もうすぐ6月、お年寄りが集まる老人ホームなどの高齢者施設にも梅雨がやってきます。
日照時間が少なくなり、湿度も高くなるこの時期は、おのずと活動量が減り、気分もふさぎがち。こんなときはできるだけ身体を動かして、気持ちも明るくなるようなレクリエーションを企画したいものです。
たとえば、みんなでワイワイ盛り上がる対抗戦形式のゲームや、ついつい熱中してしまう達成型のレクリエーションなら、誰もが梅雨のうっとうしさを忘れてしまうはず。
窓越しに雨模様をぼんやり見ていたお年寄りの表情も、一転してイキイキ明るく変わってしまうかも!
介護する側も楽しい気分になれるレクリエーションのオススメネタや、6月らしい季節感を取り入れるアイデアをご紹介していきます。
6月ってどんな月?
6月は旧名水無月(みなづき、みなつき)。
梅雨なのに水が無い月ってどういうこと?と思いますが、実は「無」は「の」という意味で、田んぼに水を引く月を表しているのだそうです。
風物詩としては梅雨にちなんで、傘やてるてる坊主、カタツムリなど。施設内のちょっとした装飾に使うと、季節感を演出できます。
6月のお花といえば、なんといっても紫陽花(あじさい)です。さまざまな色の色紙で小花をたくさん作り、集めて飾り付けるとよく映えますね。
青や紫、ピンクなど、あじさいの繊細な花色が雨に濡れているのを見るのは、梅雨の楽しみのひとつ。この花色の発色には、土の酸度が重要だということはご存知でしたか?
あじさいの花が青くなるにはアルミニウムが必要なのですが、アルミニウムは酸性土壌でよく溶け、アルカリ土壌では溶けません。ですから、酸性土壌に植えると青系の色に、逆にアルカリ土壌に植えると赤系の色に、なるのだそう。
散歩の途中であじさいが咲いているのを見つけたら、ぜひ花色をチェックしてみて。
日本の土壌は雨が多いせいもあり、酸性になっていることが多いようです。あじさいの群生が青とピンクのきれいなグラデーションになっていたら、そのあたりの土壌の酸性度に微妙なゆらぎがあるのかも。
このあたりは酸性、このあたりはアルカリ性・・・と利用者の方と一緒に想像を巡らせながら、梅雨の晴れ間のお散歩を楽しんでみてください。
そして6月といえば、1年12カ月のちょうど真ん中の月。
新しい年の抱負を考えたのがつい昨日のようですが、中間地点で1年の半分を振り返り、目標に向かってどのくらい進めたか、あとの半年でどうしていきたいか、一度じっくり考えてみるのもおすすめですよ。
レクリエーションのネタになる6月の記念日
6月8日:バイキングの日
バイキングというのは、9~11世紀頃、おもに北欧の海で活躍した海賊のこと。そのバイキングにちなんで、誰もが一度は遊んだことのある「黒ひげ危機一髪」ゲームなどはいかがでしょうか。
海賊の人形を木樽にセットして、おもちゃの剣を差し込んでいくと、あるタイミングで人形が樽からポーンと飛び出すこのゲーム。
単純なルールですが、いつ人形が飛び出すか、刺すたびにドキドキワクワク。気分も高揚するので、どんよりとした梅雨空のうっとうしさも吹き飛ばしてくれますよ。
そのまま遊ぶのも楽しいですが、おもちゃを複数用意して、誰が一番早く人形を飛ばせるかを競い合うゲームも盛り上がります。
また、介護度の低い人と高い人をペアにした、チーム対抗戦もおすすめ。介護度の高い人が剣を刺し、低い人が飛び出した人形をお玉などでキャッチします。うまくキャッチできたチームの勝ち。
簡単な動作で楽しめるので、ADL(日常生活動作)にばらつきがある場合も、みんなで一緒に楽しめるところがオススメポイントです。
>介護レク特集 vol.4 介護度の異なる利用者さんに提供するレクってどうしたらいいの?
