第36回介護福祉士試験国家試験のポイントは?2024年度午後試験の概要解説!

資格・スキル

今回の国家試験を受験された皆様、お疲れ様でした。受験を終えての手応えはいかがだったでしょうか。前回に引き続き、第36回介護福祉士国家試験の試験概要とポイントや傾向など午後科目の内容をメインに紹介していきたいと思います。今回受験された方へは振り返りとして、今後受験を予定している方へは、参考になれば幸いです。

⑨介護の基本 出題数10問 難易度「易しい」

科目全体を通して、基本的な内容を問う問題が多く、比較的解き易かったと感じる方も多いのではないでしょうか。介護の基本はどの科目にも関連するまさに介護の基本となる科目であるため、すべての科目と連動させながら勉強出来ていると効率良く得点が出来る科目になります。

しかし、中には難しい問題も出題されました。問題71は、洪水/内水氾濫に関するマークの出題でした。マークが何か指すものかを問うわけでなく、マークに関連した警報のレベル3が発令された場合にとるべき行動について問われる問題でした。マークの意味と警戒レベル、その際の行動についての理解が出来ていないと正答できない問題であり、難易度が高いと感じる人も多かったのではないでしょうか。このように、BCP(事業継続計画)の作成も含め、昨今の自然災害時の介護福祉職の役割や重要性について問う問題が全科目を通して、増えてきているように感じます。こういった問題の出題頻度は今後も増えることが予想されます。

⑩コミュニケーション技術 出題数6問 難易度「易しい」

全体を通して短文事例が多く、具体的な場面でのコミュニケーション方法に関する出題が多くありました。障害特性に応じたコミュニケーション技法を理解していると正答しやすい問題が多く、難易度としては比較的易しいのではないしょうか。特徴的だったのは問題74で、感染症対策中にマスクを着用した状態で軽度の難聴のある方へのコミュニケーション時の対応に関する問題になります。障害特性に応じたコミュニケーション技術に加え、感染症対策の知識も問う問題でした。コロナ禍により、介護福祉職のコミュニケーション技術も変化を余儀なくされているため、新しい生活様式でのコミュニケーション方法についての理解の必要性を感じさせる問題になります。

⑪生活支援技術 出題26問 難易度「普通」

出題数に変化はなかったものの、昨年の試験より出題基準が一部変更になり、生活支援技術の大項目に「福祉用具の意義と活用」が追加されています。この科目だけで全体の1/5に相当する26問あり、内容としても、普段の介護実践が文章化されていることから得点源になりやすい科目だったのではないでしょうか。11項目ある出題範囲から満遍なく出題されている印象です。問題94は、簡単そうに見えて、正答に迷う問題であったように感じます。オムツを使用しており、尿路感染症を繰り返している利用者に対する介護老人福祉施設の介護福祉職の対応に関する出題であり、選択肢として「1、尿の形状を観察する。」「2、体温の変化を観察する。」「3、陰部洗浄の回数を検討する。」「4、オムツを使用しないで、トイレに誘導する。」「5、膀胱留置カテーテルの使用を提案する。」でした。一見すると選択肢5以外は、適切な内容であるため、どれも正当になりそうです。しかし問題文としては、「最も適切なものを選べ」となっているため、適切なものの中から特に適切と思われるものを選ぶ必要があります。この問題においては、4が最も適切です。このように適切な選択肢が複数ある中から特に適切であるものを選ぶ作業が必要となるため、問題文末が「最も適切なものを選べ」となっている問題に関しては、特に意識して問題を解く必要があり、すべての回答を終えた後の見直しの際にも意識してほしいポイントです。また、生活支援技術は、障害の理解、認知症の理解、こころとからだのしくみ等の内容と重なることが多く、上記の科目の勉強の際も「生活支援に活かす」という視点を持って勉強していると、どの科目に対しても正答率が上がっていくと思われます。

⑫介護過程 出題数 8問 難易度「易しい」

短文事例に対しての問題が5問と、全体の半分以上を占めています。問題の難易度としては介護過程に関する基本的な機能や効果などを理解していることで正答できる問題が多かったため、比較的易しかったと感じます。介護過程については、アセスメント、計画の立案、実施、評価という一連のプロセスと、各場面における注意点などを把握しておくことが重要となります。短文事例において、不正解になりやすい回答としては利用者の意思等ではなく、家族やケアマネ、他職種の意見が優先されるような選択肢は正答になりにくいです。事例問題を解く際は、特に利用者のニーズが何かを把握し、利用者本位の視点に立つことが最も重要であり、正答への近道になるでしょう。

⑬総合問題 出題数12問 難易度「やや難しい」

総合問題はすべての科目の知識・技術を複合的に問う問題であり、それぞれの科目の知識の実践的理解が問われます。1事例に対して、3問連続で解く形式であり、事例が4事例出題され、計12問となっています。例年、総合問題はすべての科目の知識が横断的に必要となるため、難しいと感じる受験生が多い様ですが、今回も難易度としてはやや難しかったと思われます。特に難しいと感じるのは疾病の理解と、特性に応じた生活支援技術、ご利用者の使用できるサービス等の種類などの出題です。解く際のポイントとしては、まず事例の対象者の方の年齢を把握することです。年齢を把握し、児童福祉法か障害者総合支援法か、介護保険法等、どのような制度に該当するかを判断する必要があります。また事例を読む際は、疾病や年齢、利用者のニーズなどにアンダーラインを引くなど事例を通してその利用者の支援方法や支援時の注意点などを考察することで正答に近づけるでしょう。

総括

午後の科目は全体を通して、難易度は「易しい」から「普通」であり、正答に繋がり易い内容であったため、得点しやすかったと思われます。午前の科目も合わせて考察しても難易度としては例年通りであったと思われます。必然的に合格率も昨年の基準に近い内容となってくるのではないでしょうか。今回の試験においては、科目に限定されることなく災害対策や感染症対策に関連する出題が多かったように感じます。来年度以降も、この流れは続くと思われるため、頻出内容について理解を深めることが合格のカギになるでしょう。最後になりますが、改めて受験された皆様、本当にお疲れさまでした。合格発表の3月下旬までドキドキかと思います。受験勉強として介護福祉士の勉強をされている方も多いかと思いますが、皆様が受験勉強として学んだそれぞれの科目の知識は、利用者支援に活きることばかりです。介護は日々進化していますので、受験後もぜひ学びの機会を大切にして頂けると幸いです。

 

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