機能訓練指導員は8資格のどれかでOK。将来性や給料は?

資格・スキル

歩行器で歩く高齢者に、寄り添う介護士
介護職の求人で「機能訓練指導員」という職種を見かけたことはありませんか?

機能訓練指導員は、最後まで自立して暮らしたいという高齢者の願いを支える、リハビリのプロともいえる存在。利用者一人ひとりの障害の状態にあわせて、歩行訓練や筋トレなどの機能訓練を行うお仕事です。

特別養護老人ホームやデイサービスなどの介護施設には、必ず一人以上配置しなければならないのですが、この職種に就くためには特定の資格が必要なので、介護業界ではとくにニーズが高くなっているのです。

このコラムでは、機能訓練指導員になるための資格の説明と、仕事内容や給料の相場、将来性まで解説していきます。該当資格を持っている人も、持っていない人も、仕事に魅力を感じたらぜひ目指してみませんか?

機能訓練指導員とは

デイサービスや特別養護老人ホームなどの介護施設で、必ず一人以上の配置が義務づけられている、介護施設には欠かせない職種です。

「機能訓練指導員」という資格があるわけではなく、下記で紹介する特定の国家資格を持っていれば、新たに試験などを受けなくてもなることができます(※鍼灸師のみ要件があります)。

介護施設や病院などで機能訓練指導員が担当しているのは、おもに歩行訓練や筋トレ、マッサージなどの機能訓練指導。病気やケガなどで残った障害を、専門知識と技術を使って回復させたり、これ以上の悪化を防いでいくお仕事です。

機能訓練指導員になれる8つの資格とは

機能訓練指導員になれる8つの資格はこれ!
機能訓練指導員として働くためには、次の8つの国家資格のうち、どれかを持っていることが必要です。

資格名 資格の特徴
理学療法士 運動療法などを使って、身体の機能回復をサポートする
作業療法士 日常動作から趣味活動まで、さまざまな作業を通じて心と体のリハビリを行う
言語聴覚士 言語能力や聴覚能力、食べる力などを回復させるリハビリを行う
柔道整復師 手術などをせず、骨と筋肉を整えることで痛みを緩和し回復に向かわせる
あん摩マッサージ指圧師 東洋医学に基づき、手技で体のコリや痛みを和らげる
鍼灸師(※) 鍼やお灸を用いて自然治癒力を高め、症状の改善を目指す
看護師、准看護師 科学的な知識と技術に基づき、病人を看護する


※2018年から従事可能資格に新たに加わった「鍼灸師」だけは、下記の要件を満たすことが必要です。
要件:はり師・きゅう師以外の機能訓練指導員がいる施設・事業所に6ヵ月以上勤め、機能訓練指導に従事した経験を持つこと

これらの資格はどれも簡単に取れるものではなく、持っている人も多くはありません。ですから、就職活動をする側にとって常に売り手市場が続いています。

また、最近では機能訓練(リハビリ)特化型デイサービスといって、とくに機能訓練に力を入れている施設も増えています。
高齢化が進むなか、今後もこうした傾向は続くとみられるので、機能訓練指導員はとても将来性の高い職種だということができます。

機能訓練指導員のお給料はどのくらい?

介護施設で働く場合、資格手当てが加算されるので、一般的な介護職よりも給料は高くなります。

平成25年の厚生労働省の調べ(※)によると、月の平均給与額では350,640円(常勤の場合)、平均時給では1,720円(非常勤の場合)となっています。

また、持っている資格によっても多少給料の額に幅があり、看護師や理学療法士だとやや高め、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師はやや低めの傾向があります。

同じ調査では、一般的な介護職員の場合の平均給与額は276,940円、平均時給は1,090円となっているので、比較すれば月給では7万円以上も多くなっています。給料の面で大きなメリットがあることがわかりますね。

※厚生労働省「平成25年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」より

機能訓練指導員のくわしい仕事内容や適性、やりがいは?

リハビリを見守る機能訓練指導員
介護施設で働く機能訓練指導員は、いわばリハビリの専門家。国家資格保持者としての知識と技術をいかして、バリバリ活躍することが期待されています。

主なお仕事は歩行訓練や身体マッサージ、筋力トレーニングなど、利用者の症状に合った回復訓練を行うこと。体操や趣味活動など、日々のレクリエーションも専門家の視点からサポートします。

もちろんこれらは単独で進めるのではなく、他のスタッフに対してもアドバイスや指導を行って、チームワークで利用者の機能回復がスムーズに進むようにします。周囲のスタッフとしっかりコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことは欠かせません。

その他にも、利用者をよく観察して心身の機能を評価したり、一人ひとりに合わせた計画書の作成や福祉用具の選定、体力測定といった仕事もあります。利用者の小さな変化に気付ける観察力は必要です。

大変なお仕事ですが、「今まで動かせなかった関節が動いた」「要介護度が改善した」「痛みがやわらいで、笑顔が増えた」など、チームワークで成果を得られた時の達成感はひとしお。一度体験したらやみつきになってしまう人も多い職種です。

機能訓練指導員になるためのモデルコースは

いくら介護士として経験を積んでも、上記の7つの資格のうち、どれかを持っていなければ機能訓練指導員にはなれません。

どの資格も取得にはだいたい3年程度(夜間学校なら4年程度)、専門学校などに通う必要が出てきます。かなりハードルは高く大変ですが、その分やりがいや、給料面でのメリットも大きくなっています。

もしもあなたが介護職として働くなかで、「もっとリハビリに関する専門知識を身につけたい」「利用者の障害を取り除く手助けがしたい」という思いが高まっているのなら、8つの国家資格のうちから一つ選んで、取得のためにがんばってみるのもよいのではないでしょうか。

その他のコースとしては、看護師やマッサージ師など、他の業界からの転職も多くなっています。結婚前は看護師としてバリバリ働いていたけれど、結婚して子供ができて、働き方を変えたくなった・・・そんな場合にも、介護業界へ転職して機能訓練指導員として活躍するケースが多いのです。

基本的に機能訓練指導員は、夜勤や残業が少ない職種。長時間働けない人が都合の良い時間帯に、パートで働くこともじゅうぶん可能です。結婚や出産、親の介護など、ライフステージがさまざまに変化しても、強力な武器としてずっとあなたの働く意欲を支えてくれます。

一時のがんばりが一生の武器になる

頑張ろう!と考えている女性介護士
介護職から機能訓練指導員を目指すには、高いハードルを越える志が必要です。しかし高齢化が進む日本では、これからますますニーズが高まっていくことは明らか。病気やケガの後遺症で体を動かすことを諦めてしまった人が、あなたのケアでもう一度笑顔を取り戻せたなら、そのやりがいはきっとこの上ないものになるでしょう。

また、8つの国家資格は介護業界以外でも通用するものなので、いったん取得しておけば、医療やリラクゼーションなど、他の業界にチャレンジする道も開けてきます。「ライフスタイルの変化に合わせて働き方を変えたい」と思ったときにも対応しやすく、さまざまな場所で幅広く経験が積めることも魅力的。

専門学校へ通う数年は、長い人生で見ればわずかな期間です。そう思えば人生の一時期、夢に向かってがむしゃらにがんばってみる、というのもアリかもしれませんよ!

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