訪問介護のやりがいって?難しいからこそ喜びも大きい

介護の仕事

ホームヘルパーが介助している様子
ホームヘルパーが利用者様の自宅を訪問し、さまざまな介護サービスを提供する訪問介護。働く時間に融通がきき、自分のペースで働けるというメリットがある一方、利用者様とのコミュニケーションや一人で行うことでの責任の大きさなど、難しい面もたくさんあります。

それでも、多くのホームヘルパーさんたちがやりがいや喜びを感じながら、長く働き続けているのも事実。今回は訪問介護という仕事の詳細や、その魅力とやりがいについて掘り下げていきます。訪問介護の仕事に興味がある方、チャレンジしてみようかなと考えている方は、ぜひ先輩たちの声を参考にしてみてくださいね。

訪問介護の具体的な仕事内容

訪問介護ではホームヘルパーが利用者様の自宅を訪問し、ケアプランに基づいてサービスを行います。さっそく具体的な仕事内容を見てみましょう。

まず、朝の時間帯に多いのは、着替えやひげそり、紙パンツのはき替えなど朝の身支度のお手伝い。また朝食の準備や食後の服薬のお手伝い、デイサービスへ行かれる方の送り出し等も多くなっています。昼の時間帯はお昼ご飯の準備や配膳、生活必需品の買い物、清拭などのお仕事が中心です。

夕方になると、デイサービスから帰ってこられる利用者様をお迎えして片付けを手伝ったり、夕食の準備や配膳、服薬のお手伝いなどを行います。夜の時間帯には、入浴の見守りやお手伝い、おむつ交換、歯磨きや着替えなどの就寝準備のお手伝い。このように、利用者様の一日を支えているのが訪問介護です。

これらの仕事のほか、利用者様との何気ない会話のなかにも大切な仕事が隠れています。それは、日々のコミュニケーションのなかから利用者様の体調の変化や隠れた要望をくみ取り、所属事業所へ伝えること。とくに利用者様が一人暮らしの場合などは、一番近くで見ているのはホームヘルパーです。だからこそ「小さな変化に気付き、事故や病気に発展する前に適切な対応へつなげる」という仕事も担っています。

訪問介護で働くメリット

ホームヘルパーが掃除している様子

そんな大切な仕事である訪問介護ですが、じつは働きやすさにつながるメリットがたくさんあります。ひとつずつ見ていきましょう。

  • 働く時間の融通がきく
    パートで働く場合は1日何件のお宅を訪問するかを自分で決め、好きなペースで働けます。たとえば1日に6~7件も回るバリバリ派がいる一方、「一日2件だけ」「夜だけ」などと件数や時間を限定して子育てや他の仕事と両立させるなど、ライフスタイルに合わせていろいろな働き方が可能です。

  • 手に職がつく
    ホームヘルパーは無資格でも始めることができますが、「介護職員初任者研修」という資格があると、できる仕事の幅が広がり時給もアップするため、ほとんどの人がこの資格を取得します。介助技術は繰り返し行うことでどんどん上手になるので、続けるうちに自然にスキルも身につきます。身についたスキルは、やりたい仕事やよりよい条件を求めて転職するときの武器になりますし、将来身近な人に介護が必要になったときもきっと大きな力になります。

  • いくつになっても働ける
    子育てが一段落してから始める方も多く、50代、60代からスタートして、70代で活躍されているホームヘルパーさんもたくさんいます。家でじっとしていた頃より体力がつき、むしろ体が丈夫になったという声も!

