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特別養護老人ホームで働く介護職のお仕事内容とは?歓迎されるスキルや必要な資格、給料などを徹底解説します

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特別養護老人ホームは一般的に「特養」と呼ばれ、要介護度が高い入所者が多く、身体介護を中心に幅広い介護ケアを行う施設です。

そのため、介護職員にも高度な介護スキルが求められる傾向にあります。幅広く経験を積んでキャリアアップしたい人に適した職場といえるでしょう。

特別養護老人ホームの仕事内容や必要な資格、給料、働くメリットなどを徹底解説いたします。よくある質問や回答についてもまとめたので、是非転職の参考にしてください。

特別養護老人ホームとは?

特別養護老人ホームは一般的に「特養」と呼ばれている介護施設です。原則として65歳以上で要介護3以上の認定を受けた方を対象としています。ただし、要介護3以上で特定疾病の診断を受けている40歳以上の方、要介護1〜2でも認知症の進行など特別な事情が認められた方は入居の対象となります。

特別養護老人ホームは身体介護を中心とした重度の介護ケアを必要とする入居者が多いのが特徴で、入居者のなかには寝たきりの方もいます。入居期間に期限がなく、終身利用も可能なため、多くの特別養護老人ホームが看取りに対応しています。

特別養護老人ホームには「従来型」と「ユニット型」の二つのタイプがあります。

「従来型」はその名前の通り昔からあるタイプです。2〜4名が一室で生活する多床室が主流であり、施設全体で介護ケアを提供します。

一方「ユニット型」は、従来型の多床室では入居者のプライバシーが十分に確保できないという理由から作られました。入居者10人以下で1ユニットを構成して生活し、ユニットごとに専任の介護スタッフが担当します。一つのユニット内にはロビー、食堂、浴室、トイレが共有設備として完備され、居室の多くは個室となります。

特別養護老人ホームで働く介護職員の仕事内容は?

特別養護老人ホームは要介護3以上の介護度の高い入居者が多く、生活全般をサポートする幅広い身体介護が仕事の中心となります。具体的な業務は、入浴介助、食事介助、排泄介助などです。また、生活介助、健康管理も行います。

入浴介助

入居者の身体機能や体調に合わせて、大浴場や寝たまま入れる機械浴などで入浴介助を行います。浴室の設備や入浴時の体調によって介助の方法は異なりますが、転倒などの事故防止に注意を払いながら、リフレッシュしてもらえるよう気を配ります。また、体調により入浴できない方に対しては、清拭などを行うこともあります。

食事介助

介護度の高い入居者は嚥下能力や咀嚼能力が低下していることがあるため、刻み食など一人ひとりの身体機能に合わせた食事介助が求められます。

食事は生活に彩りをもたらすひと時でもあります。楽しい時間になるように、利用者の気持ちに寄り添ったサポートを心がけましょう。

排泄介助

トイレへの誘導やサポート、おむつ交換などを行います。立ち上がれるか、寝たきりなのかなど、入居者の身体機能に応じたサポートが求められます。

排泄介助はデリケートな介護です。日頃から、入居者と信頼関係を築き、排泄介助を受ける方のプライバシーや自尊心に配慮しながら行うことが必要です。

生活介助

入居者が快適に日常生活を送ることができるよう、着替えや移動の介助、居室の掃除や洗濯、買い物の手伝いなど、身の回りのサポートをします。

全てを手助けするのではなく、一人ひとりの状態に合わせたケアが大切です。できることはなるべくご自身でやってもらうなど、身体機能の維持を心がけたサポートを行いましょう。

健康管理・身体機能の維持

入居者の体温・血圧・脈拍などを測定するバイタルチェックを行ったり、行動や食事の様子を詳細に観察して記録し、施設と提携する嘱託医など医療スタッフへ報告します。

また、気分転換や運動のためのレクリエーションの企画・準備・運営なども行います。入居者の身体機能を維持し、回復に努めることも特養の介護スタッフの重要な仕事です。

特別養護老人ホームの仕事の1日のスケジュールは?

