第36回介護福祉士試験国家試験のポイントは?2024年度午前試験の概要解説!

資格・スキル

今回の国家試験を受験された皆様、お疲れ様でした。受験を終えての手応えはいかがだったでしょうか。今回は第36回介護福祉士国家試験の試験概要とポイントや傾向など午前科目の内容をメインに紹介していきたいと思います。今回受験された方へは振り返りとして、今後受験を予定している方へは、参考になれば幸いです。

①人間の尊厳と自立 出題数2問 難易度「易しい」

利用者本位、自立支援の実践的な理解が出来ていると、解きやすい問題であったのではないでしょうか。問題1では、要支援1で一人暮らしのご利用者が膝の痛みを抱え、在宅生活への不安を口にした際の介護福祉職の対応について問われる問題でした。このような問題の選択肢として、具体的な支援が列挙されていることが多く、「膝の精密検査を受ける」「要介護認定の申請を勧める」などが挙げられていましたが、具体的な支援内容よりも傾聴する姿勢が重要視されているため、「生活に対する思いを聞く」が最も適切な選択肢といえるでしょう。このように、介護福祉士にとって重要となる利用者本位の視点に立てば誤った選択肢を避けて正答に近付けるのではないでしょうか。

②人間関係とコミュニケーション 出題数4問 難易度「普通」

4問中チームマネジメントに関する問題が3問出題されており、チームの中核的な役割が期待されている介護福祉士には、チームマネジメントについても理解を深めてほしいという意図が込められているように感じました。問題5では、感染症対応と職員の精神的ケアの両面について問われる内容が出題されており、選択肢がどれも適切だととれる内容であったため、正答が割れやすい箇所であったと思われます。

③社会の理解 出題数12問 難易度「やや難しい」

元々、苦手と感じている受験生が多い科目であると思います。例年の介護保険法や障害者総合支援以外にも、災害対策や感染症対策等に関連した法律をからめた問題が出題されており、介護保険法等とその他の派生する法律も横断的に理解していないと正答しにくい問題が多かったように感じます。問題8では、特定非営利活動法人(NPO法人)について、問題13では「障害者差別解消法」について、問題16では「福祉避難所」について、問題17では「感染症法」について出題されており、法律や関係機関の役割等、概要の把握が必要な問題が目立ちました。介護保険法や障害者総合支援法を中心に学んだ受験生にとっては、点数が取りにくい問題が多かったように感じます。むしろ「介護の基本」に出題されるような内容が多く、科目をまたいで横断的に勉強出来ている受験生が正答に近付けたのではないかと思われます。

④こころとからだのしくみ 出題数12問 難易度「やや難しい」

問題文が簡潔になっていた分、判断に迷う問題が多かったように感じます。その一方で出題頻度の高いマズロー(Maslow,A.H.)の欲求階層説や、交感神経・副交感神経等も出題されており、過去問題を踏まえた勉強が行えていると容易に解ける問題もありました。科目全体として、生活支援につながる医学的な知識が多く、午後にある「生活支援技術」と重複する内容でありました。ただ暗記するのではなく身体のメカニズムを理解した上で、その知識を介護の根拠として把握出来ているかどうかが正答へのカギだったように感じます。

⑤発達と老化の理解 出題数8問 難易度「難しい」

短文事例以外、問題文が簡素化されており、その言葉の意味を問う問題が多くありました。問題33の「生理的老化」、問題34の「エイジズム」、問題36の「健康寿命」などがこれにあたると思います。また病名とその症状に関する問題もあり、心筋梗塞、前立腺肥大、腰部脊柱管狭窄症についても出題されていました。問題31はスキャモン(Scammom,R.E.)の発達曲線に関する出題でしたが、参考書等にはなかなか載らない内容であったため、正答を導けた受験生は少なかったのではないでしょうか。全体として、例年の傾向から見ると出題頻度の少ない問題が多かったように感じます。

⑥認知症の理解 出題数10問 難易度「普通」

全体を通して、基本的な認知症の理解により、正答できる問題が多かったように感じます。それぞれの認知症状や原因疾患の特徴を抑えておけば正答を導ける問題、特に問題39では高齢者の自動車運転免許更新の際の認知機能検査の適応年齢。問題43では若年性認知症の方への支援等の出題がありました。問題46では認知症の方へのコミュニケーション技法の一つであるバリデーションに関する出題があり、コミュニケーション技法の一つとして名前だけを理解していた方にとってはその内容を問う問題であったため、難問と感じたのではないでしょうか。また問題48では認知症の方の家族支援として、適切なサービスは何かを問う問題でした。近年の傾向として、長期入所を即座に判断することは正答になりにくく、自宅での生活が継続出来るようなサービスが正答になりやすいです。今回の場合、選択肢に介護老人福祉施設や認知症対応型生活介護等があったが、在宅生活が継続でき、なおかつ主介護者が入院する状況を加味すると短期入所生活介護が最も適切となるでしょう。

⑦障害の理解 出題数10問 難易度「やや難しい」

全体を通して、問題が簡潔であった分、正答に迷う問題が多かったように感じます。短文事例においては、設問に出てくる対象者がどのような制度を利用できるかを把握することが特に重要でした。また制度やサービスについての理解も合わせて必要とされたため、難易度としてはやや難しかったと思われます。障害者総合支援法に関する出題頻度が高いですが、障害者基本法や障害者差別解消法などの理解も合わせて必要となる問題もあり、制度と各種障害特性についてバランスよく理解しておくことで正答に繋がると思われます。

⑧医療的ケア 出題数5問 難易度「普通」

医療的ケアは他の科目に比べ、出題範囲が狭いため過去問題の理解である程度点数の取れる科目ですが、今回の試験では喀痰吸引と経管栄養に関する出題がほとんどで、急変時の対応についての出題はありませんでした。実務者研修中の医療的ケアで行われる手技等を言葉としても理解しておくことで正答となる問題が多かったように感じます。

総括

いかがでしたでしょうか。午前の科目全体を通してみると一部やや難しい問題がありましたが、例年通りの難易度と感じます。問題文が簡略化されていることにより、知っている問題は簡単に解けるが、知らない知識に関する問題では問題文から推測することが難しく、正答できない問題もあり、その差が極端だったように感じます。午前の科目では「易しい」と「難しい」の差が激しかったことで「易しい」や「普通」の難易度の問題をどれだけ取りこぼさず正答出来ているかが合格のカギになったと思われます。

 

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