24時間OK?定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは

介護の仕事

小さな時計を手に添える女性

さまざまな事情でデイサービスなどの通所介護施設に通うことがむずかしい要介護者は少なからず存在します。そのような要介護高齢者の在宅生活を、医療と介護が連携して24時間支える仕組みが【定期巡回・随時対応型訪問介護看護】です。介護保険内で利用できる、日中・夜間を問わない在宅介護看護サービス制度の内容や利用方法、また一般的な訪問介護との違いについて詳しく紹介していきます。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは

定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、訪問介護員や看護師が日中・夜間を問わず要介護認定を受けている方の自宅を訪問し、介護や看護サービスを提供するもの。ヘルパーは1日に要介護者の自宅を複数回訪問し、1回につき約10~20分の短時間で食事や清拭、排せつの介助などを行います。要介護者の緊急時や生活リズムに合わせて24時間365日、サービスを利用できるところがメリット。「定期巡回型」と「随時対応型」の違いは以下の通りです。

定期巡回サービス

定期巡回サービスでは訪問介護計画書の内容をもとに、入浴や食事介助などのサービスを短時間で提供します。要介護者の自宅におもむき、安否確認やおむつ交換など定期的な介助をおこなうこともサービスに含まれます。

随時対応・訪問サービス

服薬や食事介助、おむつ交換など、定期的に行わなければならない介助とは違い、介護が必要になったときだけ介護員・看護師が訪問するのが随時対応訪問サービスです。利用者は自宅に「ケアコール」と呼ばれる機器を設置し、必要と感じたときにオペレーターに連絡を取り、オペレーターが利用者の状況を確認、必要に応じて訪問するサービスを手配します。

24時間受付をしているオペレーターは社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャーなどの有資格者が務めており、利用者の容態を聞いて適切な判断をくだします。

サービスを受ける条件と自己負担額

ベッドにいるシニア女性と寄り添う女性訪問介護員

このサービスは、地域内で生活困難者の生活をサポートし合う地域包括ケアシステムの中核的サービスに位置づけられていて、要介護1~5の認定を受けている人が対象です。要支援認定者はサービスを利用できません。利用者は一定の利用料で介護・看護サービスを受けられますが、利用者負担額は要介護度によって異なります。負担割合は原則1割ですが、一定以上の所得があれば2~3割負担になることもあります。また、看護サービスを受けるかどうかによっても自己負担額が変わります。利用料の範囲内で1日に何度もサービスを受けられる点は魅力ですが、他の訪問介護や訪問看護、夜間対応サービスとの併用はできません。

他のサービス、施設との違いは?

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の主なサービス内容は、前の章でも紹介した「定期巡回」「随時対応」「随時訪問」そして「看護」の4つです。このうち「定期巡回」「随時対応」「随時訪問」の3つのサービスは必要に応じて行われるものですが、看護サービスだけは医師の指示に基づいてすべての利用者に提供されるものであり、訪問看護サービスを利用していなくても月に一度看護師によるアセスメントが行われます。

一般的な訪問介護との違いとは?

訪問介護と定期巡回・随時対応型訪問介護看護はどちらも介護保険の対象ですが、前者はあらかじめサービスの内容と時間が決められるのに対し、後者はケアマネジャーの作成する計画に基づき、利用者の生活時間に合わせたサービスが提供されます。緊急時にはいつでもヘルパーを呼べるところもこのサービスならではの魅力。訪問介護も時間外対応を受け付けている事業所はありますが、基本的に時間外の利用は割り増しとなることがほとんどです。そして何より介護だけではなく、看護サービスを受けられる点は、通常の訪問介護サービスにはない大きなポイントです。

1日複数回の服薬やインスリン注射が必要であるにも関わらず、認知症であるために自分でできない人、また1人で食事や寝返りが難しい人にとっては、このサービスが合っているかもしれません。

夜間対応型・小規模多機能型居宅介護との比較

訪問介護と同じく、定期巡回・随時対応型訪問介護看護に似たサービスとして「夜間対応型訪問介護」と「小規模多機能型居宅介護」があります。しかし、夜間対応型訪問介護はヘルパーが定期巡回できる時間が当日18時~翌日8時に限定されること、また医療対応できない点がデメリット。呼び出し回数に応じて料金が発生する仕組みであり、頻繁に利用すると高くついてしまうこともあり、利用者にとっては負担が大きくなることも。

小規模多機能型居宅介護は、同一の介護事業者が通所・訪問・宿泊を総合的に提供しているサービスです。定額制で月々に発生する料金がわかりやすいところや、サービスの選択度が高いところ、また要支援認定者でも利用できる点は魅力ですが、月額料金は高めで、定期巡回・随時対応型訪問介護看護より3,000~5,000円程度高くなることが多いようです。

サービスを提供する事業所による特徴

このサービスを依頼する事業所には、「一体型事業所」と「連携型事業所」のふたつのタイプがあります。

「一体型事業所」は、訪問介護と訪問看護が同一の事業所で提供されているため、互いの連携が取りやすく、介護スタッフが看護師から得た医療的目線で対応できる点がメリット。一方「連携型事業所」は、定期巡回・随時対応型訪問介護をおこなっている事業所が、地域の他社の訪問介護事業所と連携してサービスを提供します。複数の事業所が連携を取るため、地域全体の情報共有が期待できる反面、一体型と違い介護と看護双方のスタッフ同士の密な連携はむずかしくなります。また、同じ場所に看護師がいないため夜間対応などで対応が遅れることもあるようです。

仕組みを理解して適切な利用促進を

シニア女性を診察する女性看護師

時間にもサービス内容にも柔軟性があり、看護師による医療面のケアも受けられるなど、定期巡回・随時対応型訪問介護看護にはメリットがたくさん。しかし、利用者や介護事業者にとってデメリットがまったく無いわけではありません。

このサービスの費用は月ごとの定額制となるため、利用頻度が低ければ利用者にとっては損をしてしまうことも。また、一般的な訪問看護と比べて対応している事業者が限られるため、利用希望者がひとつの施設に集中してしまうおそれがあります。こうなると事業者は早朝や夜間に対応可能なスタッフの確保に苦労することがあるでしょう。利用者にとっては、円滑なサービス提供への懸念も生まれます。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに今後さらに浸透していく可能性の大きいサービス。平成24年のサービス創設以来、対応する事業所の数は年々増えています。徐々に一般的な訪問介護との違いも理解され、事業者も体制の整備を進めています。

医療ニーズが高い高齢者にとっては、医療と介護が連携してくれる定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、心強いサービス。うまく利用することを検討してみてはいかがでしょうか。介護スタッフとして働く方にとっても、看護の知見を得ながらスキルを高められるチャンス。ぜひ働き方の選択肢に加えてみてくださいね。

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