旅行介助士ってどんな資格?活躍の場やメリットとは

資格・スキル

車いす介助をしている女性
多くの人は「介護が必要になったら旅行は諦めないといけない」と思っているかもしれません。しかし要介護高齢者にとって旅行はとてもよいレクリエーションであり、リハビリをがんばる目的にもなります。

介護と旅行の専門知識を併せ持った人が、旅先でも安全・快適に過ごせるようなプランニングや介助を提供できれば、体は不自由でもきっとすてきな旅行ができるはず。そうした人材を育てるための資格が、「旅行介助士」という資格です。

「これができるようになったら、もう一度旅行を楽しみたい」「思い出の土地を訪れたい」・・・高齢者の旅への思いをかなえる旅行介助士資格。今回はこの資格の内容やメリット、どういったノウハウが身につくのか等について詳しく見ていきましょう。

旅行介助士TMとは

旅行を率いる女性
旅行介助士TMは、要介護者の旅を安全にサポートし、楽しんでもらうためのノウハウを学ぶ資格。一般社団法人日本介護旅行サポーターズ協会が認定する民間資格となっています。旅行中の介助だけではなく、旅のプランニングから事前の下調べ、移動や宿泊の手配、旅行後のサポートまでを一貫して担います。

旅行介助士TM資格で最も特徴的なのは、この資格を取得することによって「国内旅程管理主任者」という観光系の資格も同時に取得できること。「国内旅程管理主任者」は、ツアーコンダクターとして旅行会社が企画する国内ツアーや団体旅行に同行するために必須の資格で、国土交通大臣が認定する準国家資格=公的資格となっています。

通常これを取得するためには、2日程度の期間と25,000円程度の費用がかかるため、旅行介助士TMを取得することで同時取得ができるのは魅力的。ただし移乗や食事介助など、個々の介護技術についてはカリキュラムに含まれていないため、すでにある程度の介護スキルを持った人向けの資格です。

一般社団法人日本介護旅行サポーターズ協会 公式ホームページ

受験資格

旅行介助士TMのカリキュラムは、すでに介護技術を持っていることを前提として構成されています。そのため受験資格として、介護系の資格か介護の実務経験を有していることが求められます。

    旅行介助士TM受験資格
    ・介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修受講者
    ・介護福祉士、看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師などの資格者
    ・介護保険適用の事業所または障害者総合支援法適用の施設で、介護士・ヘルパーとして勤務した経験がある
    ・その他、要介護者・高齢者の介助業務に従事した経験がある

上記のうち、いずれかを満たしていれば受験が可能。今まったく介護経験のない方については、介護施設である程度の実務経験を積むか、介護の初級資格である「介護職員初任者研修」を修了してからチャレンジするのがおすすめです。

カリキュラム内容と難易度

メモを取る男女

旅行介助士TMのカリキュラムは、バス研修を含む全3日で行われます。会場によっては3日連続で行われることもありますが、基本的には2日と1日に分けて開催されます。

1日目から2日目の午前中までは、旅程管理者研修として旅行業法令や国内旅行実務を学びます。

2日目の午後からはバス添乗実務。バス内での要介護者に対するアナウンスや旅行先でのサポート方法などを、実際にバスで移動しながら学びます。大人数を少数のスタッフで見守る際のポイントや、車いすでのお土産購入の注意点など、とくに旅行時に起こる特別な場面を想定した内容となっています。

3日目は介護旅行実務として、介護旅行の企画、旅行の手配、下見のポイント、旅行者の状態把握や旅行後の業務などを学びます。

2日目と3日目のカリキュラムの最後には、それぞれ試験が含まれています。資格取得のためにはこの2つの試験に合格しなければなりませんが、不合格となった場合は当日中に再試験があります。基本的に遅刻や途中退出等さえなければ合格でき、難易度は低めといえるでしょう。

費用と修了証について

費用はテキスト代込みで55,000円(税込)(2021年10月時点)。2回の試験に合格すれば、賞状タイプの修了証を受け取ることができます。また別途費用は発生しますが、希望すればカードタイプの資格証も発行してもらうことができます。

活躍の場と報酬の目安

旅行介助士TMを取得すると、添乗員派遣会社AMUSEにも添乗員として登録されます。旅行介助のニーズがあれば、出発地となるエリアで登録している旅行介助士TMに、添乗できるかどうか打診があることになっています。

報酬の目安は、要介護2程度までで日帰りの場合18,000円、1泊2日で30,000円程(消費税別)程度。夜間同室で介助する場合や深夜早朝の稼働が必要な場合は別途手当があるなど、介助量やツアーの難易度によって価格は変動します。

そのほか活躍の場としては、自身が所属する介護施設で旅行を企画することがあった場合や、知り合いの方から依頼があった場合等となるでしょう。

介護のプロである介護職が旅行の専門的な知識を身につけることで、「旅行に行きたいけれど食事が不安」「入浴ができない」「夜間になにかあったら・・・」といった多くの声に応えることができるようになります。

※AMUSE株式会社公式ホームページ

旅行介助士TMの他のおすすめ資格

旅行介助士TMで学べる知識は旅行にまつわるものに特化しています。介護技術について詳しく学びたい場合におすすめなのは、「介護職員初任者研修」。介護についての基本知識と技術が学べて、介護業界では信頼性と評価の高い資格です。

これを取得しておくと、その後「介護福祉士実務者研修」を経て、国家資格である「介護福祉士」にチャレンジすることも可能に。介護業界で働くことを考えているなら、早めに取得しておきたい必須の資格といえます。

働きたい業界を「介護」や「旅行」にはっきり定めているわけではないなら、「サービス介助士」という資格もおすすめ。障がいのある方のサポート方法を学べて、公共交通機関をはじめ銀行やレストラン、百貨店でのお買い物時など、お客様と接するあらゆる機会で活用することができます。

厚生労働省の見通しによると、2025年には日本の人口の3割以上が65歳以上になるとのこと。あらゆる業界で介護のニーズは増加することが予想できるので、介護に関係する資格は心強い武器になるのではないでしょうか。自分のやりたいことや学びたいことに合わせて、ぜひ検討してみてくださいね。

こちらのコラムも参考に≫「サービス介助士の資格は3種類も!特徴と取得方法を解説」

大切な人に安心して旅を楽しんでもらうために

車いす介助をされる女性
非日常にふれてリフレッシュし、家族や友人と宝物のような思い出を作る・・・旅は人生を豊かに彩ってくれる大切な要素です。単調な毎日に刺激と楽しみを与えてくれる旅行は、むしろ介護が必要になった人こそ必要なのかもしれません。

一方で、事故や体調急変などのトラブルが心配なのも事実。楽しく思い出に残る介護旅行は、旅先でのスムーズな移動や宿泊、その人の状態に合わせた食事や入浴の手配など、入念な準備と特別な知識があってこそのものです。

旅行を通じて要介護高齢者のサポートをしてみたいという方、大切な人にいつまでも旅を楽しんでもらいたいと考えている方は、ぜひ取得を検討してみてくださいね。

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