介護職の夜勤、正しい内容を知って上手につきあおう

介護の仕事

介護施設の夜勤:車椅子
介護職にはつきものの勤務形態、夜勤。何となく大変そう、辛そう、というイメージが先行しますが、実際のところはどうなのでしょうか。介護職の夜勤の実態を正しく知れば、デメリットばかりでなくメリットもあることが分かります。また、夜勤の疲れを引きずらないために、知っておきたい睡眠のコツもご紹介します。

介護職の夜勤ってどんなもの?

介護施設の夜勤:徘徊する高齢者を誘導
介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、グループホーム、介護付き有料老人ホーム、小規模多機能ホームなど、要介護者が宿泊できる介護施設なら基本的に夜勤があります。ホームヘルパーでも夜間対応の事業所なら夜勤があります。

では介護職の夜勤について、全国156施設、205職場について調査した集計結果を参考に、詳しく見ていきましょう。

(以下資料出典:日本医療労働組合連合会「医療労働No.587号(2016年2月)」2015年介護施設夜勤実態調査結果より」

夜勤の形態と勤務時間の平均

夜勤の形態は、2交替夜勤制にしているところが大半で、そのうち6割以上が勤務時間16時間以上となっています。長時間勤務は大変ですが、1回の夜勤で2日分の勤務となるため、夜勤明けの1日は勤務扱い、その翌日が公休になり、休養に当てたりプライベートを充実させたりできるのはメリット。

一方、深夜勤を22時くらいから始める3交替夜勤制にしているところは1割ほどで、少数派のようです。この場合の勤務時間は8時間程度で、勤務時間は2日にまたがりますが勤務日数は1日と数えます。夜勤明けの1日が公休となるため、2交替制より休日が少なく感じられるかもしれません。

夜勤の仕事内容

主な仕事は食事(朝食、夕食)の介助や着替えの介助、排泄の介助、おむつ交換、巡回見回り、ナースコール対応など。基本的には昼間する仕事と大きな違いはありません。合間に翌日の準備や記録をつけるなどの事務仕事をこなし、夜勤明けは日勤の職員に引き継ぎを行ないます。

ただし、夜勤は職員の数が少なくなるため、体力的にも精神的にも、日勤よりも負担に感じることがあります。特に救急時の対応は誰しも不安なもの。いざというときに慌てることがないよう、対応の手順はしっかりと確認しておきましょう。

夜勤の回数

介護職の夜勤の回数に法的な規制はありませんが、看護職場では「月8日以内(2交替に換算すると4回以内)」という指針が出されています。しかし介護職の人手不足などさまざまな理由で、夜勤が月4回を超えることは多いようです。特にグループホーム、特別養護老人ホーム、短期入所では4割以上の施設で、夜勤が月4.5回を超えている実態があります。

夜勤の休憩

3交替制の施設では、休憩と仮眠時間の合計は平均で1時間13分。2交替制の施設では2時間6分。施設によっては4時間ほど休憩がとれるところもあるようですが、短いところでは休憩1時間という施設もありました。

仮眠室の有無では、グループホームや小規模多機能ホームなどの、規模の小さい事業所では仮眠室がないことが多いようです。小規模の事業所では夜勤体制も一人夜勤が多く、休憩や仮眠が取りにくいことがあるようです。

夜勤手当

2交替夜勤の場合、夜勤手当の平均は夜勤1回ごとに6,335円。施設によって違いはありますが、だいたい5,000円〜6,000円程度が多いようです。3交替制の場合、夜勤手当はだいたい3,000円〜4,000円程度、深夜勤で4,000円〜5,000円程度となっています。

夜勤で疲れをためないための睡眠のコツ

夜勤で疲れをためないための飲み物
人間の体内時計は、昼間活動して夜は眠って休息をとるようにできています。それを夜勤に合わせて急に変えようと思っても、そう簡単にはいきません。睡眠医学的には、体内時計をずらして体調が安定するには3週間ほどかかると言われています。

週に1〜2回の夜勤なら、体内時計は日勤に合わせておくのが正解です。そのためには、夜勤中の仮眠がとても大切。途中で仮眠をとることで、疲れや眠気からくる集中力の低下やミスを防ぎます。

おすすめは休憩を利用した、カフェイン+30分程度の仮眠。カフェインが効果を発揮するのは体内に入ってから30分後と言われているので、コーヒーなどで適度にカフェインを摂ってから寝ると、30分後にはすっきりと目覚めることができます(ただし摂り過ぎには注意!カフェイン中毒を避けるため、コーヒーなら1日6〜7杯を限度にしましょう)。

一人夜勤で休憩中も眠れないという場合は、少しの時間目を閉じて横になるだけでも、かなりの疲労回復効果があります。横たわることで血流が良くなって心臓への負担をおさえることができ、視覚情報をシャットアウトすることで脳の機能を休めることができるのです。

眠れないときもスマホを見るのではなく、横になって目を閉じる。これだけでもずいぶん疲労度が違ってきます。

また夜勤明けは思いきり寝たくなるものですが、午前中に3〜4時間の仮眠をとるにとどめておきましょう。夜の睡眠に影響するので午後2時以降は寝ないようにし、目が覚めたらしっかりと太陽の光を浴びます。あくまで体内時計は日勤に合わせておき、夜に良質の睡眠をたっぷりとるようにしましょう。

介護職の夜勤はデメリットだけじゃない

少ない人数で眠気や疲れと戦いながら、効率良く仕事をこなさなくてはならない夜勤は、たしかにとてもハードです。でもその分、介護のスキルは飛躍的にアップするでしょう。

また夜勤は、要介護者とスタッフが最も長い時間をともに過ごす勤務時間帯。夜間になると昼間とまったく違う様子を見せる要介護者もいますし、認知症ならこの時間の過ごし方がBPSD(周辺症状)にも大きく影響します。要介護者への理解を深め、その人に合った質の高い介護を提供するためにも、夜間はとても大切な時間帯なのです。

この他にも夜勤手当など給与面でのメリットや、夜勤明けに公休があったり、昼間に用事ができるといった時間的なメリットも。ハードな夜勤も、ポジティブに考えればまた違った面が見えてきます。

もちろん、上で述べてきたように夜勤は決してラクではありません。施設や事業所側は、介護職員が安心して夜勤に取り組めるような勤務体制や待遇改善を、積極的に進めてほしいと思います。また働き手としても、夜勤の重要性や可能性に目を向け、前向きな気持ちと正しい体調管理で夜勤に取り組むことが大切です。

夜勤の意義と重要性の高さを、立場を超えてみんなが共有できれば、働く環境も介護の質も、これからまだまだ上げていけるのではないでしょうか。

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