勤務時間やスケジュールは各施設によって異なりますが、例として日勤・夜勤のスケジュールを以下にご紹介します。

日勤のスケジュール

 8:30 出勤、夜勤スタッフからの申し送り
 9:00 口腔ケア、排泄介助、掃除・洗濯等
10:00 入浴介助
12:00 昼食、食事介助、服薬介助、食後の口腔ケア、食事量のチェック
14:00 休憩
15:00 おやつ、おやつの介助
16:00 介護記録記入など事務作業
17:00 夕食、食事介助、服薬介助、食後の口腔ケア、食事量のチェック
17:30 夜勤スタッフへの引き継ぎ、退勤

夜勤のスケジュール

17:00 出勤、日勤スタッフからの申し送り
17:30 食事介助、服薬介助、食後の口腔ケア、食事量のチェック
19:00 利用者さんとのコミュニケーション、翌日の入浴準備
20:00 就寝準備(着替えの介助、排泄介助など)
21:00 消灯
21:30 夜間見守り、必要に応じて排泄介助、おむつ交換、呼び出しコール対応、休憩
 5:00 起床準備
 5:30 朝食準備
 6:00 起床介助、着替えの介助、排泄介助など
 7:00 朝食、食事介助、服薬介助、食後の口腔ケア、食事量のチェック
 8:30 介護記録記入、日勤スタッフへ申し送り
 9:00 退勤

特別養護老人ホームで働くために必要な資格やスキルは?

特別養護老人ホームで勤務するために必要な資格・スキルは以下の通りです。

必要な資格

特別養護老人ホームは資格がなくても介護職として働くことはできます。しかし、入居者の要介護度が高く、熟練した介護スキルが求められる場面が比較的多い施設です。

したがって、初任者研修や実務者研修、介護福祉士などの資格を持っているほうが転職に有利といえます。

歓迎される資格やスキル

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護職として働くうえで必要になる、基礎知識や技術を学ぶための研修です。まさに介護の入門的な資格といえるでしょう。

特別養護老人ホームは無資格・未経験でも勤務できますが、求人募集をしている事業所の中には、介護職員初任者研修以上の資格を保有していることを採用条件としている場合もあります。

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は初任者研修の上位資格として位置付けられます。介護福祉士を取得するために必要な資格でもあり、介護業界で働いていきたいという人は持っておきたい資格です。

介護福祉士

介護福祉士は介護の専門知識や高いスキルを有することを証明する国家資格です。取得するためのルートは複数ありますが、働きながら取得する「実務経験ルート」では、3年以上の実務経験と、介護福祉士実務者研修(もしくは介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修)の取得が必要です。

介護度の高い入居者が多く、幅広く専門的な介護ケアが求められる特別養護老人ホームでは歓迎される資格です。

喀痰吸引等研修

痰を自力で出せない方や、経管栄養によって栄養を摂る方にたんの吸引や経管栄養を行うケアができる資格です。経口で食事が取れない方や寝たきりの方も多い特別養護老人ホームでは歓迎される資格です。

特別養護老人ホームで働く介護職員のお給料は?

それでは、気になる特別養護老人ホームの給料を見てみましょう。

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、特別養護老人ホームで勤務する介護職員の平均月給は以下の通りとなっています。

雇用形態 平均給与
常勤 348,040円
非常勤 211,260円

※介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所

介護職全体の平均給与は、常勤で317,540円、非常勤で209,540円ですので、特別養護老人ホームで勤務する介護職員の平均月給は平均を上回っていることが分かります。

また、他の施設形態(常勤)と比較すると、以下の通りです。

施設形態 平均給与
(常勤)
特別養護老人ホーム
(介護老人福祉施設)
348,040円
介護老人保健施設 339,040円
有料老人ホーム
(特定施設入居者生活介護事業所)
313,920円
グループホーム
(認知症対応型共同生活介護事業所)
291,080円
デイサービス
(通所介護事業所)
275,620円

