認知症ライフパートナーって?資格の取得方法と活用法

資格・スキル

高齢者施設で健康体操をおこなう職員とご利用者様

「認知症ライフパートナー」は、認知症の人をサポートするための知識やスキルを身につけることができる民間資格。認知症ケアについて学べる資格は他にもありますが、こちらは「アクティビティ・ケア」の習得に重点をおいていることが特徴です。

アクティビティ・ケアとは、音楽や運動、料理や園芸などの趣味活動を通じて、脳の活性化や生活改善につなげていく認知症ケアの手法のこと。認知症ライフパートナーを取得すると、「認知症アクティビティ・ケア専門士」という資格講座を受講できるようになります。

「認知症ケアについて学びたい」「認知症の人をサポートする方法が知りたい」という人は、ぜひ取得を検討してみてくださいね。

認知症ライフパートナーとは

「認知症ライフパートナー」は、一般社団法人「日本認知症コミュニケーション協議会」が運営・認定を行う民間資格です。認知症についての知識はもちろん、傾聴術や回想法などを活用した上手なコミュニケーションの方法や、趣味活動を通じた認知症ケアのスキルなどを学ぶことができます。

この資格が目指すのは、認知症の人の生き方や価値観を尊重しながら、その人らしい生活をサポートしていくこと。カリキュラムを学習することで、認知症の人の心理状態に詳しくなったり、コツをおさえたコミュニケーションができるようになるでしょう。

検定試験は1級、2級、3級の3段階。1級だけは2級に合格していることが受験資格となりますが、2・3級を受験するための受験資格はありません。年齢や国籍、実務経験など関係なく誰でもチャレンジすることができるため、介護の専門職以外にも広く開かれた資格試験となっています。

とくに3級では認知症についての知識や対応方法、コミュニケーション方法などの基本知識を学ぶことができるので、認知症家族の方や、一般企業の業務で認知症の人と接する機会がある方など、認知症ケアに興味のある幅広い層におすすめできる資格です。

日本認知症コミュニケーション協議会ホームページ

資格の取得方法・難易度・費用

難易度をしめすブロック

【取得方法】
申し込みはホームページか郵送・FAXで行い、受験料を振り込みます。試験会場は申込時に札幌・東京・大阪・名古屋・福岡など全国の主要都市5~8会場のうちから希望の場所を選ぶことが可能。合否はホームページで確認でき、合格すると合格証が送られてきます。

【受験にかかるおおよその費用】
3級・・・受験料:6,000円 公式テキスト代:3,080円

2級・・・受験料:9,800円 公式テキスト代:4,950円

1級・・・受験料:14,000円 公式テキスト代:6,160円

上記金額に加え、試験当日は試験会場までの往復交通費を想定しておきましょう。2級と3級は同じ日の午前と午後に分けて行われるため併願受験も可能ですし、3級はパスして2級から受験することも可能です。

【試験対策・難易度】
2・3級の試験問題はすべて公式テキストから出題されるので、公式テキストをしっかり読み込み、ノートにまとめるなどして理解を深めておきましょう。それぞれの級で過去問題集が出ていますので、そちらを解いておくのも記憶の定着に役立ちます。

マークシート形式で70点以上が合格ラインですので、テキストの内容がしっかり頭に入っていれば難易度は高くありません。ただし1級に関しては一部テキスト外からの出題があったり、マークシートだけでなく後半に記述式問題を取り入れているなど難易度がやや上がります。

1~3級の試験対策として、重要ポイントを講師が解説してくれる受験対策セミナーも開催されていますので、興味があれば参加を検討してみてくださいね。

公式テキスト等の関連書籍≫(日本認知症コミュニケーション協議会ホームページ)

資格が活かせる場

この資格は介護職、看護職など医療・福祉関係の仕事に就いている人はもちろん、身近な人が認知症になった人、これから福祉関係の仕事に就こうと考えている学生さん、認知症の人への対応力をつけたい一般企業の方など、幅広い層の人が取得しています。

2025年には高齢者の約5人に1人が認知症になるという予測もあり、認知症は誰にとっても身近な問題。直接介護を行うわけではなくても、企業活動の一環や地域社会など、活かせる場はたくさんあります。身につけた知識やスキルを活用して、家族の介護に役立てたり、地域のボランティア活動に活用する人などさまざま。

もちろん介護職なら日々の実務で即、身につけた知識が役立つことでしょう。公的資格ではなく民間資格であるため、取得で直接給与がアップすることはほぼありませんが、認知症ケアに自信が持てれば、その仕事ぶりが評価されて昇進や待遇アップにつながる可能性も十分。

これから福祉関係の仕事に就きたいと考えている方も、持っていれば就職や転職活動でよいアピールになりそうです。自己研鑽のひとつとして検討してみてくださいね。

そのほか介護職におすすめの認知症ケア資格

ステップのデザインイメージ

せっかく介護職が取得するなら、資格手当や給与に反映されやすいものや、その資格での求人があるような資格がいい、と思う人もいるでしょう。そんなときは民間資格ではなく、公的資格をねらっていくのがおすすめです。

まずは「介護職員初任者研修」→「介護福祉士実務者研修」→「介護福祉士」の順で、国家資格の取得を優先的に。さらに認知症ケアに特化してスキルを積んでいきたいなら、「認知症介護実践者研修」取得を検討してみてください。

こちらは都道府県が母体となって研修を行う公的資格。認知症対応型の介護施設やグループホームなどで配置が義務づけられていたり、介護報酬の加算要件になっていたりするため、認知症介護の現場で高いニーズがある資格です。

こちらのコラムも参考に
「認知症介護実践者研修とは?メリットや内容が知りたい」

「認知症の介護に役立つ資格は?代表的な7つをご紹介」

これからの時代に欠かせない認知症ケアのスキル

レクリエーションを楽しむご利用者様と介護職員

これから私たちが迎える超高齢化社会では、認知症はもう特別な病気ではありません。誰もが認知症と上手に付き合いながら暮らしていく、それが当たり前の世の中になっていくはず。認知症についての正しい知識や、コミュニケーションのとり方は、どなたも知っておいて損はない知識です。

認知症ライフパートナーは、難易度や費用がそれほど高くなく取得へのハードルが低いため、認知症について知識を得たい方に幅広くおすすめできる資格といえるでしょう。

ただし民間資格なので法律などの裏付けはありません。それが気になる場合や、介護のプロとして実効性の高い資格が欲しい場合は、公的な認知症ケア資格と比較検討してみるのもおすすめです。

もちろん介護のプロであっても「アクティビティ・ケア」に興味があるのなら、認知症ライフパートナー2級や1級を取得することは実務に大いに役立つはず。内容を確認してみて自分の学びたいことにフィットしていると感じる場合は、ぜひ取得を前向きに検討してみてくださいね。

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