新型老健の特徴を解説|従来型・介護医療院との違い・仕事内容・給与

介護の仕事

入居者を見守る看護職員

「新型老健とこれまでの老健って、どこが違うの?」
「具体的にはどのようなサービスが提供されるんだろう?」

と、疑問に思っていませんか?

新型老健は、これまでの従来型老健よりも、より医療的なケアが充実している施設です。

この記事では、新型老健が具体的にはどのような施設なのか、従来型の老健や他の施設とはどう違うのか。また、新型老健で働く介護職の仕事内容などについて詳しく解説します。新型老健について具体的に知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

新型老健とは?

入居者と笑顔で過ごす看護職員

新型老健とは、2008年に厚生労働省が新設した「介護療養型老人保健施設」です(以後新型老健)。

看護師を24時間配置することや、医療ケアが必要な利用者を一定数以上受け入れることなどが設置基準になっています。厚生労働省によると、令和5年6月30日時点で開設されている新型老健は99施設です。

新型老健では、身体介護や日常生活支援などの介護サービスや、理学療法士・作業療法士によるリハビリ・機能訓練に加え、医療措置やターミナルケア・看取りケアにも対応します。

新型老健ができた背景として、これまでの従来型老健(介護療養型医療施設)では、医療スタッフの配置や医療機器の整備などが不十分で、高度な医療ケアが提供できなかったことが大きな理由としてあげられます。

そのため、2024年3月末に従来型老健がなくなることが決まり、その受け皿として新型老健が設立されたのです。

新型老健と同様に、長期的な医療的ケアと介護サービスを必要としている方のための施設が「介護医療院」です。

次の章で、新型老健・従来型老健・介護医療院の違いを具体的にお伝えします。

参考:厚生労働省「介護医療院の開設状況について」

新型老健・従来型老健・介護医療院の違いを比較

介護施設の外観イメージ

「新型老健」「従来型老健」「介護医療院」の違いは、医療ケアの充実度や看護師の配置義務、退所期限などです。

新型老健・従来型老健・介護医療院、それぞれの違いを、以下の表にまとめました。

項目 新型老健 従来型老健 介護医療院
正式名称 介護療養型老人保健施設 介護療養型医療施設 介護医療院
目的 医療的ケアとリハビリテーションを提供する リハビリテーションと在宅復帰を支援する 長期的な医療的ケアと介護支援を提供する
対象者 要介護1~5の高齢者で医療的ケアが必要な方 要介護1~5の高齢者で在宅復帰を目指す方 要介護1~5の高齢者で長期的な医療的ケアが必要な方
医師の配置 常勤または非常勤(毎日診察が可能) 常勤または非常勤(毎日診察が可能) 常勤で毎日診察が可能
看護師の配置 夜間に看護師を配置することが義務付けられている 夜間に看護師を配置することが推奨されている 夜間に看護師を配置することが義務付けられている
リハビリサービス 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が在籍し、利用者の身体機能回復を目指す
ターミナルケア

看取り

可能(終末期医療に対応) 可能(施設によっては対応できない場合もある) 可能(終末期医療に対応)
介護サービス 日常生活支援

介護

医療ケア

日常生活支援や介護がメイン 日常生活支援

介護

医療ケアが充実

一般的な費用(月額) 10万円~20万円程度(食費・光熱費含む) 5万円~15万円程度(食費・光熱費含む) 15万円~30万円程度(食費・光熱費含む)
利用期間 長期利用が可能 3ヶ月ごとに継続利用の見直し(※在宅復帰を目指す) 終身利用可能

参考:介護保険最新情報掲載ページ|厚生労働省
参考:老人保健健康増進等事業|厚生労働省
参考:令和3年度介護報酬改定の主な事項

新型老健のサービス内容

リハビリテーションでリハビリを行う入居者とPT(理学療法士)

ここでは、新型老健で提供されている、医療ケア・介護サービス・リハビリテーションサービスの3つについて、具体的に見ていきます。

医療ケア

新型老健では、医療的ケアが必要な利用者に対して、常勤または常駐する医師や看護師などの医療スタッフが、医療ケアや在宅復帰に向けた医療管理をおこないます。

これまでの従来型老健に比べて、以下のように、より専門的な医療ケアが可能になりました。

  • 人工呼吸器や経管栄養などの管理や調整
    (胃ろうのケア・高度な血糖値の管理・インシュリン注射・気管切開のケア・痰の吸引など)
  • 在宅復帰に向けて必要な処方箋や指示書の作成
  • 救急車の手配や入院の調整
  • 専門的な診断や治療の受診

参考:厚生労働省「介護療養型老人保健施設について」

介護サービス

新型老健では、介護職員が日常生活の援助や身体介護をおこない、必要に応じて外部の介護事業所と連携してサービスを提供します。

主に以下のような介護サービスをおこないます。

  • 食事や入浴・排泄・着替えなどの生活支援
  • 移動・起き上がり・寝返りなどの身体支援
  • 通所介護や訪問介護などの居宅系サービスの利用
  • 福祉用具の貸与や住宅改修の支援

