「認知症ケア指導管理士」資格、取得のメリットは?他資格との違いも

資格・スキル

ノートの上に資格取得の文字とクリップとボールペン認知症ケアの専門スキルを持つ人材は、どの介護施設でも高いニーズがあります。介護職なら、ぜひ実践で役立つ知識と技術をしっかり身につけていきたいですね。

もちろん地道に経験を積み上げていくのも良いのですが、できれば資格を持っていると体系的な知識による裏付けもでき、職場での確実な評価につながります。

今回は数ある認知症ケアに関する資格のひとつ、「認知症ケア指導管理士」について、難易度や取得方法、メリット等をご紹介していきます。

他の認知症ケア資格とはどう違うのかについてもお伝えしてきますので、専門分野として認知症ケアを深め、強みにしたいと考えている介護職の方はぜひ参考にしてみてくださいね。

認知症ケア指導管理士とは

受験をする女性の手元「認知症ケア指導管理士」は、医療・介護現場で認知症ケアに携わるプロに向け、専門性を高めることを目的に創設された資格です。初級と上級の2種類があり、初級に関しては、家族の介護に役立てたい一般の方にも適した内容となっています。

特徴としては「2年ごとの更新制」であること。更新に際しては更新料が必要になりますが、とくに再試験や講習を受ける必要はありません。自主的に勉強したい人に向けては、随時キャリアアップセミナーが開かれています。

また公的な資格ではなく、一般財団法人「職業技能振興会」と「一般社団法人総合ケア推進協議会」の2つの団体が共同認定する民間資格である点もおさえておきたいポイントです。下記でさらに詳しくご説明していきましょう。

受験資格

【初級】誰でも受験可能
【上級】認知症ケア指導管理士(初級)を取得後、1年以上経過した人。もしくは下記の国家資格を持っている人で、初級と上級を併願する人
「医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護支援専門員・介護福祉士・視能訓練士・義肢装具士・歯科衛生士・言語聴覚士・あん摩マッサージ指圧師・はり師、きゅう師・柔道整復師・栄養士(管理栄養士含む)・精神保健福祉士」

費用

【初級・受験料】一般7,500円、学生4,000円(大学生、専門学校生、高校生対象)
【初級・認定登録料】2,000円
【公式テキスト】2,000円+税
【上級・受験料】一次試験12,000円、二次試験6,000円
【上級・認定登録料】2,000円
【参考書籍】総合ケアシリーズⅠ「認知症ケア論」:2,800円+税、総合ケアシリーズⅡ「多角的ケア論」:3,600円+税

上記のほか、初級、上級どちらも資格更新費用として2年ごとに5,000円が必要になります。

試験内容

【初級】試験時間は90分、問題は60問。5つの選択肢からひとつの正解を選ぶマークシート方式です。認知症についての基礎知識、認知症の方の日常生活支援やご家族への支援の方法、時事問題などが公式テキストを中心に出題されます。
【上級】一次試験は90分、問題は60問。5つの選択肢から複数の正解を選ぶマークシート方式です。一次試験に合格した人のみ、二次試験に進むことができます。二次試験も90分で、ケア全般に関する状況設定問題や、ケアに関する思考を問う論述問題が出題されます。

難易度

【初級】第1回~20回「認知症ケア指導管理士」資格試験において、累計受験者数は32,682名、合格者の累計は19,283名。合格率は59.0%で難易度は低~中程度、公式テキストを中心にしっかり対策しておくことで独学でも取得が可能です。テキストだけでは心配な方や理解を深めたい方向けに、試験対策講座も開講されています。
【上級】第1回~7回「上級認知症ケア指導管理士」資格試験において、累計受験者数は1,987名、合格者の累計は152名。合格率は7.6%と、初級に比べ格段に取得が難しい資格となっています。

※ご紹介した情報は2024年2月現在のものとなっています。試験の最新情報については下記ホームページをご参照ください。

資格取得キャリアカレッジホームページ

参考:過去の受験者データ

認知症ケア指導管理士を取得するメリット

ブロックに書かれたMERITに指を添えている初級に関しては介護経験や予備知識がない人も、認知症についての知識を体系的に学ぶことができる点がメリット。介護職に限らず、仕事で認知症の人と接することがある人、また家族介護に役立てたい人にも適しています。

ただし公的資格ではなく民間資格であるため、介護職の人が資格手当や転職で有利になることを期待して取得する場合には適していません。職場で待遇面のメリットを得たい場合は、介護職向けの下記公的資格のなかから自分のレベルにあった資格を取得するのがおすすめです。

《認知症ケアについて学べる公的資格》
  • 認知症介護基礎研修(新任介護職向けの基礎的な研修、資格を持っていない人が仕事で介護に携わる場合は受講が義務)
  • 認知症介護実践者研修(介護の現場経験を2年以上積んだ中堅介護職向けの研修)
  • 認知症介護実践リーダー研修(現在ケアチームのリーダーかリーダー候補であり、介護現場経験が5年以上あるなど、ベテラン介護職向けの研修)
  • 認知症介護指導者養成研修(研修講師として指導に携わるための研修)

こちらのコラムも参考に≫
「認知症介護基礎研修は2024年から完全義務化!メリットは?費用は?」
「認知症介護実践者研修とは?メリットや内容が知りたい」

認知症ケア専門士等との比較

高齢者の話を聞く女性介護士認知症ケアが学べる民間資格としては、ほかに「認知症ケア専門士」「認知症ケア上級専門士」という資格も普及しています。

認知症ケア指導管理士との大きな違いとしては、認知症ケア専門士のほうが受験者数が多いこと、また更新が5年制で、更新に際しては単位取得(研修会への参加等)が必要になることなどが挙げられます(下位資格として更新制ではない「認知症ケア准専門士」という資格もあります)。

また受験する層についても、認知症ケア指導管理士では看護師など医療職の受験も多く見られるのに比べ、認知症ケア専門士では介護職やケアマネジャーなど介護業界からの受験比率が高い印象です。

こちらのコラムも参考に≫「認知症ケア専門士の合格率や勉強法。詳しく知りたい!」

合格率を参考に、「易しい⇒難しい順」にざっくり並べてみると下記のようなイメージになります。

認知症ケア指導管理士(初級)⇒認知症ケア准専門士⇒認知症ケア専門士⇒認知症ケア上級専門士⇒上級認知症ケア指導管理士

介護職の第一選択肢としては、まず公的資格から資格取得を検討し、さらにそれでは物足りないという人は自己研鑽のひとつとして、自分のレベルに合わせて認知症ケア専門士、もしくは認知症ケア指導管理士などの民間資格を目指してみるのがよさそうです。

仕事で使うなら公的資格がおすすめ

ノートの上に公的資格のテキストとボールペン認知症ケアに関する資格は、公的資格と民間資格の2種類に分けられます。介護職員として仕事のスキルアップに役立てたいなら、まずは職場でのニーズが高い公的資格から取得していきましょう。

家族に認知症患者がいて対応方法を学びたいなど、家族介護で役立てたい場合には民間資格もおすすめ。テキストを購入して読み込んだり、試験対策講座を受講するだけでも、基本的な知識を身につけることができるでしょう。

ぜひ自分のレベルや目的に合った資格を選び、認知症との付き合い方に役立ててくださいね。

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