  • 女性管理職が多く女性が働きやすい
    ホームヘルパーたちをとりまとめるのは「サービス提供責任者」という役職。この役職に就く人は、自身もホームヘルパーとして働いていた経験を持つ人が多く、7割以上が女性です※1

子育てや家庭と両立させながら介護の仕事をがんばってきた方が多いので、家庭の事情にも理解があります。また職場の先輩や同僚も同じような境遇の人が多いので、困ったときに助けてもらいやすく、一人で抱え込まずにすむ点も魅力です。

※1:介護労働安定センター調べ「平成30年度 介護労働実態調査結果」より

訪問介護でよくある悩みごと

もちろん訪問介護は簡単な仕事ではなく、さまざまなストレスもあります。ホームヘルパーさんたちからよく聞かれる悩みごとを紹介しましょう。

  • 臨機応変な判断力が求められる
    老人ホームなどの施設介護では、自分の他にも上司やスタッフがいるので何かあったらすぐに相談できます。しかし訪問介護は、慣れるまで事業所の先輩に同行してもらうことはあっても、その後は基本的に一人で行うもの。もちろん、判断に困ることが起こればすぐ事業所に連絡して指示を仰げばよいのですが、基本は自分で臨機応変に判断・対処していくことが求められるため、それをプレッシャーに感じる人もいます。

  • 介護保険適用外のサービスを求められる
    ペットの世話など本人のケアに直接かかわらないことや、日常生活の範囲を超える援助は介護保険制度の対象外。ですが利用者様やご家族から「ついでにこれもしてほしい」と頼まれることがあります。トラブルを避けるには、事前に事業所からできること・できないことを明確に説明してもらうことに加え、いつでも確認できるよう一覧表を出力して持ち歩くことも役立ちます。

また介護の基本は、自分でできることは自分でしてもらう「自立支援」。残された能力を最大限使っていただくため、頼まれるまま何でもするわけにはいきません。上手に断るコミュニケーション能力も必要になります。

こちらのコラムも参考に>「訪問介護職を目指す方に。ホームヘルパーの心得3か条

訪問介護のやりがいとは

大変なことも多い訪問介護ですが、多くの人がやりがいを感じながらイキイキと活躍しています。そのやる気の源は何なのか、一緒にチェックしてみましょう。

  • 利用者様との心の交流
    何度も同じ利用者様のお宅を訪問していると、そのうちにその方との関係が深まってきます。はじめはそっけなかった方が、だんだん心を開いて自分のことを話してくれるようになったり、家族にも話さないようなことをポツリポツリと話してくれたり・・・。そんな関わりのなかから、ヘルパー自身の心の悩みが晴れていったり、背中をぐっと押してもらえたりすることがあります。これは、利用者様と1対1で関係を深めていくホームヘルパーの醍醐味といえるでしょう。

  • 人の役に立ち、感謝してもらえる
    ホームヘルパーが訪問するお宅は、自分たちではできないことを抱えて困っているところばかり。本当に困っていた経験があるからこそ、ヘルパーへの「ありがとう」「来てくれて助かったわ」という言葉にも実感がこもっています。「もう帰ってしまうの」「また来てね」と笑顔で言われることで、「こんなにも必要とされている」「人の役に立っているんだ」という自信もわいてきます。

  • 病気にいち早く気づき、医療につなげられる
    利用者様のことをよく知っているホームヘルパーは、普段と違う行動など、小さな異変にもいち早く気づくことができます。「よく気づいてくれた」「本当に助かった」と心からの感謝の言葉をもらえることも、ホームヘルパーにとってこのうえないやりがいです。

待遇改善で、働く魅力をさらにアップ

ホームヘルパーと利用者様が笑っている様子

要介護状態になっても在宅で過ごすことを望む人にとって、訪問介護は命綱のようなもの。しかし、訪問介護業界では深刻な人手不足が続いています。とくに新型コロナ問題で通所介護が利用しづらくなると、その分訪問介護のニーズが高まり人手不足がさらに深刻化。

問題解決のためには、やはりホームヘルパーという仕事の待遇を改善し、根本的な働きやすさを向上していくことが欠かせません。厚生労働省は「ホームヘルパーの処遇改善や業務効率化などの具体策を検討していく」としており、現在は次の制度改正に向けた議論が進められています。

ホームヘルパーはやりがいにあふれたお仕事である一方、お給料や働く環境に目を向けるとまだまだ発展途上な面があります。この点が改善されていけば、ホームヘルパーの仕事の魅力はもっと大きなものになるのではないでしょうか。

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