ケアマネジャー廃止論を吹き飛ばそう!急がれる処遇改善

資格・スキル

女性がパンチしている様子
2020年10月、第23回目となるケアマネジャー試験が行われ、あらたに8,200人がケアマネジャーの資格を勝ち取りました。ただこの数字、前年に比べれば若干増えてはいるものの、3年前の合格者数と比べると2万人以上も減っており、落ち込みの激しさが気になります。

現場のケアマネジャー不足が心配されるなか、最近耳にするようになってきたのが「ケアマネ不要論・廃止論」。ケアマネジャーを間に介さず、現場で利用者様・利用者様家族と事業者が直接やりとりしたほうがムダがないという考え方です。

しかしケアマネジャーが本来果たすべき役割は、単に二者の間を取り持つことだけではないはずです。今回はケアマネジャー制度がかかえる現状の課題と、今後の展望について詳しくみていきましょう。

ケアマネジャー不要論・廃止論とは?

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ケアマネジャーといえば、介護される本人や家族の思いを受け止め、専門知識を活用してケアプランの作成・見直しを行う、介護サービスにおいてとても重要な役割を担う存在です。ところが以前から一部で、ケアマネジャーは不要という声が聞かれるようになっています。

その主旨は「介護サービスのマッチングや連絡調整だけなら事業者と利用者様、事業者間でできるから」「ケアマネが利用者様やご家族の要望を伝えるだけの御用聞きのようになっているから」というもの。たしかに、単なる連絡係であるなら不要論にも納得がいきます。

しかし、本来ケアマネに期待される役割はそんなに単純なものではありません。利用者様の表情や声色から、隠された本当のニーズを聞き出したり、見えないリスクに気づいて先手を打つなど、培った知識・経験がなくてはできない仕事です。定期的に膝をつき合わせ、話を聞いてもらえるプロセスがなくなってしまえば、一人ひとりの個性に合わせたきめ細かいサービスは不可能になってしまうはずです。

不要論の根拠を掘り下げていくと、ケアマネジャーの質のバラつきにたどり着きます。単なる連絡係ならば不要ですが、利用者様のニーズや背景に合わせ、さまざまな社会資源を結びつけてプランを立てることができるケアマネなら、間違いなく社会に必要な存在です。

一部のケアマネの仕事ぶりだけに目を向ければ不要論・廃止論になるかもしれませんが、全体を見渡せばケアマネの質の統一と向上、いかに安定的に質の高い人材を確保していくかの方が重要です。すでにそのための議論も始まっていますので、今ケアマネジャーを目指している人には、ぜひ安心していただきたいと思います。

ケアマネジャーはAIで代替できない

コンピューター技術の発展にともない、受付業務や秘書業務などは将来的にAI(人工知能)に取って代わられるといわれていますが、ケアマネジャーの仕事についてはどうなのでしょうか?結論から言うと、ケアマネの役割はAIでは代替できません。

AIは膨大なデータを蓄積・処理することには長けているため、利用者様にあったサービスの選択肢や事業者の空き情報を提示したり、情報の自動とりまとめといった業務での活用が期待されています。利用者様の状態から考えられるプランを数パターン提示して、ケアマネジャーがそれを参考に案を練るなどの方法で、実用化も進んでいます。AIは豊富なデータでケアマネジャーの仕事を助ける、いわば優秀な助手。

その一方でAIは、利用者様の非言語情報(表情や身振りなど)から本心をくみ取ったり、ケアプランにその人らしさを反映するなどの業務は不得意です。人の気持ちに寄り添う部分は、どうしても経験を積んだケアマネでなくてはならないのです。

ケアマネジャーのなり手減少の理由

グラフ
はじめにお伝えしたとおり、2018年以降、ケアマネジャーのなり手が大幅に減少しています。大きな要因は、同年に行われた受験資格の厳格化。

2017年までは、「無資格で介護業務に10年以上従事した」「介護職員初任者研修・ホームヘルパー2級・実務者研修等の資格を保有していて、5年以上介護業務に従事した」等の人たちも、ケアマネジャー試験を受験することができました。

ところが2018年以降は、この人たちが受験資格対象から外されることになりました。背景にはケアマネジャーの質を高めるねらいがあったのですが、結果として受験者数が激減。改正前は平均で13万人以上の人がチャレンジしていた試験が、改正後は5万人を越えることがなくなり、合格者数もそれにともなって大きく落ち込む結果となってしまいました。

受験資格を得るだけでも高いハードルを越えなくてはならないため、若い人が目指しにくくなっており、ケアマネジャーの高齢化も進んでいます。

もっと詳しく≫「ケアマネジャーの受験資格、免除される経験や改正内容

ケアマネのなり手減少、こんな要因も

ケアマネジャーを目指す人が減っているのはそのほかにも要因があります。まず、仕事量が多く多忙であるということ。在宅で介護を受ける人を支援する「居宅ケアマネ」なら一人で35人、老人ホームなどの施設に所属して働く「施設ケアマネ」なら一人で100人まで受け持てるという基準があり、ケアマネは同時に多くの人を担当しています。

そのため月末・月初など書類仕事が集中する時期には、残業が当たり前というケアマネも少なくありません。人手不足から年々業務量が増しており、ハードワークに対して報酬が見合っていないと感じている人が多くなっています。

さらに、高い能力が求められるわりに給与がそれほど高くないことも要因のひとつ。従来は現場の介護職に比べると給与が高かったために、介護福祉士からケアマネジャーを目指す人も多かったのですが、介護職員の待遇改善が進行中の今、その差が少しずつ縮まってきています。あえて高いハードルを越えてケアマネを目指す魅力が薄れてきているといえそうです。

次の制度改正で期待される処遇改善

こうして見てくると、ケアマネジャーになりたいと考える人が減っているのも当然のように思えます。なり手が減れば、それだけ人材の質も下がり、不要論・廃止論に力を与えてしまうことになるかもしれません。そこで今、ケアマネジャーの処遇改善が差し迫った課題となっています。

2020年10月には、日本介護支援専門員協会が厚生労働省に対し、ケアマネの処遇改善を訴える要望書を提出しました。そこに盛り込まれている基本報酬の引き上げ、事務負担の軽減などは、2021年4月の介護報酬改定における大きな論点となっており、どのように反映されるか注目を集めています。

さらにケアマネの業務にAIをはじめとするICTの導入も推進されており、実現されればケアマネの質の平準化、業務の効率化や負担軽減につながると考えられます。

ケアマネジャーは社会に必要不可欠

ケアマネジャーと利用者様が話している様子
高度な専門知識や経験が必要となるケアマネジャーは、事実上の国家資格ともいわれています。現状は公的資格にとどまっているものの、国家資格化を目指す構想もあります。介護職の処遇改善が進んだ一方でケアマネジャーが取りこぼされてきた側面はありますが、今後はそれも是正されていくことでしょう。

これからさらに進行していく少子高齢化社会を見据えたとき、ケアマネジャーの果たす役割と必要性がますます大きくなっていくことは明らかです。それを見越して今、業務の効率化や処遇改善を求める取組みが大きく動き出しています。ぜひ自信と希望を持って、ケアマネジャーという仕事を目指していってくださいね。

参照:第23回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について(厚生労働省ホームページ)

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