特別養護老人ホームで働くメリット

特別養護老人ホームで勤務するメリットは以下の通りです。

スキルアップにつながる

特別養護老人ホームの入居者は要介護度が高い方が多く、高度な介護技術が必要となる場面も日常的なため、経験豊富な介護スタッフが多く在籍している傾向があります。

そのため、先輩のベテランスタッフから学ぶ機会にも恵まれて、幅広い介護技術を身に付けることが可能です。そうした経験が自信に繋がり、スキルアップが実感できる職場です。

将来の転職に有利になる可能性がある

介護度の高い入居者に対応した介護ケアを臨機応変に行う特別養護老人ホームの職員は、専門的な介護スキルを持つ介護スタッフとして高く評価されます。

介護業界で長く働いていきたい人にとっては、特別養護老人ホームでの経験は今後のキャリアアップのためにも良い施設形態だといえます。

経営が安定している

特別養護老人ホームは、自治体や社会福祉法人など公的機関が運営母体です。そのため経営が比較的安定しており、福利厚生が充実している施設も多くあります。安心できる環境でじっくりと介護に取り組むことができるでしょう。

特別養護老人ホームで働くデメリット

一方で、特別養護老人ホームで勤務することで考えられるデメリットは以下の通りです。

体力的・精神的な負担がある

介護度の高い入居者に対しては、体力を要する介護ケアが必要となることがあります。そのため、体力に自信のない人や腰痛のある人などにとっては、体力的な負荷を感じることが多いようです。

また、看取りを行うときに精神的な負担を感じる人もいます。

幅広い介護技術が必要

特別養護老人ホームの入居者は介護度が高い方が多いため、高度な介護ケアが必要とされる場面もあります。介護職の経験が浅い人や介護職未経験の人には介護技術の習得が負担になることがあるかもしれません。

特別養護老人ホームの仕事に向いている人の特徴

特別養護老人ホームの仕事に向いている人は以下のような方です。

幅広い経験を積んでスキルアップしたい方

介護度の高い入居者が多い特別養護老人ホームでは、高度なケアを求められる場面も多いため、介護の知識や技術が磨かれる環境です。幅広い経験をしてスキルアップし、将来のキャリアに活かしたいという方に適した職場と言えるでしょう。

体力に自信のある方

特別養護老人ホームでは、介護度の高い入居者の体を支えるなど、力の要る身体介助を行うことがあります。また、大勢の入居者を見守る夜勤などもあり、身体的な負担が比較的大きい施設です。そのため、体力に自信のある方は歓迎され、活躍が期待できます。

じっくりと介護に取り組みたい方

特別養護老人ホームは入居期間に期限がなく、終身利用が可能です。長期間を施設内で過ごす方も少なくありません。一人ひとりの入居者とじっくりと向き合いながら介護ケアに取り組みたいという方に向いています。

特別養護老人ホームのお仕事に関するよくある質問

特別養護老人ホームのお仕事について気になるこんなこと。よくある質問に、介護専門のキャリアアドバイザーが回答します。

Q.特別養護老人ホームの従来型とユニット型のメリット・デメリットについて教えてください。

【ユニット型】
入所者を10人以下のグループ(ユニット)に分け、個室でこれまでの生活様式を守りつつケアを行う良さもありますが、死角が多く、ヒヤリハットの対応に遅れる場合があります。

【従来型】
複数人が居住できる多床室で、居室内の状況が把握しやすい半面、個別ではなく施設単位での行程となり、入浴や食事提供などを流れ作業的に感じられる職員もいます。

Q.看取りはありますか?

多くの施設で見取りを行っています。精神的な負担を感じる職員もいる一方で、最期の場面に立ち会えることを介護スタッフとして幸せと考える職員もいます。

まとめ

特別養護老人ホームは一般的に「特養」と呼ばれています。原則として65歳以上で要介護3以上の認定を受けた方を対象としています。

要介護度の高い入居者が多いため、それぞれの方に合わせ、臨機応変に幅広い介護ケアを提供することが求められます。そのため、高度な介護スキルを身につけたい人に向いている職場です。

特別養護老人ホームの勤務経験のある介護職員は、介護の専門知識を持つ人材として介護業界から高く評価されています。将来、介護分野での転職に有利になることも期待できるでしょう。

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