介護のチームワークを高めるコツとチームリーダーの心得

使えるハウツー

円陣を組み、手を乗せ合う様子

「介護はチームワーク」と言われます。利用者さんの生活を支えるためには、24時間365日、複数の職員が途切れなくバトンを受け継ぎながら、ケアを提供していく必要があるからです。

チームワークが高まれば仕事の質が上がり、達成感や充実感も高まります。そうすると、現場はますます意欲的になり、よいサイクルが回り始めることに。

ですが現実には、「チームなんて名ばかりで、みんなが自分のことで手いっぱい・・・」そんな悩みを抱えているチームリーダーはたくさんいます。これでは事故やクレーム、離職など、介護現場のトラブルリスクがぐんとアップしてしまいます。

チームが一丸となって一つの目標に取り組み、スムーズに連携していくために、リーダーが実践していきたい具体的な方法をお伝えしていきます。

介護におけるチームワークとは

チームワークでは、チームのメンバーが1つの目標に向かって、協力して仕事を進めていきます。良いチームワークのためには、まずメンバー全員が、目指す目標をはっきり共有しておく必要があります。
この目標は、介護の仕事においては「利用者さんの目標」です。ケアマネジャーがご本人やご家族と面談してアセスメント(情報収集)を行って設定した短期目標・長期目標が基本です。これらはご本人が、どのように暮らしていきたいかを反映したものになっています。

チームの全員が自分の専門性を発揮し、利用者さんの目標達成に向かって適切に行動できることが、良いチームワークができている状態です。あなたのチームのスタッフがバラバラの方向を向いているようなら、まずは目標の共有から始めましょう。

チームの目標設定の方法

ゴールまでの道のり

大切なのは、みんなが共感でき、熱意が持てる目標であること。誰かの押し付けや、高すぎる or 低すぎる目標では現場にモチベーションがわきません。

介護の場合、短期目標は具体的で取り組みやすい目標になっているはずですが、それだけでなく長期目標にもしっかりと注目して、何のためにこれをするのかをきちんと共有していきましょう。

たとえば排せつに関して、「短期目標:排せつ間隔に注意し、トイレ誘導の声かけを行う」という目標があります。声かけをするのは、「長期目標:自力で排せつできる」を達成するため。

「Aさんは○時間に1回の頻度でトイレ誘導の声かけをしてください」とだけ言われるより、「Aさんは自力排せつを希望されています。ですのでトイレ誘導の声かけを徹底してください」と言われる方が、スタッフの理解が深まります。

「まだ声かけの時間じゃないけど、Aさんの様子がそわそわしているみたい。声をかけてみようか」と自分で考えて判断することにもつながります。

また、与えられた目標ではなく自分たちで考えた目標は、他人事ではなく自分ごとになるので、より責任を持って積極的に関われるもの。リーダーは一方的に目標を下ろしてくるのではなく、「いつも担当してくれている○○さんはどう思う?」「みんなはどう?」とメンバーの意見を聞くようにしてみましょう。

チームリーダーの役割

リーダーの役割は、チームのみんなが気持ち良く働けるように気を配り、成果を出してもらうこと。必ずしも、自分がカリスマ性にあふれたスーパーマンである必要はありません。

以下に、チームワークができているチームのリーダーがやっていることを挙げてみましょう。意外とカリスマ性がなくてもできることがほとんどです。

・大変そうなメンバーを見つけてフォローする
例:ご家族のクレームに対応したスタッフに「大変だったでしょう、ありがとうね。大丈夫?」

・メンバーの仕事を認めて褒める
例:「的確な対処で助かったって、ご家族が感謝してましたよ!さすがですね」
例:自分より年上のベテランスタッフに「すみません、ちょっと困ったことが・・・。○○さんならこんなケースもご経験があるかと思いまして」

・メンバーの話をよく聞く
例:挨拶とセットで「おはよう!調子はどう?」
例:メンバーの話に対して「なるほど、たしかにね〜」「よく気づいたね、それで?」

・失敗したときはフォローしつつ叱る
例:「○○さんらしくないですね、どうしたんですか?」
例:「○○さんなら大丈夫、利用者さんからの評判もいいですよ。ただこの点だけは○○してしまう危険があるから、気をつけてね」

>スタッフの上手なほめ方、叱り方をもっと詳しく

職員同士の連携の方法

多職種間での相談のやり取り
チームメンバー同士の連携や情報伝達がどうもうまくいかない、という悩みもよく聞かれます。そんなときには、情報共有の方法を見直してみましょう。

月に1度などのように頻度が少ないと、どうしても話し合うことが溜まってしまい、問題解決に時間がかかったり、会議自体の時間も長引いてしまいます。また介護記録も、ちゃんと伝わっているか不安ですね。そこでおすすめしたいのが、10分程度のプチミーティングを毎日の定例にする試み

タイミングは、朝の申し送りの後や、昼休憩の後など、職員が比較的そろいやすいときが良いでしょう。「今後の予定」「問題点」「進捗状況」に限って報告し、時間内で終わるようにします。話し合いに時間がかかりそうな議題は、また別の機会を設けたほうが良いでしょう。問題がないときは、予定と進捗の報告だけで、サッとミーティングを切り上げます。

毎日これをやっていると、問題が起こってもすぐにメンバー同士で共有できるので、「そんなの知らなかった」という事態を防げます。「Aさんは以前こんなこともあったけど、今回の件にも関係あるかも」「こんなやり方はどうでしょうか?」など、職員同士の横の会話も生まれやすくなり、チームの風通しがグッと良くなります。

多職種連携のコツ

医療や看護など、異なる職種との連携も悩みの種です。とくに「病気の治療」という視点に立つ看護職は、「その人らしく生きること」を重視する介護職とは立場が違うため、意見が対立することも。

こんなとき「こちらが正しい!」とぶつかり合ってしまうと、チームがバラバラになってしまいます。ケアの最終的なゴールは、利用者さんの目標を達成することであったはず。カンファレンスでは「ご指摘の点は私も重要だと思いますが・・・」などのクッション言葉を使って相手の立場を尊重し、対立を避けましょう

また、感情論やなんとなくで言っているわけではないことが伝わるよう、客観的なデータや根拠を添えて意見を述べることも大切です。

日々利用者さんを近くで見ている介護職の意見は、利用者さんがその人らしく生きるために欠かせないもの。自信を持って伝えていきましょう。

チームワークの良さは、会話の量と比例する

カンファレンスの様子

とても簡単でシンプルな、チームワークを高める方法があります。それは「会話の量を増やすこと」。会話の量は、チームワークの良さと比例します。

チームの和を乱す職員がいて、チームワークがうまく機能しない・・・その理由としては、仕事のやり方を分かっていなかったり、勘違いしている可能性のほか、負担がかかりすぎて心が疲れていたり、プライベートで悩みを抱えている可能性もあります。何が原因にせよ、リーダーや他の職員との会話量は少ないのではないでしょうか?

良いチームワークのためには、リーダーが「何か相談があったら聞くよ」ではなく、「どうしたの?何があったか聞かせて」と、こちらから話を聞きに行くことがポイントです。さらにプチミーティングで横の会話量を増やせば、縦と横の2方向から会話量を増やすことができます。

コミュニケーションが活発なチームは、自然とチームワークも高まるもの。いつの間にかリーダーの悩みも減っていくことでしょう。

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