さて、いよいよ今回が最終回となりました。ここまで介護の現場のレクリエーションについて様々な角度からみなさんにお届けしてまいりました。いかがでしたでしょうか?
本日、最後のテーマは「介護の現場で繰り返し行えるレクリエーション」です。
介護の現場では毎日体操や、レクリエーションを行わなければなりません。日々の介護業務を行いながらレクリエーションを担当するわけですから、本当に介護従事者の皆様には頭が下がる思いです。
さて、今回のテーマは「繰り返し行えるレクリエーション」なので、行いやすい内容としては体操や、アイスブレイクの内容になります。
ところで、私たちの身の回りには「同じことをしていても、全く違うように感じる」ということが多々あるかと思います。例えば、食べるのは「お肉」で同じですが、家庭の食卓で食べるお肉、バーベキューで友人たちと晴れた空の下で食べるお肉、ちょっとおしゃれなレストランで恋人と食べるお肉。どれも同じものを食べていますが、感じ方は全く違うと思います。
ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンに行くとしても、誰と行くか?でこれもまったく変わります。
このように何かをする(do)というのは、どのような状況で行うのか?誰と行うのか?など、doを取り巻く環境によって、全く違うものに見えるのです。介護レクリエーションでいう取り巻く環境とは、五感で感じる全てです。
何が見えるか?
何が聞こえるか?
何が匂うか?
こうしたものに、変化をつけていくことが大切なのです。
例えば、毎日の体操をアレンジするのであれば、こうなります。
- ①アロマオイルやクリームで、手や腕などをセルフマッサージ
→アロマオイルは数種類あると良いでしょう。今日の香りは何だろう?とワクワクできます。また、高齢者が自分自身でクリームやオイルを塗るだけでも、十分なウォーミングアップに繋がります。香りがフロア全体に広がり、嗅覚を刺激してリラックスした状態で体操を始めましょう。 - ②今日の音楽をかけながら、体操を行う。
→音楽は予め参加する高齢者さんの好きな曲を伺います。高齢者さんの好きな曲を毎日使っていきますので、職員が「今日は何にしよう?」と考える必要はありません。また、毎日高齢者の希望する音楽を使うことで、「次は何をリクエストしようか?」「明日は自分のリクエストした曲の日だな」といった、楽しみを提供することができます。曲のテンポに合わせて体操を行うことで、同じ動きであっても筋肉の使い方が変わってきます。 - ③最後はリラクゼーション音楽をかけてゆっくりとクールダウン
→曲をリラックス系の音楽に変えて、ゆっくりと深呼吸などでクールダウン行うことで心身ともにリラックスして次の行動に移れます。
こうして行うことで、毎日同じ体操を行っていても日々の新鮮さがあり、楽しむことができます。レクリエーションは介護の現場であっても、片方が100%の材料を提供して行ってしまうと、どうしても押し付け感が残ります。参加者全員が何かしらの形で参加できることが重要なのです。上記の体操の例でいうと、自らオイルマッサージを行ったり、曲をリクエストしたり、という行為がこれに当てはまります。マッサージも時には二人組みになり互いの手をマッサージし合うなどとしても、また雰囲気がかわります。
これを行ったから、毎日やっても大丈夫!というものは、ありません。その時は、五感を使った環境の変化!に着目してみてください。
仕事の合間に食べるおにぎりと、山登りをして山頂で食べるおにぎりの味が違って感じるのはどうしてだろう?
そんなところに、ヒントがあります。
いかがでしたでしょうか。これでお届けするコラムの全ての回が終了となります。皆さまお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
皆さまの介護現場でのご活躍を、心より応援しています。
>月ごとの高齢者向けレクリエーション集
【介護現場のレクの悩みあるあるをスパッと解決】
vol.1 介護現場でレクレーションが担う役割
vol.2 介護現場で使える資格「レクリエーション介護士」
vol.3 介護現場のレクだけを担うお仕事
vol.4 介護度の異なる利用者さんに提供するレクってどうしたらいいの?
vol.5 回想レクリエーションのやり方を教えて!
vol.6 レク中に利用者さんが複数で話し始めてしまった時、どうしたらいいの?
vol.7 繰り返し行えるレクが知りたい