチェックしてみてくださいね。

音楽療法士ってどんなお仕事?

音楽療法とは、歌を歌ったりリズムにのって体を動かしたり、かんたんな楽器を自分で演奏するなど、音楽にふれることで脳を活性化させ、心身を整えていくリハビリテーション法のこと。現場でおこなう音楽療法は「セッション」と呼ばれます。

高齢者のセッションでは、療法士はピアノなどを使って童謡や歌謡曲の伴奏をしながら、利用者の様子を観察することがあります。そのため、まずある程度ピアノを弾きこなせることが必要です。

また、音楽療法は利用者一人ひとりの個性や障害の程度にあわせて、医師や看護師、介護士やリハビリ担当者など、多くの関係者と協力しあってすすめていきます。

音楽に関心を示さない利用者と、根気強いコミュニケーションが必要な場合もあるので、人とスムーズに関わりあう能力は必須。

求められるスキルは幅広いですが、音楽にふれて表情が明るくなったり、体が動くようになったりしていく様子を間近に見ることで、大きなやりがいを感じることができます。

音楽療法士が働くのはどんなところ?

音楽療法士が活躍できる場所は、高齢者施設、障害者福祉施設、社会福祉施設、病院や企業など。

近年は体のケアだけでなく心のケアも重要視されるようになり、音楽療法を取り入れる医療・福祉・教育の現場が増えています。

音楽療法士になるには?資格の取得方法

音楽療法士の資格を取るには
音楽療法士は国家資格ではなく、民間の資格。いくつかあるなかでも「日本音楽療法学会」が認定する音楽療法士の資格がメジャーです。

資格取得のコースは教育機関で学ぶコースと、受験して資格を勝ち取るコースの2つ。それぞれについて下記で詳しく説明します。

【学ぶコース】

学会が認定する大学、短大、専門学校などの教育機関で音楽療法について学び、所定のカリキュラムを修了。その後、試験を受けて合格を目指すコースです。

試験は2段階。まず筆記試験に合格すると、「学会認定 音楽療法士(補)」という資格が得られます。この資格が、最終試験の受験資格。

面接試験とレポート提出からなる最終試験に合格すると、晴れて「学会認定 音楽療法士」の資格が取得できます。

興味がある方は、お近くの認定校をチェックしてみてください。

>日本音楽療法学会 認定校一覧

【受験コース】

受験コースといっても、試験だけ受かれば合格という簡単なものではありません。学ぶコースと同様に、やはり幅広い分野の知識をじっくり学ぶ姿勢が求められます。

講習会を受けるために必要な条件

まず介護や医療などの現場で3年以上の経験があること、そして音楽を使用した現場経験(音楽を使ったレクリエーション指導など)がさらに2年以上あることが必要になります。ない場合は、筆記試験の受験申込までに経験しておかなくてはなりません。

学歴としては、専門学校(2年以上)以上を卒業していること(学科・専攻は問わない)。そして、日本音楽療法学会の正会員になることが必要です。

これらの条件をすべて満たしてはじめて、必修講習会を受けることができます。

必修項目

ピアノ実技や音楽理論などの音楽試験に合格したら、いよいよ講習会の受講がスタート。音楽療法の理論と技法、演習など全90コマの講習を約2年半かけてじっくり学びます。さらに音楽療法に関連する医学、心理学、福祉、教育科目のうち18単位を通信教育などで取得。

そのほか一定回数以上の学会参加や研究発表、講習会参加なども課せられています。

すべての必修項目を修了すると、やっと筆記試験の受験資格が得られます。

試験と審査

試験の仕組みは前述の「学ぶコース」と同じ。筆記試験に合格して「学会認定 音楽療法士(補)」を取得したのち、最終試験にチャレンジして合格すれば、晴れて「学会認定 音楽療法士」です。

どちらのコースもハードルの高いものですが、そのぶん勉強のなかで得るものは多く、手軽に取得できる類似の資格に比べて、実践でしっかり役に立つことが期待できます。

音楽療法士の将来性は?

音楽療法士の将来性は?
音楽療法はまだ新しい分野ということもあり、国家資格化はされていません。介護の求人欄でも「音楽療法士」の求人はほとんどないというのが実情。しかし実際には、介護や福祉の現場で年々ニーズは高まっています。

とくに介護の分野で期待が寄せられているのは、認知症のリハビリへの効果。音楽療法が脳の血流を増やし、心に安らぎをもたらすことで、認知症の悪化を防止する効果が確認されています。徘徊や暴言、妄想などの周辺症状(BPSD)の改善に役立てる試みも進行中です。

認知症対応型の高齢者施設やグループホームなどでは、とくに実践的に役立つ資格。今後音楽療法がメジャーになっていくにしたがい、ニーズも増えて知名度や地位が向上していくことが予想されます。

音楽療法士の給料はどのくらい?

音楽療法がまだそれほど広く知られていない現状では、介護や福祉関係の仕事をしつつ、音楽療法士としてのスキルを活かしていく、という形が多くなりそうです。

その場合、音楽療法士の資格を持っていることで資格手当がついたり、他の職員より待遇が良くなったりするケースは多くありません。働く先として介護業界を考えているなら、一般的な介護職の給料と同じくらいを目安に考えておきましょう。

ただ、介護系の資格にあわせてこの資格も持てば、実践で強力な強みになることは間違いありません。レクリエーションで困っている介護施設は多いので、転職にも有利。ぜひアピールしてくださいね。

>介護職の給料はどれくらい?地域別、職種別などでチェック

音楽が、心と体を元気にする

高齢者と一緒にカラオケを楽しむ
ただ大声で好きな歌を歌うだけで、なんだか気持ちがすっきりして、前向きな気持ちになれたことはありませんか?

高齢者にとっても、歌や音楽にふれることはいいことずくめ。

まず肺活量がアップし、喉の筋肉を動かすトレーニングになるので、言葉を発する力や飲み込む力が改善されて、誤嚥や誤嚥性肺炎の防止に。

また、メロディーや歌詞が「記憶の扉を開けるカギ」になり、懐かしい幸せな記憶を思い出すこともあります。みんなでワイワイと盛り上がれば、施設内に明るい笑顔も増えそうです。

美しい音楽は人の心を癒すパワーを持っているもの。音楽療法は、誰もが音楽の良さを味わいながら、楽しんで取り組むことができるリハビリテーション法です。

簡単な仕事ではなく、資格取得のハードルも高いですが、そのスキルによって人が変わっていく様子を見る感動は、きっと想像以上。音楽が好きで、人と関わることが大好きなあなたに、ぜひ挑戦してほしいお仕事です。

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