6月15日:暑中見舞いの日
6月15日は暑中見舞いの日。この前後に絵手紙をつくるレクリエーションなどはいかがでしょう。
用意するものは画仙紙やハガキ、絵の具、えんぴつ、筆や筆ペン、割り箸など。そのほかに絵に描く題材として、季節の花や果物、野菜などを用意します。
上手に書くことは二の次。心を込めて描くことでその人ならではの味わいが出てきます。
絵が描けたら俳句や川柳、座右の銘やことわざ、だじゃれなど、なんでも思いついた一言を添えて完成です。どうしても思いつかなければ、描いたものの名前を書くだけでもサマになってしまうのが良いところ。
完成したらみんなで感想を言い合う時間も楽しいひととき。できた絵手紙は実際に投函してもよいですし、部屋や施設内に飾ってもすてきです。
絵手紙レクでは、ひとつのことに向かって集中する心地よさと、完成後に大きな達成感が味わえます。
筆を使った繊細な動きは手先のリハビリにもなりますし、想像力や構成力など考える力が必要になるので、脳の活性化にも効果的。雨などで外に出られない日のレクに、ぜひ取り入れてみてください。
6月21日頃:夏至(二十四節気)
1年のうちで、最も太陽が長く出ている日が夏至。2018年の夏至は6月21日です。
この日を過ぎると本格的な夏の始まり。介護する側もされる側も、暑さに備えての体作りが欠かせません。
夏至の日に食べる行事食というのは特にないのですが、関西地方では夏至から半夏生の時期に「タコ」を食べる風習があります。
これは、タコが海のなかでで岩に張り付いている様子から「稲がタコの足のようにしっかりと根を張りますように」という願いが込められているのだそう。
タコには「タウリン」という疲労回復に役立つ成分が多く含まれるので、田植えで疲れた体を癒し、夏の暑さに備えるという意味でも、とても理にかなった風習です。
そんな夏至の風習にちなみ、この時期はたこ焼きパーティーを企画してみてはいかがでしょう。
タコは歯ごたえがあるため高齢者には相性の悪い食材ですが、炭酸水で煮ると驚くほど柔らかくなります。
それでも咀嚼が難しい場合には、タコ以外にツナマヨやエビ、明太子やウインナー、チーズなどを入れた変わりダネたこ焼きも人気。デザートにはタコを入れずにチョコレートなどを入れた、スイーツたこ焼きもおすすめです。
「私はコレが好き」「これとこれを一緒にするとおいしいよ!」などと盛り上がること必至です。やけどに注意しながら楽しんでみてください。
6月22日:ボウリングの日
ボウリングの日にちなんで、ペットボトルを使ったボウリング大会を企画してみませんか?
500mlのペットボトルに少し水を入れて重くしておき、逆3角形に6本並べ、ボールを投げてピンを倒し、多く倒した方が勝ち。ボールを転がすことによって、腕や肩など上半身の良い体操になります。
車椅子で投げるときにはしっかりブレーキをかけて、落ちないように気をつけて。
事前に段ボールなどを使って、ボールが遠くへ転がっていかないための柵や、ピンをきれいに並べられる三角形の枠を作っておくと、要領よく進められておすすめです。
また色紙やカラーテープなどで飾り付けをすると、ぐっと大会らしくなって盛り上がります。
ボールを軽いものにしたりラグビーボールのような変形したものにしたり、コースをでこぼこさせたりして変化をつければ、介護度の高い人から低い人まで楽しむことができます。
また、ピンに自己紹介や趣味などのお題を付けておき、倒れたピンのお題にそって一言スピーチをしてもらうのも良いアイデア。利用者の皆さんが新鮮な気持ちで楽しめるよう、いろいろ工夫してみてくださいね。
6月の高齢者向けレクリエーション企画のポイント
日本の6月は梅雨入りの季節。曇天が続くと誰でも気分が晴れないものです。
そんなときには意識的に体を動かしたり、気分が高揚するような楽しいレクリエーションを行ったりしていきましょう。
そしてたまにやってくる梅雨の晴れ間には、紫外線や湿気に注意しながら、ぜひ外に出て新鮮な空気を吸いたいですね。
6月のあとに控えているのは暑い夏・・・高齢者にとっては体力を消耗しやすい過酷な季節です。6月のうちにしっかり食べ、しっかり眠り、基礎体力を養っておきたいところ。
よく食べよく眠るためには、昼間の活動が欠かせませんから、楽しいレクリエーションで高齢者の活動意欲を引き出すことは大切です。
ちょっとした変化で既存のレクがぐっと新鮮になることもありますから、いろいろと工夫をこらしてみてくださいね。