参考:老人保健健康増進等事業 |厚生労働省

リハビリテーションサービス

新型老健では、理学療法士や作業療法士などのリハビリテーションスタッフが、在宅復帰や生活機能の維持・向上に向けたリハビリテーションサービスをおこないます。

具体的には、以下のようなリハビリテーションです。

  • 歩行や立ち上がりなどの運動機能やバランス能力の改善を目指した理学療法
  • 食事や入浴・排泄・着替えなどの日常生活動作や認知機能の改善を目指した作業療法
  • 通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションなどの居宅系サービスの利用
  • 在宅復帰に向けて必要な福祉用具の貸与や住宅改修の支援

新型老健での人員配置

医療療養病床・介護保険施設の表グラフ
画像引用:厚生労働省

新型老健の人員配置は、医師1人に対して看護師の数が18人になり、より充実した医療ケアを提供できるようになりました。(従来型老健では10人)
また、看護師が夜間も常駐しているので、医療ケアが24時間必要な方でも受け入れられます。

人員配置(100床当たり)

  • 医師:1人
  • 看護職員:18人
  • 介護職員:18人

参考:介護療養型医療施設・介護療養型老人保健施設の基準・報酬について|厚生労働省

新型老健で働く職種

リハビリを行う入居者とPT(理学療法士)

新型老健では、医師や看護師、介護職員以外にも、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・薬剤師・栄養士などの専門職が働いており、ケアやサポートをしています。

各職種の主な仕事内容は以下の通りです。

  • 医師:利用者の心身状態を把握し、診察や処方、急性増悪時の対応。
  • 看護師:医師の指示にもとづいて日常的な医療処置をおこなう。胃ろうや痰吸引、インシュリン注射、床ずれや気管切開のケアなど。24時間体制で看護。
  • 介護職員:利用者が必要としている身体介助や生活援助に対応。
  • 介護支援専門員:利用者や家族と面談し、利用者のニーズや希望に応じたケアプランを作成。
  • 支援相談員:利用者や家族の相談に乗り、支援や情報提供などをおこなう。
  • 理学療法士:運動機能や歩行能力の評価、トレーニング。在宅復帰に向けたリハビリプログラムの作成や指導。
  • 作業療法士:生活動作能力や認知機能の評価や訓練をおこなう。在宅復帰に向けた生活訓練や器具の選定・調整。
  • 言語聴覚士:嚥下機能やコミュニケーション能力の評価や訓練。食事摂取方法や食材の選択などのアドバイスや発声・発話・言語理解などのトレーニング。
  • 薬剤師:利用者の薬物治療に関する管理や指導をおこなう。薬歴管理や服薬指導、薬剤情報提供。
  • 栄養士:利用者の身体状況や嚥下能力に合わせて食べやすく栄養のあるメニューを用意する。栄養管理や食事指導、食育活動。

新型老健の介護職の仕事内容

入居者の様子を伺うケアマネジャー

新型老健で働く介護職の主な仕事内容についてまとめました。

介護職員

介護職員は、利用者の日常生活の介助や見守り、レクリエーションなどの生活支援をおこないます。

具体的には、利用者の食事・入浴・排泄・着替えなどの身体介助や、言語聴覚士や栄養士と連携して食事介助をします。

理学療法士や作業療法士がおこなうリハビリサ-ビスのサポートすることも。

他には、レクリエーションを企画・実施したり、利用者の日々の様子や変化を記録して、医師や看護師に報告したりします。

介護支援相談員(ケアマネジャー)

介護支援専門員は、利用者や家族と面談し、利用者のニーズや希望に応じたケアプランを作成します。サービス提供事業者と連携して、ケアプランの実施状況や評価をおこなうことも仕事のひとつです。

また、サービス提供事業者と連絡・調整をおこない、利用者に適したサービス内容や時間帯を決めたり、必要に応じて医師や看護師と連携したりもします。

他には、ケアプランの実施状況や評価を定期的におこない、利用者の状況に応じてケアプランの見直しや修正、他の施設への転居や退所手続きなどもおこないます。

こちらもチェック:「施設ケアマネってどんな仕事?魅力や大変さなど疑問を全部解決!」

支援相談員

支援相談員は、利用者や家族との面談や連絡をおこない、介護サービスの利用状況やニーズを把握し、相談を受けたり支援をしたりします。

介護支援専門員や医師、自治体の担当者などと連携して、情報提供や調整もおこないます。

新型老健の特徴を知って今後に生かそう

笑顔の入居者と介護職員

この記事では、新型老健の特徴や、従来型・介護医療院との違い、仕事内容を紹介しました。

新型老健は、身体介護や日常生活支援などの介護サービスや、リハビリケーションサービスに加え、専門的な医療措置やターミナルケア・看取りケアにも対応する施設です。

医療的な知識も身につけていきたい、終末期や看取りケアのサポートをしていきたいという方は、新型老健で働くことも視野にいれてみてはいかがでしょうか。

 

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